『宗像教授異考録  第四集』 | 本だけ読んで暮らせたら

『宗像教授異考録  第四集』


宗像教授異考録 4 (4)

星野 之宣/著、 小学館 BIG COMICS SPECIAL(2007)




星野之宣が描く、宗像教授伝奇考の新シリーズ第四弾。三編の物語が収録されている。



■第1話 「サルタヒコ計画」


古事記などの日本神話に登場する長い鼻を持つサルタヒコ(=サダヒコ、サタヒコ)という神。各地に見られる道祖神の原型はサルタヒコだと言われる・・・。

日本各地に存在する佐多岬、佐田岬などの“御崎”は、細長い地形であることから海上からも目立ち、海上を移動する者たちの道標となった!?。例えば、九州から畿内へと移動した集団にとっても・・・。

さらに、古代日本の岬や海辺には大きな目印として、6本または8本の巨木の柱で建てられた構築物があった!? 日本海沿岸の遺跡に見つかる柱跡やウッドサークルの痕跡こそが、巨木の建造物の証拠なのでは??

しかもそれらの構築物は大陸に向けて建てられたのではないか。

日本だけでなく、太平洋ポリネシアの各島に立てられた巨石像、例えばモアイにしても海に向けて建てられている・・・・。


サルタヒコ神 → 道祖神 → 巨木文化・巨石文化 → 海に向けられて建てられた巨像 → 賽の神


これらの連環が意味するところとは??

宗像の推理は・・・、「海の向こうからやって来るもの、人々はそれを恐れたのだ・・・・・。」

海に向けて建てられた巨像は結界を張る装置だったのか?? 海の向こうからやって来るものとは?


・・・・・すごいコジツケだ・・・。 だが、これこそが星野伝奇の真骨頂だ!!



■第2話 「鉄の帝国」 


八幡神と鉄に関する話。宗像教授のお得意の分野=“鉄文化の伝播”の一端を担う物語。

明治政府が建設した国営八幡製鉄所に込められた意味が明かされる??



■第3話 「黒塚」

これまた鉄と鬼婆の関連性についての物語。

それが最期には、第1話とも関連するのだから、星野さんのコジツケは留まる所を知らない・・・。


この物語には、イギリスから日本文化を学びに来て、福島県の山中に一人暮らすイザベラという謎めいた女性が絡む。

日本の鬼婆伝説とヨーロッパの魔女。

両者に共通して見られるのは・・・・・、異文化、未知に対する恐れの心情とスケープ・ゴート。

この話に登場したイザベラさん。なかなかミステリアスで魅力的なキャラクターだ。またいつか、別の話にも登場する・・・ような気がする。





【 星野 之宣 作品 】  ↓↓ これらもイイ!


  ■ 宗像教授異考録  第三集
  ■ 宗像教授異考録  第二集
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  ■ ブルーホール その1

  ■ ブルーホール その2

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