人格(パーソナリティ)障害とは | myu Music&Hobby

人格(パーソナリティ)障害とは

人格障害(パーソナリティ障害)


人格(パーソナリティ)障害とは

人格障害とは、全般的な考え方や振る舞い方の特徴が、社会規範や周囲の一般常識からかけ離れており、しかも思春期頃から始まり生涯を通じて波や変化がなく一定である場合に人格障害と呼ぶ。

人格障害で見られる考え方や行動の偏りは、認知 (自分自身や他人、出来事に関する受け取り方)、感情表現(感情の幅や強さ、情緒不安定、感情表出)、対人関係の取り方、衝動性などである。


要するに、いろいろと感情や行動が逸脱しているわけです。

そして、逸脱してはいるものの、精神病と言える状態まではいっていないのです。

ですから逸脱した行動を取っても、意識はちゃんとしていて、心神喪失状態ではありません。

事件を起こしても、計画性があり、従って責任能力もあるとされるわけです。

そして、逸脱しているがゆえに集団の中では、トラブルメーカーとなりやすいわけです。

簡単に言えば、困ったちゃん、と言うことになります。


周囲の人からは人格に問題があると思われたり、あるいは人格が破綻していると思われたりしますが、実際問題として、その通りなのです。



人格障害がある人は、認知、反応、外界との関係のパターンに柔軟性がなく、社会にうまく適応できないという特徴があります。

人間や出来事に対する見方や関わり方には、誰もが特有のパターンをもっています(人格特性)。

つまり、人はそれぞれ自分なりの流儀でストレスなどに対処しますが、その方法には人によって一定の傾向がみられます。

精神的に健康な人は、最初に取った対応でうまくいかなければ、別のやり方を試してみようとするものです。

これに対し、人格障害の人は、融通が利かず、問題に対して適切に対処できない傾向があり、しばしば家族、友人、職場の同僚との関係の悪化を招きます。

要するに、様々な問題行動を起こします。


こういった不適応は多くの場合、青年期から成人期初期にかけて始まり、時を経ても変わることはありません。

人格障害の人は、自分の思考や行動のパターンに問題があることに気づいていません。

このため自分から治療や助力を求めることはあまりありませんが、その行動が他の人に迷惑をかけているなどの理由で、友人や家族、あるいは社会的機関によって医療機関に連れて来られることがあります。

自主的に来院するのは主につらい症状(不安、抑うつ、薬物乱用など)がある場合で、自分の問題は誰かのせいであるとか、自分の力ではどうしようもない状況が原因だと思いこんでいる傾向があります。




◆人格障害分類

3つのグループに分かれていて、全部で10種類の人格障害に分類されています。

【A群】 
遺伝的に分裂病気質を持っていることが多く、風変わりで自閉的で妄想を持ちやすく奇異で閉じこもりがちな性質を持つ。
     
→・妄想性人格障害
→・統合失調質人格障害(以前は分裂病質人格障害)
→・統合失調型人格障害(以前は分裂病型人格障害)


【B群】 
感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的。
ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込む事が多い。
     
→・反社会性人格障害
→・境界性人格障害
→・演技性人格障害
→・自己愛性人格障害


【C群】 
不安や恐怖心が強い性質を持つ。
周りの評価が気になりそれがストレスとなる傾向がある。

→・回避性人格障害
→・依存性人格障害
→・強迫性人格障害


性格や知能は、遺伝的体質・気質とその後の環境、すなわち育ちによっても違ってくる。

特に性格は、幼児期の人間関係(コンプレックス)、母親・父親・同胞などとの関係によって形成される。

人格障害は3つのタイプ、奇妙で風変わりなタイプ(A群)、人を困らせるタイプ(B群)、自分が困るタイプ(C群)などに分けられる。

一人の個性豊かな人間が典型的な人格障害の1つだけに合致するのではなく、2つ以上の人格障害の特徴を併せ持つのは当然といえる。

典型的な1つの人格障害の場合もあるが、2つの人格障害を併せ持っていたり、1つの人格障害が優位だが、他にもいくつかの人格障害の特徴を持っているということが十分ありうる。


●人格障害の中で、境界性人格障害が、最も『患者数が多く』最近増加傾向が見られます。



◆人格障害による主な影響

人格障害の人は、アルコール依存や薬物依存など身体的な問題につながる行動、自己破壊行動、無謀な性行動、心気症、社会の価値観との衝突などを起こす危険が高くなります。

人格障害の人の子育てには、一貫性のなさ、無関心、感情過多、虐待、無責任などの特徴があり、子供の心身に問題を生じます。

人格障害の人には、ストレスが原因で精神崩壊(日常の頭脳活動すらできなくなる危機的な状態)に陥りやすい傾向がみられます。
どのような種類の精神障害を起こすかは(不安、うつ病、精神病など)、その人の人格障害の種類によって決まる部分もあります。

人格障害の人は、処方された治療計画にあまり従わない傾向にあります。
更に治療計画に従った場合でも、薬への反応が通常よりも鈍いことがよくあります。

人格障害の人は、自分の行動に対して責任を取ることを拒否したり、過剰に疑い深く、要求ばかりを突きつける印象があったりするため、医師と良好な関係が築けないこともよくあります。
医師側もその人を非難したり、疑うようになり、最終的には関係を拒否するようになってしまいがちです。



◆人格障害者 診断

人格障害は既往歴、特に繰り返し現れる不適応的な思考や行動のパターンに基づいて診断されます。

人格障害がある人は、行動の結果が思わしくない場合にもそのパターンを頑固に変えようとしないため、他者の目にも明らかになりがちです。

また、心理的な対処のメカニズム(防衛機制)の不適切な使い方もよく目につきます。

この対処メカニズムは誰もが無意識に用いるものですが、人格障害がある人の場合は、その使い方が未熟で不適応的であるために、日常生活にまで支障を来します。



◆人格障害の原因

人格障害の原因として考えれるのは、環境と遺伝です。

ただ、人格障害の原因についてはまだはっきりしたことは分かっていません。

遺伝の関係でいえば、人格障害を持つ人の一親等以内の有病率がそうではない一親等内と比べれると5倍高いといわれています。

脳波などの検査をすると異常がある場合があるので、何らかの脳の機能的なものが普通の人よりも少し違うのかもしれません。


①生まれもった要因

遺伝子や脳機能など身体的要因が発病の一因であると考えられています。
思春期にかけて人格に歪みが生じ、多くは傷つきやすさ、ストレスの強さ、好奇心の強さなどをきっかけにある程度定まっていると考えられています。

②環境・育て方

親の性格や接し方、生活環境、特に親が過保護の場合、境界性人格障害、自己愛性人格障害、回避性人格障害、依存性人格障害に発展しやすいという説もあります。

③脳の発達障害

生物学的にはホルモンや神経伝達物質などの関与、誕生前の脳の成熟異常
誕生後の脳や中枢神経の障害、神経伝達物質やホルモンの変化などの関わりが指摘されています。

④急激な変化

柔軟に対応出来ない為に『親しい人との別れ』や大きな失敗などが、パーソナリティ障害が表に出てくるきっかけになることがあります。




◆人格障害者 治療

精神療法に重きが置かれているが、治療法は確立されていない現状である。

治療おいては今の社会に適うようなものの受け止め方や行動の仕方ができるように努める。

しかし、人格を完全に変えることは難しく、元々の傾向は残るために、それに沿ったよりよい生き方を見出せるようにバックアップすることが重要である。

薬物療法としては、抗不安薬、抗うつ薬、抗精神病薬が用いられ、精神療法では認知行動療法、集団療法、支持療法、精神療法などが行われる。


個人の人格特性が形成されるまでには長い年月がかかるように、適応の妨げとなる特性を治療するにもかなりの年月が必要です。

治療法は、人格障害のタイプにより異なりますが、全ての治療に共通する原則がいくつかあります。

人格障害の人は、自分の行動に問題があるとは思っていないため、状況に適応していない思考や行動が引き起こす有害な結果に本人を直面させる必要があります。

それにはまず、本人の思考や行動パターンから生じる望ましくない結果を、心理療法士が繰り返し指摘する必要があります。

ときには行動に制限を加えることも必要となります。

家族の行動は、本人の問題行動や思考に良くも悪くも影響するため、家族の関与は治療に役立ち、多くの場合不可欠でもあります。

グループ療法や家族療法、専用施設での共同生活、治療を兼ねた社交サークルや自助グループなどが、社会的に望ましくない行動を変えていく上で役立ちます。


大半の治療の基本となるのは心理療法(対話療法)で、不適応行動や対人関係のパターンに何らかの変化がみられるまでには、通常は1年以上は続けなければなりません。

医師と患者の間に親密で協力的な信頼関係ができると、患者はそこから自分の悩みの根源を理解し、不適応行動を認識できるようになっていきます。

心理療法は、依存、不信、傲慢、人につけこむ、といった対人問題の原因となる態度や行動を、本人がより明確に認識するのに役立ちます。


人格障害の中でも、特に適応の妨げとなる態度や期待、信念などがある場合(自己愛性人格障害強迫性人格障害など)には精神分析を受けることが勧められ、通常は少なくとも3年間続けます。

行動療法は、落ち着きのなさ、社会的孤立、自己主張の欠如、かんしゃくなどの行動を変えるのに役立ちます。
境界性人格障害反社会性人格障害回避性人格障害の場合は行動の変化が最も重要です。

ただし、反社会性人格障害、または妄想性人格障害の場合は、どの治療法でも成功することは稀です。


うつ病、恐怖症、またはパニック障害がある人格障害には、薬物療法が適切な治療法となる場合があります。

ただし、薬には症状を緩和させるだけの限られた効果しかありません。

一方、人格障害から起こる不安や悲しみなどの感情は、薬で十分に軽減されることはまずありません。



◆人格障害者への対応(一般向け)

▽以下の記述には、人格障害者自身にとっても、重要な内容を含んでいます。

■ 恋人 or 配偶者(妻・夫)が、人格障害の場合

ただちに別れ、一切の関係を絶ちましょう。(あなたのためだけではなく、相手のためにも)

人格障害者は、あなたの手に負える相手ではありませんし、彼らの抱える問題は、あなたの手に負える事柄でもありません。

自分の力でどうにかできると思うのは、無思慮・無分別な甘い考え、身のほど知らずな思い上がりであり、大きな勘違い・間違いです。

自分の非力・無力を自覚し、あきらめて、潔く身を引くことです。

間違っても、相手をかばい、かまい、世話を焼く、果ては献身的に奉仕するなど、自身の救済者願望・幻想を刺激され、溺れてはなりません。

相手にとって、あなたの存在は、共依存/イネイブリング(助長)を基本型とする関係嗜癖の対象でしかありません。

そうした関係嗜癖の対象にしかなり得ない、あなたの存在は、(あなた自身の思惑や感情がどうであれ)相手の回復・成長を阻害し、なんら寄与しない(病の固定化・悪化をもたらすだけ)という事実を肝に銘じましょう。

また、万一、既に子どもがいる場合、そのままでは、子どもの心身に多大な悪影響・害悪を及ぼし、被害・危害を与えることは避けられません。
(様々な形での共依存や虐待の発生のみならず、歪んだ認知や規範・価値観、思考・行動パターンの刷り込みなど)
その結果もたらされる不幸な結末の一つは、機能不全家族の中での、子どもの人格障害者化という、悲惨な負の世代間連鎖です。

躊躇し、ずるずると関係を続けるような無思慮・無分別で無責任な愚行は、厳に慎み、一刻もはやく決断すべきです。

もし、あなたが人格障害者と別れられないとすれば、あなた自身も、共依存者/イネイブラー(助長者)にすぎず、問題を抱えている証左に他なりません。

他者に構うのをやめ、自分の問題と向き合いましょう。
(もし、両者がそれぞれに自助努力に励み、回復・成長の道をたどれば、双方の希望により、10年後、あるいは20年後に、再会できる可能性はあります)


■ 友人・知人が、人格障害の場合

必ずしも、一切の関係を絶つ必要はありませんが、必ず、相手と自分との間に、きちんと境界設定(境界線/バウンダリーを引くこと)を行い、一定以上の距離を保って付き合いましょう。

人格障害者の言動に、巻き込まれたり振り回されたりしないように、注意しなければなりません。

もし、それができないようであれば、その場合は、一切の関係を絶つ必要があります。



◆人格障害者の回復・成長に向けて

自分では問題があることに気づいていない、自分の未成熟な人格や歪んだ認知、思考・行動のパターンを、修正・矯正しなければなりません。

自分の抱える問題に気づき(自覚化)、向き合い(直面化)、そうした内省・省察の過程を通した自己対象化によって、人格的成長~自己変革を果たすことが必要です。

まずは、何よりも、自分の人格が未成熟で、認知や思考・行動のパターンが歪んでいるという事実を理解・受容し、自覚・認識する(=正しい病識を持つ)こと。
(大半の人が、ここでつまずき、回復・成長への道を、自ら閉ざしています)

現在の自分を、理性的・論理的・批評的に、厳しく徹底的に見つめ直し、自省・自己批判すること。

欲望・欲求や情動・衝動を自制・抑制し、自らを律する・御する能力~自己コントロールの思想と方法を身につけ、実践すること。

―――から、始めなければなりません。

そのためには、自助努力として、厳しい自己修練~学習と訓練が必要です。



人格障害者にとって、恋愛や結婚、出産、子育ては、百害あって一利なしであり、絶対禁止であることは、いくら強調しても、強調しすぎるということはありません。

そうした行為は、自らの回復・成長を妨げ、病の固定化・悪化をもたらすと共に、他者をも巻き込み、他者や社会にも悪影響を及ぼす禁忌であり、無思慮・無責任な愚行でしかありません。

人格障害者としての自覚がある人間は、自らの回復・成長のためにも、その理と事実を理解・受容し、疑問の余地なき当然の選択として、自らそうした行為を避ける意志と覚悟を持たなければなりません。