統合失調型人格障害 | myu Music&Hobby

統合失調型人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


統合失調型人格障害(統合失調型パーソナリティ障害)

統合失調型人格障害とは、親密な関係で急に気楽でなくなることと、そうした関係を持つ能力の減少、および認知的または知覚的歪曲と行動の奇妙さの目立つ社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人期早期に始まり、様々な状況で明らかになる。

他人からは非常に風変わりで奇妙にとられます。

千里眼やテレパシーといった神秘的思考や、魔術的思考、錯覚などに囚われやすい傾向にあるようです。

また、信頼できる人をあまり作らず、自殺を企てることも多いようです。

親しい間柄の間でも些細なことを曲解する。
親しい関係を続けることが困難で、対人場面で過剰な不安を示す。

自閉的で孤立しがちです。

ストレスによって分裂病や、うつ病不安障害身体表現性障害解離性障害になることもあります。

疫学的研究によると統合失調型人格障害は、人口の1~3%程度に発症すると考えられています。

2002年までは、分裂病型人格障害と呼ばれていた。



◆統合失調型人格障害の特徴

統合失調型人格障害があると、しばしば円滑な対人関係を築くことができず、協調性をもった行動ができません。

支離滅裂な言動が目立つようになり、「関係念慮」と呼ばれる傾向が見受けられます。

少し離れたところでボソボソと話している人たちがいると、自分の悪口を言っているのではないかなどと思うようになります。

超能力などへの関心、不適切な思考の出没などの病的障害が認められますが、幻覚や幻聴などの徴候はありません。


● 話の内容が曖昧、抽象的、突飛で奇妙な言動、服装をする。
● 他人が話していると、自分の事を話している、馬鹿にしていると思い込む。
● 迷信深さ、霊感、千里眼、テレパシー、第六感、超能力を異常に信じ込む。
● 疑い深く、人を信用しない。
● 一親等の親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。
● 社会に対して過剰で妄想的な不安感を示し、慣れでも軽減できず、妄想的恐怖を伴う。



『過度の内向性』の性格行動パターンを持つ統合失調型人格障害の人は、自分の内面的な空想や価値観、世界観に対して強いこだわりを持っていて自閉的な外観を呈しますが、自己の外部にある現実世界(社会生活)や他者に対しては徹底して無関心です。

感情表現の硬直化や鈍磨が見られるので、他人とコミュニケーションしていても微笑んだりすることがなく、無表情で冷淡な印象を周囲に与えます。

元々、他者と積極的に話しかけようとか相互理解を深めようというモチベーション自体がないので、いつも他人に対して無関心であり対人場面を避けて社会的に孤立しています。


『臆病な統合失調型人格障害』の人の至上命題は、自尊心・自己愛を傷つけずに他者と程よくコミュニケーションできることであり、神秘的な幻想やテレパシーのような超能力の妄想、魔術的な思考というのは、『極めて特殊な自己の世界観』を開示することにより他者を遠ざけながらも、自分と感受性の合う他者(自分を傷つけない他者)を選別しようとする試みでもあります。

しかし、その選別のための防衛機制が上手く機能する可能性はほとんどありません。

一般社会の常識や通念に反する奇妙な空想や風変わりな価値観を持っているために、他者と上手くコミュニケーションできず社会環境から疎外されやすくなります。

その結果、『被害妄想的な異質性を嫌う他者』から侮辱や否定を受けるリスクが高くなり、統合失調型人格障害の人は自尊心や自我意識を傷つけられて、ますます現実社会の人間関係から逃避(内向的な自閉)していくことになります。



◆統合失調型人格障害性格行動面の性格行動面の特徴

統合失調型人格障害は、統合失調症の病理研究や臨床活動の中から発見された性格上の問題で、対人関係や社会活動に強い不安や恐怖を抱いていて、奇妙な信念や風変わりな空想を持ちやすい人格構造の偏りです。

統合失調症の病前性格という見方をされることもあり、『統合失調型』という用語には統合失調症のスペクトラム(連続体)という意味合いも込められています。

他者との人間関係に対する動機づけ(モチベーション)が乏しいだけでなく、一般的な論理(ロジック)や規範(ルール)を正しく理解できない、『認知機能の障害』もあるので、現実社会への適応はかなり悪くなっています。


統合失調型人格障害は、統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想)と関連が深い人格障害と見られており、特に、本来自分と無関係なものを自分と深い関係があると思い込む、『関連妄想(関係念慮)』が出てくることがあります。

陽性症状に類似した特徴だけでなく、『無為・自閉・意欲減退・感情の硬直』といった陰性症状に似た特徴も持っているので、統合失調型人格障害の人は、親密な対人関係を回避して他人を信用しないという側面が強くあります。

統合失調質人格障害と同じように、『社会生活・対人関係・職業活動などからの孤立』が問題となり、『奇異な信念・奇妙な空想・風変わりな態度』によって他人を寄せ付けないため通常の対人関係を取り結ぶことが殆ど不可能になります。


奇異な信念とは、『自分と他人とは理解し合うことが原理的に出来ない』とか、『夢に出てきたイメージは必ず現実のものとなる』とか本人だけにしか通用しない非現実的な思い込みのことで、奇異な信念体型によって、『自己と他者との間の厚い隔壁』を築いて自分を他者の否定的言動から防衛する意味があります。

奇異な信念や風変わりな態度は統合失調症ほどに病的な症状ではないので、『他者への過度の不安・恐怖』の現れであると見なすこともできます。

不安や恐怖の源泉である他者から遠ざかる為に、『私とあなたとは根本的に違うというメッセージ』を出しているケースもあります。

標準的な価値観や社会通念の側から見て、奇妙で風変わりに見える統合失調型人格障害の人ですが、実際には、統合失調型人格障害の人の方も社会で生活する他者を、『奇妙で恐ろしいもの』と認知しています。

奇妙な空想や独自の世界観は、彼らが自分を、『周囲の異質な他者(自己存在を脅かそうとする他者)』から自己防衛するために生み出された妄想様観念であると理解することが出来ます。


『奇異な思い込みの世界』に自閉する傾向がある、『統合失調型人格障害』は、『統合失調質人格障害』よりも、更に社会適応性が悪く、他人と打ち解けたコミュニケーションをすることが難しい人格障害です。

統合失調型人格障害の中核的信念には、『他人は信用できず、油断をすれば自分が傷つけられる』という被害妄想じみた信念があり、その為に、学校や企業での集団生活に上手く適応できず、初めから社会集団に所属することを強く拒絶します。

統合失調型人格障害の人にとって、『社会的な集団組織の一員』になって社会的アイデンティティを持つことは、『本来の自己』を喪失することであり他人(社会集団)から思い通りに自分の人生(時間・判断)をコントロールされることなので、学校や企業の一員として自分を認識することに強烈な恐怖と不安を持っています。

これは、C.G.ユングの普遍的無意識(集合無意識)でいうグレート・マザーに、『呑み込まれる不安』と一緒であり、統合失調型の人にとって、『自分より大きな影響力を持った存在(社会的責任・ヒエラルキーのある社会集団)』の一部になることは、大きな組織から保護されるのではなく大きな組織に支配されるといった被害的認知に繋がることが多いのです。


統合失調型人格障害の人にとって一番重要な課題は、『自己の正当性と影響力が保障された空想的な世界の枠組み』に留まり続けることであり、奇異な信念や風変わりな行動は、そういった自分独自の内的世界に他人を一切寄せ付けないための自我防衛機制としての役割を意図せずして果たすことになります。

『前進的な変化・社会常識への適応』を厳しく拒否するかのような強固な妄想的人格構造は、『自分に幾ら干渉しても、自分は他人の意見によって決して変わる事はない(自分に幾ら働きかけても無駄だから放っておいて欲しい)』という逃避的な防衛機制であり、その『他者との共感・協力』を拒絶する防衛機制によって統合失調型人格障害の人は必然的に社会的な対人状況から孤立していきます。

感情の硬直化や過度の内向性という特徴を持っているので、対人関係がなくなって社会的に孤立しても統合失調型人格障害の人は深刻な孤独感や寂しさによって悩むことは余り無いのです。



統合失調型人格障害と統合失調質人格障害の類似点としては、『積極性・自発性・能動性の欠如』が見られ、基本的に、社会的活動に対して受動的・依存的な行動パターンを示すということがあります。

統合失調型人格障害の場合には、防衛的態度と自己正当化の欲求が過剰に強まっているので、自分の悪口や批判に対しては非常に敏感に反応し、自分を攻撃しようとする相手には神経質に念入りな反論をする傾向があります。

双方とも、自分から進んでやりたい事柄や自分が楽しいと思える趣味、他者と一緒に楽しめる時間などが殆どないことも共通しています。

奇妙な考え方や風変わりな行動を特徴とするクラスターA(A群)の人格障害の中心症状は、『喜ぶ能力や楽しいと思う感受性の喪失=アンヘドニア(失快楽症)』であるとする見方もあり、彼らは、『人生には何一つ楽しい遊びやエキサイティングな体験などない』という強固な思い込みに囚われています。



◆統合失調型人格障害の各種タイプ

現象学的な症状と対人関係に対する防衛機制(空想・妄想・信念)に着目すると、統合失調型人格障害は、
『面白みのないタイプ・臆病なタイプ』
の2つのタイプに分類することが出来ます。


● 面白みのない分裂病型人格障害

感情の硬直化と他者への無関心によって、自分自身が何が楽しいのか何を面白く感じるのかが分からなくなっている状態であり、頭の中を奇妙な空想や風変わりな世界観が占領していることで他者と喜びや感動を共有することが不可能になっています。

周囲の人たちからは、感情表現や話題の内容が乏しく面白みのない人と認知されていますが、本人も、自分自身の、『人生の喜びや楽しみ』への関心が薄く毎日の生活を楽しむ情緒的・対人的能力を欠いています。


● 臆病な分裂病型人格障害

対人関係に対する強烈な不安と緊張を抱いており、他者を、『自分を迫害する存在』として被害妄想的に認知する傾向があります。

いつも他人からの批判や攻撃に対して万全な自己防衛をしていないと安心できない、『臆病さ・小心さ』が特徴であり、他者との対人関係を防衛的に拒否しながらも心のどこかで誰かと少しは繋がりたいという欲求を持っています。

神秘的な宗教や風変わりな世界観に異常なこだわりを見せることも多いですが、それは、『自分を理解できない他者』を振るい落とすためのスクリーニング(選別)の防衛機制であり、無意識領域では、『本当に深い次元で自分を理解してくれる他者』を求めていることがあるのです。



◆統合失調型人格障害の原因

訂正が難しい『奇異な信念・奇妙な考え方』を持つ統合失調型人格障害は、統合失調症のスペクトラム(病理的な連続体)に分類されることもあり、遺伝的要因を指摘する意見もあります。

(統合失調型)という病理概念を提唱したS.ラドーは、統合失調症に発展する可能性がある遺伝子要因に言及していますが、実際の統合失調型人格障害には両親との関係性や幼児期のトラウマ的体験など環境要因も大きく関係していると考えられます。

統合失調型人格障害が、統合失調症の激しい幻覚妄想や錯乱を伴う急性症状に発展する可能性や、E.クレペリンが定義した早発性痴呆のような予後不良(人格荒廃・意識の解体)に至るリスクは、一般にそれほど高くありません。