演技性人格障害 | myu Music&Hobby

演技性人格障害

人格障害(パーソナリティ障害)

人格(パーソナリティ)障害とは


演技性人格障害(演技性パーソナリティ障害)

感情的な混乱の激しい人格障害です。

演劇的で、情緒的で、移り気に見えることが多いです。

ストレスには、かなり弱い傾向があります。

過度に情緒的で、度を越して人の注意を引こうとする行動の広範な様式で、成人期早期に始まり、様々な状況で明らかになる。

9割が女性。


演技性人格障害の人は、際立って人の注目を集めたがり、演技的で極端に感情的で、外見をひどく気にします。

表現力豊かで生き生きしているため、友人はすぐにできますが、大抵は表面的で一時的な関係に終わります。

感情表現には、しばしば大げささや子供っぽさ、わざとらしさが感じられ、人の同情や関心(しばしばエロチックな関心や性的な関心)を集めたいという意図がうかがわれます。

性的欲望を挑発するような行動を取ったり、性的ではない人間関係にまで性的な要素を持ちこもうとする傾向があります。

しかし、本当に求めているのは性的関係ではなく、誘惑的な行動の裏に、誰かに頼りたい、守ってほしいという願望が隠れていることもしばしばあります。

学歴詐称、美容整形等により、異性を魅了しようとすることもある。

心気症的な性質を帯びている場合もあり、注意を引くために体の不調などを大げさに訴えることがあります。


通常の日常生活の中において、あたかも役者が演技をしているような目立つ行動をします。

自分の行う行動が注目されないとしたら、それは大きな衝撃・ストレスとなるため、そうなることを恐れて、特別に目立つ行動、時には自己破壊的だったり、挑発的な性行動をとるような、派手な行動を演じてみせる精神疾患です。

演技性人格障害の患者の90%は女性で、自分自身が他人から美化され、注目されることを願望するが、他人に対しては無関心であり、他人を尊敬することもできません。

通常の人間なら、本物の自分の他に、職業人として自分、家庭の一員として自分、友達として自分、あるいは一度だけ会う人としての自分、などという風に一種の演技をし、人が他者と接するときに用いる表層的な人格「ペルソナ」として自分の立場を使い分けます。

しかし、演技性人格障害の人は、このようなペルソナの使い分けができず、ある特定のペルソナにこだわり過ぎることによって、社会生活に多くの支障をきたすようになるのです。



◆演技性人格障害の人に対する一般的な印象

● 目立ちたがり屋で感情表現(話し方)が大袈裟
● 外見的な魅力はあるが内面的な深みがない
● ロマンティックで情緒的な雰囲気を好む
● 芝居がかった演技的な振る舞いをする

性的な誘惑をしたり、スタイルの良さを見せびらかしたりする。
実は本人は不感症で、その裏返しで性的魅力を強調するという説もある。

感情や考えをオーバーに表現し、周囲の人々の関心を集めようと必至である。



◆演技性人格障害の特徴

他人をコントロールするために演技をする。

外向性が強いことが特徴である。
同時に、内面が希薄であり、アイデンティティの確立が弱い。
そのため、被暗示性が強く、他人からの影響を受けやすい。
他者からの注目が自己の基準となっていて、そのために外見など表面的な手段を使う。

対人関係では、初めは穏やか。
だが、慣れてくると、気まぐれで、自分勝手で、甘えん坊。
そのため、親密な交流を保てず、相手は逃げていってしまう。

他人の注目や関心を集めることに生き甲斐を見出しているというのが最大の特徴。


● 芝居がかった態度、誇張された感情表現
● 他人や環境から暗示を受けやすい
● 浅はかで不安定な情緒
● 注目の的になるような行動を持続的に追い求める
● 異様に誘惑的な外見や行動をとる
● 身体的魅力に過度に関心を持つ
● 不安定ですぐに興奮する
● 見栄っ張りで自己中心的
● 依存心が強い
● 外交的で一緒にいて楽しいと言われる
● 自殺をほのめかす、薬の大量服用をするなど、しかも致死量ではない(演技の一環と思われる)
● 行動も誘惑的(自分では気づかない、わかりにくい方法で誘惑する)
● あまり物事を深く考えない(感情に頼りすぎる)
● 異性に対して相反する二面性を持つ、怒りと愛情など
● 異性の関心を何よりも求めるにも関わらず、無意識に異性への怒りをもっている
● 人から愛と関心を受けることを常に求めている
● 他人の関心を引く行為をする
● 拒否されることに対しての恐れが強い
● 他の素敵な女性に敵意や競争心をもっている
● 外見は魅力的でハキハキしている
● やたら大げさにものを言う
● とてもオープンで多くのことをすぐに人にしゃべる
● すぐに知り合いになり、長い付き合いのような気分になる
● しかし深い親密さは滅多に築かれない
● 優れた想像力をもっている
● 相手を自分の世界観に引き込むような話術をもっている
● 表現豊かで落ち着いた印象を与える
● 時間にルーズで詳細なプランニングが苦手
● とっさの閃き、カン、印象に頼り、信念を持たない
● ワクワクする、インスピレーションを与えるような仕事が好き
● 男よりパワーを持ちたいと願っている(力はないから法律と演技で)
● 自分は病気だと思うことで感情的問題に直面するのを避けることがある
● 母親は競争心が強く、冷たく、怒りっぽく、やきもち焼き
● 父親的存在を探し求めている
● 父親への深い、苦々しい思いを抱いている



◆演技性人格障害の性格的特徴

自己中心的で、虚栄心が強く、わがままで、子供っぽい性格が多いようです。

一つの物事を論理的に熟慮することや、具体的なデータ(証拠)に基づいて意見を述べることが苦手であり、その場の感情(気分)や印象に基づいて性急な判断をしてしまうことが多い。

1. 自己顕示性
自分を実際よりもよく見せたい。

2. 情緒不安定性
一見すると他人を振り回して行動しているように思われるが、その真実は実に小さく不完全なもので、危うさ、不安に満ちています。
支配的に振る舞うことでかろうじて安定化を図っているのです。

3. 被暗示性
情緒不安定と同じく、他人や環境に合わせることで、安定化を図るのです。

4. 魅惑性
わざとらしく表面的で挑発的な態度にでるのは、背後に深い罪悪感を抱えていることが多いようです。
このことは、魅惑的な行動に走らせる一因となっています。


● 注目の的になっていないと、面白くない。
● 他人との交流では、しばしば不適切なほど、性的に誘惑的、あるいは挑発的な行動をとる。
● 浅はかで、感情が急にガラリと変わる。
● 注目を得るためにボディーラインを利用する。
● 話しぶりは印象的だが、内容がない。
● ヒーローやヒロインになった気分で、芝居がかった態度や派手な感情の表し方をする。
● 人との関係を、実際以上に親密だと思い込む。


特にネット上は「演技性人格障害」者の格好の舞台です。

一見普通に見えるのに、何かおかしいものを感じるようなら、一歩引いて、理由を客観的に分析してみることをお勧めします。



演技性人格障害の人は、

『他者からの注目・承認・愛情』と、『自分の身体的魅力・外見的能力』
という「外部的な要素」を価値判断の基準として重視していますが、

『自分の真の感情・欲求・生き甲斐』
といった「内部的な要素」を上手く認識できなくなっています。


過度の外向性と社交性を示して多くの人と交流しているのに、精神的な孤独感や空虚感を感じていることがありますが、それは、『自分とは何か?何を目的にして生きているのか?自分は何をしたいと思っているのか?』という自己アイデンティティが拡散しているからです。

『自分が何をしたいのか』ではなく、『他人がそれをどのように考えるのか』という判断基準で自分の行動を選択しているので、『他者からの関心や承認』を失った時にどのように行動すれば良いのか分からなくなってしまうのです。

他人が自分をどう評価するのかという、『他者との関係性』のみによって自己アイデンティティを形成するので、他人に好かれて嫌われないようにするために、『真実の自己(本当の感情や欲求)』を無視するようになります。

自分の欲求を抑圧して、他人を喜ばせるための、『演技的な振る舞い』をしている内に、自己アイデンティティの拡散や自己の存在感の希薄化が起こってくることがあります。

他人からより多くの注目を集めるために、『演技的な言動』をしますが、ありのままの、『真の自己・現実の生活』に魅力がない場合には、自己欺瞞や虚言(嘘)・誇張(大袈裟)などの問題が起こってきます。

現実を誇張するのは、話をできるだけ面白くすれば他人が興味を持ってくれるからであり、嘘をついてしまうのは、『魅力的な自己(興味深い自分)』を演出し続けないと、他人から飽きられて愛情を失ってしまうのではないか、と恐れているからです。


不安定な演技性人格障害の本態『自分自身の内面・思考・目的意識への関心の薄さ』にあるとも言えます。


なぜ、演技性人格障害者は、生活の場でのスポットライトを求め、輝かしい自分を見てもらおうとするのか。
実は、心の底には、
「自分は一度も愛されたことがない、いつも愛されていたい」
という強い欲求があるのだ。

ところが諦めから、この願望を無意識のうちに押し殺して生きてきた。
切々たる思いは、やがて屈折した表現として言動の端々に出てくるようになる。
性的に誘惑して、愛を得ようとするのだ。
誰よりも愛が多くなければ、承知しない。
それが少しでも減ったと感じれば、癇癪をおこしてしまう。

根底にあるのは、「自分は必要とされている存在」と感じたい欲求のようです。



◆演技性人格障害の診断基準

以下の8つのうち5つ(またはそれ以上)で診断される。

1)自分が注目の的になっていない状況では楽しくない
自分が参加できない話題が続くと、無理矢理話題を切り替えたり、ことさら自分に関心を向けさせようとする。
注目を集めるためなら、他人の模倣・自傷・自殺未遂等、どんなことでもする。
全体をまとめてグループを形成しようとする一方で、グループ内の個々が自分を飛ばして交流するのを嫌う。
実は見栄っ張り。

2)他人との交流は、しばしば不適切なほどに性的に誘惑的または挑発的な行動によって特徴づけられる
『異性として好意を持たれている』と相手に思わせかねない発言・行動を、不特定多数の相手に抵抗なく行う。

3)浅薄ですばやく変化する感情表出を示す
時に激情的。もしくは過度に弱さを表現する。

4)自分への関心を引くために絶えず身体的外見を用いる
実際の自分自身より、イメージを作り上げて関心を引こうとする。
資力・才能・人脈等を必要以上にひけらかす。
必要以上と思われるほど化粧・服装・アクセサリー等で身を飾る。

5)過度に印象的だが内容の詳細がない話し方をする
話す内容が万人受けに浅く、自分のことばかりなのに本人の現実像を特定できない話が多い。
たまに深いものや面白い内容のものがあっても、たいていは他人の影響か受け売りである。
時に意味もなく抽象的で思わせぶりな表現を多用する。
語彙が少なく、言葉以上には含みのない単語を使うことが多い。

6)自己演技化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現
自分に起きた些細なことを劇的に表現する。
話を自分に都合の良いように脚色する(もしくは本気でそう思いこんでいる)。
自分自身の情報をあえて誤認させ、相手に期待させるような話し方をする。

7)被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい
人の話に左右されやすい。
人のしていることを疑問なくそのまま真似る。
話題に上ったものは多少高額でもすぐ手に入れようとする。
しかし関心は一時的なものなので、趣味として長続きしない。

8)対人関係を実際以上に親密なものとみなす
実際はそれほどでもないのに、自分が相手にとって重要な存在であると思いこみ、そのように振る舞う。
望まれていないのに、お節介と称して他人の深いところに踏み込んでくる。



◆演技性人格障害の各種タイプ

セオドア・ミロンの演技性人格障害についての仮説によると、
『芝居がかったタイプ・幼児的なタイプ・陽気なタイプ・宥和的なタイプ・凶暴なタイプ・不誠実なタイプ』
の6つのタイプに分類することが出来ます。


● 芝居がかったタイプ

最も典型的なタイプであり、『誇張された演技的な行動』と、『派手でセクシーなファッション(外観)』で他人の注目・賞賛を集めようとします。

他人に好かれるようなパフォーマンスをいつも意識しており、他人に嫌われないような迎合性(調和性)を十分に備えていますが、『自分の内面的な感情・思考・知性』に関心が弱く自己アイデンティティは一般に不安定です。

身体的な魅力と外見的な評価に非常に敏感であり、絶えず、『自分が他人にどう見られているのか』を気にしていますが、『自分自身が何をしたいと思っているのか』という目的意識が拡散しやすいという特徴があります。

『他人の拒絶(無視)』によって精神的ショックを受けやすく、『他人と区別された自己イメージ』を持てないので安定した自己アイデンティティを確立できないのです。


● 幼児的なタイプ

境界性人格障害と類似した、『退行的な依存性(しがみつき)』と、『対人関係の不安定性(他者の理想化とこきおろしの両価性)』の特徴を示し、幼稚な感情表現と要求行動によって他人をコントロールしようとします。

『自己と他者の境界線』が曖昧であり、本能的な欲求を依存的に満たそうとするので、特定の他者に対する、『愛着』が強くなりやすくなります。

適応的な自我機能が低下しているので、自立した大人同士の人間関係を結べず、自分の行動に対する責任も適切に果たすことができませんが、『相手からの承認(評価)』を得るために、相手の機嫌を取る』ような部分があるので、『愛嬌のある親しみやすい人物』として認知されていることもあります。

社会的な規則や現実の人間関係に従って欲求を満たす、『現実原則』を守れず、快楽を直接的に追い求める、『快楽原則』によって行動します。

その結果、『他人から注目される快楽』を感じると、歓喜や愛情を感じ、『他人から認められない不快』を感じると、すぐに激しい怒りや強い抑うつ感を感じるという特徴があります。

最大の特徴は、境界性人格障害と同じ、『極端な対人評価の変化(理想化と他者否定の両価性)』であり、『他人が自分を認めるか認めないか』によって頻繁に気分や感情が変化します。


● 陽気なタイプ

双極Ⅱ型障害に近似する、『軽躁状態』の特徴を併せ持った演技性人格障害であり、一見してエネルギッシュな行動力と魅力的な外観、ハイテンションな態度を持つ人物だと分かります。

非常に活発なライフスタイルと一時的な興奮・刺激を求める衝動性(冒険心)を持っており、社交的に振る舞いながら、『多くの良好な人間関係』を維持しています。

派手なファッションと情熱的な語り口調、楽観主義のスタンスに特徴があり、いつも何か楽しい行動に他人を巻き込もうとしています。

他人を引き寄せる誘惑的な魅力と優雅な華やかさがあるので、大勢の仲間を集めて色々な仕事や企画に取り組むことがあるのですが、計画性・継続性・忍耐力に欠けるので、なかなか良い結果を出すことができません。

楽観主義の認識に基づいて次々と行動する陽気なタイプは、『計画の成功』よりも、『みんなと一緒に楽しむ』ことを優先し、『長期的な利益』よりも、『刹那的な快楽』を重視します。

ノリのいいお調子者でエネルギーに満ち溢れた人物という印象がありますが、最後まで物事をやり遂げる責任感と持続力がないので、『初めは勢いがあるが、結局、最後は失敗してしまうというパターン』を繰り返してしまいます。

最大の特徴は、『他人を巻き込むエネルギッシュな行動力』と、『ネガティブにならない楽天性』であり、良くも悪くも大勢の人間を自分の活動や興味に引き込んでいくことになります。


● 宥和的なタイプ

『他人に嫌われないこと・他人に好かれること』を最優先して自己犠牲的に行動する演技性人格障害であり、自分の意見や考えを過度に抑圧して他人の機嫌を取って喜ばせようとします。

宥和というのは、『他人と妥協して合わせる・他人の不満をなだめる』という意味であり、宥和的なタイプの人は、『対人関係におけるトラブルや疎外(孤立)』を非常に恐れています。

自分が相手に譲ったり妥協することで物事が丸く収まれば良いと考え、強迫的に、『他人の行動・発言』を高く評価します。

相手の行動が正しいのか間違っているのかを客観的に判断するのではなく、『相手からの評価・賞賛』を得るために相手のことを認めて肯定するというのが特徴です。

『自分は誰にも愛されない・自分の人格には中身がなく空虚である』という自己評価の低さを抱えた人が多く、他人にお世辞を言ったり賞賛したりすることで自己評価を高めようとします。

宥和的なタイプの人が採用する適応戦略は、とにかく相手に嫌われないようにして、ご機嫌取りをすることで、『自分の存在意義や居場所』を認めてもらおうとするものなのです。

その自己犠牲的(自己抑圧的)な適応戦略が通用しない相手に対しても、『怒りや不満』を感じることはなく、『自己否定的な罪悪感・無力感』を感じてしまいます。

強迫性人格障害に見られる、『強い罪悪感』を持ち、他人よりも自分は劣っているという、『強い劣等感』があるので主体的な行動をすることができないのです。

自分に対する自信と肯定感がないので、他人から拒絶的な態度を取られると、『自分に魅力や才能がないから嫌われるのだ』とネガティブに考え込んでしまい、抑うつ状態に陥ってしまうこともあります。


● 凶暴なタイプ

不安定な感情と攻撃的な衝動性を抱えている演技性人格障害で、反社会性人格障害の特徴とオーバーラップする部分を持っています。

しかし、表面的な社会適応性やコミュニケーション・スキルは高く、初対面の相手には、『社交的で活発に行動する印象・情熱的で積極的に他人と関わろうとする印象・エネルギッシュで意欲的に仕事に取り組む印象』を与えます。

他人に自分の趣味を勧めたりと、やや強引で押し付けがましい印象があるものの、情熱的で行動力があり、他人と楽しく会話できる社交性に富んだ人物に見えることが多いようです。

しかし、自分に対する批判や反論を許すことができず、自分の欲求が満たされないと、途端に機嫌が悪くなるような、『フラストレーション耐性の低さ』があり、全体的な人格構造に幼稚な未熟さやバランスの悪さが見られます。

周囲にいる他者が自分の考えや意見に注目して認めてくれている間は、非常に魅力的で有能な人物として評価されるのですが、周囲の人たちが自分の意見に反対したり他の人物が場の主導権を握ったりすると、突然、憤怒の感情を露わにしたり、意欲を喪失して抑うつ状態になったりします。

『周囲の人の反対や拒絶』によって、急に仕事のやる気を無くして投げやりな態度を取ったり、周りの人に八つ当たりして粗暴な振る舞いをしたりします。

凶暴なタイプの中核的特徴は、『衝動性の制御困難・フラストレーション耐性の低さ・情緒面の発達の未熟性・幼児的な他者への依存性』にあると言えるでしょう。

自分の激しい感情に翻弄されて不適応な逸脱行動(嗜癖行動)を取ったり、他人の承認が得られないと自分の存在が希薄になって自己アイデンティティが拡散したりするので、境界性人格障害と共通する特徴も多く持っています。


● 不誠実なタイプ

凶暴なタイプよりも狡猾かつ計画的に他人を利用しようとする演技性人格障害のタイプであり、反社会性人格障害により近い特徴を併せ持っています。

凶暴なタイプ以上に、『表面的な社会適応性・一時的な対人スキル・第一印象による対人魅力』が極めて高く、初対面の人が不誠実なタイプの人と会話をすると、『信頼できる温和な人物・社交的で一緒にいると楽しくなる人物・会話スキルが高くとても魅力的な人物』といった評価をしてしまいます。

しかし、知り合ったばかりの相手に、『自分を深く信用させるための演技的な努力』を惜しまず、『自分と相手との情緒的な人間関係』が十分に確立してから相手を不誠実に裏切り自己中心的に利用し始めるという特徴を持っています。

そのため、相手は、『誠実で優しかったあの人』が急に、『不誠実で自分勝手な人』に変貌したという感想を抱くことになりますが、不誠実なタイプの人は、『自分を信頼してくれる相手』を理不尽に裏切って利用することに罪悪感を感じません。

反対に、計算高い、『不誠実なタイプ』の演技性人格障害では、『どうすれば相手が自分の思い通りに行動してくれるのか・どのように謝れば相手は自分を再び許してくれるのか』を十分に考えて行動しています。

そのため、『相手の善意・良心・反省』に期待して自己犠牲的に尽くす人ほど、不誠実なタイプの人に騙されて利用されやすくなりますが、社会経済的能力が低いことが多い不誠実なタイプは、『相手からの別離・絶縁・無視』に弱いので、反対に不誠実なタイプの人のほうが『(絶縁を匂わせる)相手の反応』によってコントロールされてしまうこともあります。




◆演技性人格障害の関連病

病的虚言症「プソイドロギア・ファンタスティカ

自分を実際以上に見せるために、あらゆる妄想虚言を吐く、一群の病気。

・ 願望による妄想を事実であるかのように語る。
・ 外見を良くするために化粧をするが、それと同じ感覚で外見を良くするために虚言を吐く。
・ 有名人や権力者と知り合いであるかのように、会話中にはネーム・ドロッピングを行う。
・ 詐欺などの犯罪を犯すこともある。



◆演技性人格障害の併発病

生育歴及び家庭環境(過干渉・虐待)により、境界性人格障害を併発している場合もある。

境界性人格障害、DSM-IV-TRの診断基準の中で、3項目以上、特に

1. 見捨てられ不安
2. 理想化とこき下ろしに特徴づけられる不安定な対人関係
3. 怒りの制御の困難

が、周囲から客観的に判断できる場合、境界性人格障害の併発を疑う。



◆演技性人格障害の治療

演技性人格障害者が自ら悩み、病院を訪れることはない。
本人は悩んでいないからだ。

この障害は本人に「治そう」という気がない限り難しい病気です。
多くの患者さんは、アルコール依存症であったりうつ病で病院を訪れることが多いようです。

ただ、この人格障害は転換性障害解離性障害を合併しやすい。

これらの病気にこの障害が隠れていることが分かり、治療が始まる。


症状

演技性人格障害は劇的な感情や行動が特徴です。

自分が中心で泣ければ気がすまず、関心を引くためにかんしゃくを起こしたり、涙を流したり、他人を非難したりもします。

また、人を騒がせて、法律を犯したりする場合もあるようです。


診断

演技性人格障害特有の症状から診断がされます。

統合失調症精神病性気分障害などと区別することが大切です。

しかし、どの人格障害かを判別することはなかなか困難なようで、複数の人格障害の診断がされる場合が多いようです。