大分のカボスと青いレモン | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

酸味の薬味として一般的に使われるのはレモンだが、四国のスダチのように大分ではカボスだ。野人は小さい頃から刺身でも塩焼きでも吸い物でも常にカボスが使われカボスで育った。風邪をひいたり、夜遅くまで起きている時はカボス湯に蜂蜜を入れて飲んだものだ。レモンはまったく使ったことがなく、せいぜいダイダイくらいだ。だからレモンよりもカボスのほうが馴染みがある。スダチも似たところはあるがカボスとは風味が異なり、一回り小さい。学生時代も郷里からカボスが送られてくると嬉しくてたまらなかった。今でもカボスが好きなことには変わりないが、次に好きなものが青いレモンだ。黄色いレモンには何の感動もなく、あれば使う程度だ。取りたての硬く青いレモンの香りは強烈で、黄色いレモンとは異なる。ライムに似た香りがあり食欲をそそられるのだ。レモンのフェロモンとも言えそうだから「フェレモン」と名付けた。このフェレモンが好きだからレモンの木を何本も植えている。果汁よりも皮の香りが好きなのだ。農薬を使わなければ安心して皮をふんだんに使える。この皮を何とか香辛料に使えないものかチャレンジしてみたいのだ。乾燥した皮と葉の粉末に甘茶の粉末をブレンドして「三味」などどうだろうか。