「寒い日はこれを食べて温まろう!」
企画第4弾は、『牛鍋』。
明治19年創業の老舗牛鍋屋「米久本店」さん。
今半、ちんや、そして米久が浅草の牛鍋御三家。
その中でも地元の浅草っ子に最も愛されているのが米久だ。
ガラガラガラと引き戸を開けると下足番が履物を預かってくれる。
下足札を預かり、「一名様ごあんな~い」と太鼓がド~ン!
2人ならドンドン、3名様ならドンドンドン。
座敷は満席でテーブル席に通される。
赤富士の絵が縁起がいい。
品書きは牛鍋のみ。
最近は「すき焼き」という言い方が一般的だが、ここでは昔のままの「牛鍋」。
和服姿のお運びさんの中でひときわ目を引く石原さとみちゃん似の可愛い子。
さとみちゃんが通るのを待って手を挙げる。
「スイマセン、ちょっとお待ちくださ~い」
「ハイ!お決まりですか」
代わって返事したのはさとみちゃんのすぐ後ろにいたお兄さん。
さとみちゃんに見とれてお兄さんの存在に気付かなかった。
「上の牛鍋とごはん、味噌汁、お新香をお願いね」
「あっ、それからお燗1本」
お兄さんには何の罪もないのだが不機嫌な口調。
テキパキと鍋がセットされる。
右下の木札を「下足札」というが、東京でも見かけることが少なくなった。
都内で桜正宗を出す店は日本橋の「吉野鮨」とこの店しか知らない。
和食に合う酒で、お燗の温度も最適。
お通しは牛肉の佃煮。
ほどなくしてお肉の登場。
お肉はもちろん国産和牛。
特上は脂が多すぎるので上の方が好みなのだ。
ざくはネギ、白滝、焼き豆腐、春菊。
最初はお兄さんが焼いてくれる。
・・・・・
お隣のテーブルは看板娘のさとみちゃんが笑顔で焼いていて、お客さんとの会話も楽しそう。
割り下を加えグツグツ。
●上の牛鍋+食事セット(3,160円+960円)
お食事セット。
ツヤツヤご飯に、豆腐の味噌汁、それに昔のままのぬか漬け。
ちゃんと糠に漬けて、ちゃんと発酵させればちゃんと美味い。
よし、もう食べごろだ。
玉子に潜らせ、フーフー・・・
おっ!コレコレ。
ただ柔らかいだけじゃなく、肉の旨さが素晴らしく割り下も好み。
後半戦からは自分で作る。
割り下を足して肉と野菜を煮込んでいき、春菊はさっと火を通すだけでいい。
白菜を入れる地方もあるし、それも嫌いじゃないが米久ではあくまで肉が主役でざくは家来。
その家来たちもいい仕事してるね。
ごはんの上に乗っけて牛丼風で食べてももよござんす。
完食し終わった頃にはお腹もパンパン。
美味しい食事をいただき感謝をこめて
「ごちそうさま!」
【お店】 ★
・米久本店
・東京都台東区浅草2-17-10
【本日の名曲コーナー】
東京で繁華な 浅草は
雷門 仲見世 浅草寺
鳩ポッポ豆売るおばあさん
活動 十二階 花屋敷
鮨、おこし、牛、天ぷら
何だとこん畜生でお巡りさん
スリに 乞食に かっぱらい
ラメチャンタラギッチョンチョンデ
パイノパイノパイ
パリコトパナナデフライフライフライ
大正7年のヒット曲「パイのパイのパイ(東京節)」
第一次大戦の勝利によって世界の五大国になり最も日本が明るかったこの時代。
大正時代の東京の賑わいが目に浮かぶような楽しい歌だ。
映像に写っている当時の人たちも「米久本店」の牛鍋を食したことだろう。