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そろそろ新下駄配列について書きたいことも尽きてきました。でも、それでいいのです。「新下駄配列について書きたいこと」よりも「新下駄配列を活用して書きたいこと」の方が重要なので、正しい生活に戻るといったところでしょうか。
今回は、新下駄配列の誤打鍵対策です。
●誤打鍵の分類
-単打しようとしてミス
-2単打のつもりが1文字になってしまう(「なか」→「え」など)
★最適化とその副作用 についての記事に書いたとおり、
設定の調整とマルカート打ちの会得が解決策です。
-「げ」「ぐ」「ー」「つ」「ぶ」などが近隣の文字になってしまう
★英文タイプ等でも同じ問題を抱えていますね? フォーム矯正
したほうが良いでしょう。ホームポジションの時に、人差し指や
小指が伸び過ぎてしまっていないかどうか確認しましょう。
-それ以外の勘違い・記憶違いによるミスタイプ
★単打面の練習が何よりも重要です。
13日間新下駄配列マスターコース BASIC Lesson を
初めからきっちりやってみて下さい。少なくとも「表」面の
癖付けが不足することはあり得ない造りになっています。
-同時打鍵しようとしてミス
-1同時打鍵のつもりが2文字になってしまう(「れ」→「かい」など)
★同時打鍵が不正確です。分速120拍くらいのゆっくりしたペースで、
同時打鍵の遅れの許容を1/40秒くらいに厳しくして練習すると、
よいのではないでしょうか。
-右手と左手がごっちゃになる(「べ:ぼ」/「め:や」/「ど:ご」など)
★両方の字を含む文を練習します。本稿の下の方に載せました。
-横ずれしてしまう(「や:よ」/「じ:あ」/「だ:わ」/「ろ:ぬ」など)
★両方の字を含む文を練習します。本稿の下の方に載せました。
-それ以外の勘違い・記憶違いによるミスタイプ
★苦手なシフト面を集中的に復習してください。
13日間新下駄配列マスターコース BASIC Lesson を
苦手なシフト面についてやり直してみてください。
-運指通りにキーを反応させられなかったミス
-思い通りに指は動いたのに、キーボードが反応してくれない
★性能の良いキーボードに買い換えましょう!
-思い通りに指は動いたのに、打鍵し切れていない
★タッチの軽いキーボードに買い換えましょう!
●右手と左手の上下関係
右手と左手の上下関係がごっちゃになる、また、右手と左手の上下関係が同じ文字同士がごっちゃになる、という現象が私自身も時々ありました。そんなときのために、練習フレーズを用意しましたので、繰り返し打ってみてください。
BASIC Lessonと同じコンセプトで「対象文字セット+単打面のみからなる文字列」を示しますが、「ヴ」だけは小書き文字を使わないと例文が作れないのでそれだけ原則から外れますが勘弁してください。また、人工的な文字列で申し訳ありませんが、タイピング練習用文字列なんて電波なものだと思いますので。
(1)中段+中段
織江さんは、へそをホジられず、お湯も浴びない。
(2)中段+下段
便秘なのに、ぷぷぷぷっとヴィヴァーチェなのね。
早稲田でポン。
(3)中段+上段
ウェイター君、しーうぉんつうぉーたー。
パペットのジェシカがシェイク。
宿の暦。
(4)下段+中段
ぼろぼろの座像は偽善のフォルム。
タヌキにたづな。
(5)上段+中段
鼻血の合計は不明。
ティファールとフェンディはフィットしない。
いやいや、低頻度文字を組み込んだ文字列はS/N比が良くないですね。でも、よく間違えるものを上書きするには、電波であれなんであれ、コンテクストがあったほうが良いのです。もっと良い例文があり得るはずだと思うので、どなたか教えてください。
●おまけ
私が新下駄を使う理由とか、書き出すとこれまたそれなりに書けてしまいそうなので、書きたい欲を吐き出しておくために、ここに添えておきます。誰がどう読んでも「チラ裏」です。私自身にとってさえ。
文章を書くことを生業にしているか、それが仕事の重要な一部を占めている人であれば、基本的な能力としてタイピングや口述を遥かに超えるスピードで作文することができます。もう少し具体的に言えば、200~400字程度を塊として(必ずしもパラグラフというわけではなく)、数個から数十個の塊を考えながら文章を書くことができるものです。それだけを取り出せば、たぶん、読むよりも速いはずです。書くという作業は、実は自分の書いたものをリアルタイムで読むことを中心とした作業であって、頭の中にあるものを、明確な文章として記録してしまっても狂いはないかを確かめて行く作業なのです。
余談めきますが、口述筆記という高速化手段は、そこに問題があります。書きつつある文章の字面というフィードバックがないと、「ゆがみ」のようなものが発生してしまいがちだからです。一方で、いくら速いタイプができても、書いていることを意識せずに自然に書けなければ、文章を「読む」ことに集中できない。そういう意味で、読むように書けるよう「速くて疲れず」、読むことを妨げないよう「気が散らない」という入力方式が、文章を書くために必要なのです。私にとっての新下駄配列は、その要請に応えてくれるものです。
そしてもうひとつ、「速くて疲れない」こと、「気が散らない」ことを上回る選択の要因があります。これは、配列作者の皆様には誠に申し訳ないことに、配列作者がコントロールしきれるものではありません。NICOLAが私に全く合わないのは、NICOLAの開発者の責ではないでしょう。それは、タイプしたときの語感が自分と合うかどうかです。例えば「ヴァイオリン」は、QWERTYではごくごくスマートで素直な言葉ですが、JISかなでは勢いのある言葉、新下駄では生硬な言葉になります。「あしざま」なら、ひねくれた表現/強い表現/平易であっさりした表現という対比を感じます。こういう打鍵による語感が自分の語感と合うかどうか、そこが決定的だと私は思っています。完璧などありませんが、面白いことにこれには傾向があって、合わない配列はことごとく合わないのです。
だからこそ、たくさんのマイナー配列が乱立している今の状況は、歓迎すべき事態です。むしろもっと選択肢があっていい。ただし、日本語入力の世界の隅っこで乱立しているのではなく、願わくば、比較的有力なマイナー配列のシェアがもっと上がって、QWERTYやJISかなの層を削り取って、百花繚乱になって欲しいと思っています。
今度こそしばらく更新しないと思います。それが正しいことなのです……!