大川の有志の方々と木工の町を盛り上げる!で、
木製サッシ製造と他業種誘致を提案したわけですが、
わたくしひとりで出来るわけではないので、
手伝いに当時の仕事仲間の連中を呼び寄せました。
他にもいくつかの製品メーカーさんの販促活動やイベント企画なども
同時に進めなければならないし、そのための資金も必要だし、
ということで、

具体的に次のような絵を描いたんです。
「おおかわ総研」の設立です。

地域の状況を一番よく知るのは地元の銀行だから、銀行の担当企業の問題抽出する。
で、その問題点を、長期的問題、短期的問題、お金の出の問題、お金の入りの問題に分類する。
4つの問題点でひとつに偏っているところから相談を受ける。

で、その相談を受けるための組織、プロジェクトを推進する地元専門のシンクタンク「おおかわ総研」をつくる。
「おおかわ総研」の株主と役員は地元企業の中から募る。
「おおかわ総研」に地域の有志から一次的な資金を集め株式会社化する。
「おおかわ総研」は作業実費以外のコンサルタント料は取らない。

その「おおかわ総研」は、自ら相談企業に提案する事業企画に人的・アイデア・資金を投資する。
「おおかわ総研」は、相談企業の株主の一部になり、新規事業で得た利益の配当を受ける。
銀行は「おおかわ総研」の実績を見て「おおかわ総研」に融資をおこなう。
「おおかわ総研」は、その資金でさらに地元企業に提案型の投資をおこなう。
その繰り返しによって「おおかわ総研」に人的にも知的にも物質的にも資産を集めていく。
「おおかわ総研」の株式は地域で持ち合いながら増資する。
最終的に「おおかわ総研」を上場させる。
共同組合ではなく、地域産業のホールディングカンパニーみたいなことができないか、、

という骨子を考えたんですね。
後の法的、手続き的な現実性は専門家に任せるとして、
街全体が産業組織みたいなものなのだから、
当時、世間を賑わせていたIT企業のIPOみたいなことに
町の人みんながかかわれれば最高だな、と思ったんですよ。

当時のニュースではホリエモンが「金でなんでも買える。」とか、
ソフトバンクが最高利益だとか騒いでいましたけれど、
それらは、ほとんどの日本国民に関係のないニュースなんですよ。
本来なら大企業の経営とか経営者というのは、資産数百倍になって外車買ったとか、
今日の昼飯に何食ったとか、何年もののワイン飲んだとか、タレント呼んでパーティーしたとか、
そんなことをマスコミに宣伝してもらって喜ぶような下品なことはしちゃいけないんです。

正直マスコミが狂ったようにそんなニュース流したところで、
普通の生活をしている人にとっては、気持ちが焦らされるか、
何か自分のやっていることに自信が持てなくなるか、
ねたみや、そねみや、あきらめとか、つまらなさ、そんな気持ちしか起きないんだよ!

誰かがどこかでうまいことやっているんじゃないだろうか、、、
この社会には秘密のショートカットがあって、
それを一部の人間で占有しているんではなかろうか、、、
自分だけ損してるんではなかろうか、と不安にしておいて、
人々に
「チーズは、、」とか、「何かになれる七つの言葉」とか、
「なんたら力」とかのタイトルがついた本を買わせようという仕組みなんですよ。

そんなときに、奴らが準備した最先端の経済の仕組みをうまくつかって、
最後端のものづくり産業が蘇ったらどうよ。
田舎の地域産業、町の人全員がストックオプションを持つことが出来たら
面白いじゃないですか!
木を削りながら、漆塗りながら、自分の町の株価に一喜一憂とか

ちょうど建設会社の企業内熟練とか教育についての経済研究もしていましたので、
それを町とかもっと大きな経済主体の帰属意識ではなくて、共同体が経済主体に
なる方法とか考えていたときだったんですね。
スペインのバスク地方にモンドラゴンという町があるのですが、そこの共同体企業
というのも論文で研究してたんですよ。

このモンドラゴンについてはいつかこのブログでもくっっ詳しく説明します。
あと、共同体内での経済効果を学習とかスキルの上達で考えている経済学者では、
エティエンヌ・ウェンガーという人もいます。Etienne Wenger  

 Etienne Wenger home page

いろんなプロジェクトが成功したらモンドラゴンみたいに
大川が有名になると
いいな、と思ってました。

木製サッシュの事業目論見ですが、
わが国の年間着工棟数って大体100万戸(最近は減ってます)っていわれております。
そのうち戸建住宅割合は大体3割として30万戸、
そのうちのシェア1%でもいいから木製サッシュが食い込めれば3000戸、
1戸あたりの平均工事費用は3000万円とか言われていますが、
そのうち建材の占める割合は3割。
一般的に1戸あたりに使われるサッシュの金額が200万円くらいとして、
100万円×3000だと60億円ということになります。
まあ、これはサッシュ工事費だから、サッシュ素材として考えてその三分の一でも、
初年度から20億円の売り上げでしょうか、、、、

実際に国内の木製サッシュのシェアは1%程度と言われておりまして、
そのうちの8割が輸入サッシュなんです。


ただ、毎月毎月最寄りの佐賀空港と羽田を往復ってけっこうかかるんですよね。
福岡で降りて、西鉄で柳川という手もあるんですが、、

ということで、
わたくしの事務所の出張所として、大川にアパートも借りる準備してたんですね。
当然、そのアパートをどこにするかも銀行の融資先で一部屋埋まってるかどうかが、
損益分岐点のところを借りる段取りにしてました。
で、わたくしたちは「おおかわ総研」の研究員に属して経費支給してもらう。

また、工場誘致に関して土地所有の丸太の加工をおこなっている工場が、

杉の間伐材5~10センチ幅をハギ合わせにした板を製作していたのですが、
この板を建具にして製品化して売りたいと、、杉の木目が感じいい扉でしたが、
完成品の扉になってしまうとプリント合板系と競い合いになってしまい、
価格競争に勝てないんですね。
で、せっかくの間伐材の利用やハギ合わせ板づくりの工場運営も大変そうでした。
このパネルを3000円くらいの定価にしたいんだけど、、、
扉にまで加工していって売り値が2万円くらいだと原材料費はその半額くらいに
納めなくてはならないしし、、、

そこで私がおこなった提案は、手間をかけて安い室内ドア製品にするのを辞めて、
「そのまんま高級型枠材として売りましょう」ということです。
型枠というのはコンクリートを流し込んで固めるときの板ですが、
皆さん、ごくごくたまにコンクリートの表面に木目が残っている打ち放しを見たことないですか?
あれって、実はすっごく高いんです。
でも、この10年ほどリバイバルで流行っているんです。
元々、ベニヤが一般的になるまではコンクリートというのは杉の小幅板を合わせて型枠に
していたんですね。昭和40年くらいまででしょうか、、オリンピックや万博のころくらいです。

当時はベニヤの方が高かったり、人件費も安かったりでそうなっていたんですが、
その後、ベニヤが普及し表面をツルツルに加工したパネコート型枠が出て、
いわゆる今みなんさんが普通に目にするような安藤忠雄さん風味のツルッとしたコンクリートが
一般化したんです。

ところが、そのツルっとしたコンクリートがなんだか味気ない、
経年変化での質感が貧乏くさいということで、
世界の巨匠、丹下健三の代々木オリンピックプールや、
イタリアの巨匠カルロ・スカルパの一連の作品が最近見直されて、
木目が転写されたコンクリートというのが建築デザインの中で人気が出始めているんです。


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ところが、今現在、この杉板を合わせたり、釘で打ったりして型枠を組むのは、
1㎡あたりで計算して、普通のパネル打ち放し型枠工事(3000~円)の、
4倍から5倍くらい(12000~15000円)します。

それがあらかじめ杉板組んだカタチでパネル化されているのであれば、
材料を一枚4000円くらいで売っても、型枠工事費としてみれば半額、というわけです。
とりあえずは型枠事業のほうが、木製サッシュよりも儲かるんですけどね。


ということで、隔週か多いときは週の半分大川に滞在していろんな企業回ってました。
件の、自然系断熱材工場の敷地選定や銀行の事前交渉なんかにも立ち会ってました。
工場で北米サッシの見本分解して、枠断面を試作したり、あといくつかの製品を都内の案件で試験使用してみたりしてました。


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約束したあの工場にもタモ材でぶっとい手摺の発注したんですよ。

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当時設計中の世田谷区の住宅でも木関係の部材をふんだんに使用。


といった感じに、
仕組みづくりとか、話しだけじゃなく実際に使っていくことで実績づくりをしていたんですけどねえ、
1年経過するころから、だんだん雲行きが怪しくなっていくんですが、、、。


そのころの私としましては、「マキシマム ザ ホルモン」に加えて、
「墨攻」を何度も何度も読んで精神力で乗り切ろうとしていたんですけどね。
「墨攻」というのは、酒見賢一先生原作の小説、森秀樹先生によって漫画化されていまして、私にとって日本の漫画作品の中でもベリーベストな作品です。
「蒼天航路」と「墨攻」は年に数回は必ず読んでいます。

なんか、力をくれる作品なんですよね。

私がマキシマム ザ ホルモンを知ったきっかけとは
家具の街大川でマキシマム ザ ホルモンを知る 2
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