引き続き、「進撃の巨人」に登場する壁についてなんですが、

高さ50メートルの壁で囲むことによって外敵から守られる世界です。
「壁」というのは遮蔽するという物理的な機能だけでなく、
世界を切り離すという意味での象徴的効果もあります。

歴史的にも「万里の長城」とか「ベルリンの壁」とかいったものがあげられます。

漫画アニメ作品の中で、他に「壁」が登場する物語はないかと思っていたのですが、
「進撃の巨人」とは間逆で、何か得体の知れないものを封じ込めておくための壁が登場する作品がありました。

それは、「DARKER THAN BLACK-黒の契約者」。
これはなかなかに、設定から世界観から凝り過ぎてちょっと難しい作品なんですが、
「新世紀エヴァンゲリオン」に「鋼の錬金術師」と「攻殻機動隊」をミックスしたような、
近未来アクションサスペンスです。


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数年前に突如起こった異変により東京に「ヘルズゲート」と呼ばれる未知の危険な領域が生じ、同時に南米に「ヘブンズゲート」が生じると同時に数億人の人間と大陸の一部が消失しました。
そのころから「契約者」と呼ばれる特殊能力をもった者らが現れ、彼らを利用しようとする世界機関と様々な組織との抗争を通じて謎が明らかに、、
といったストーリーです。

この1期の「黒の契約者」はハードボイルドな雰囲気も謎解きも含め面白いです。
また、契約者になると「ワンピース」の悪魔の実みたいな、不思議な単機能が身につくのですが、特に、MI6所属のノベンバー11の「凍らせる力」とエイプリルの「気象操作」という契約能力の組み合わせによる攻撃が非常に画期的でイイです。

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で、この未知な危険な領域を取り囲むように巨大な壁が、
ちょうど千代田区、中央区、港区、文京区、台東区を中心とする
都心エリアを封鎖しているのです。
この壁面は壁というより、超高層ビルの連続体みたいなものでしょうかね。
「進撃の巨人」も「黒の契約者」も巨大な壁が出てきましたが。
実際、こんな街を囲むような壁は象徴的効果以外ありえるのか、

歴史的にそのような連続壁に囲まれた都市というのは存在するのかというと、
日本の国土で生活する我々には想像し難いのですが、
春秋戦国時代から明代の中国大陸や、ローマ以降から中世のヨーロッパ大陸では、
割と当たり前だったみたいです。

かの地では、地形的に障害物のない平原が何千キロも続いているため、
都市国家どおしの抗争がおこると真正面から民族同士のぶつかり合いになるので、
殲滅戦に近く、街ごと、国民ごと防衛しなければならかったからです。

現在でもその遺構が見られます。
中国の西安、
平遥とか、ヨーロッパではスペインのアビラとかルーゴなどがそうです。

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   西安

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    平遥
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   アビラ
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    ルーゴ

中国大陸やヨーロッパ大陸の都市のほとんどは、このような都邑、城郭都市であったようです。
下図はドイツのニュルンベルグの古い地図ですが、街ごと城壁に囲まれていますね。


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上記写真の中国の都市城壁もヨーロッパの都市城壁も高さがだいたい、
12メートルから15メートルで出来ています。
構造方法も両者ともレンガや切石の積石造ですね。
文化圏も時代も違うのに、高さが12~15メートルということは構造限界なのか、
それとも、攻城兵器や武器の効能がその高さまでで防御可能だったのか、

そんな理由が伺えます。

「進撃の巨人」における建築的考察 1
「進撃の巨人」における建築的考察 2
「進撃の巨人」における建築的考察 3

「進撃の巨人」における建築的考察 5
「進撃の巨人」における建築的考察 6