象亮 第二十八話「ガンジス、オッパッピー」(前編) | ミドさんのばった寿司

象亮 第二十八話「ガンジス、オッパッピー」(前編)

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八月九日、この日は石森市の夏祭り。


朝もはよから祭りの機運が漂っている。


かくいう我らが亮はというと…いつも通り綾とほのぼのとニチアサをのんびりと見ていた。


亮「シンケンジャーみたいなサムライジャー、南光太郎にそっくりな哲夫さん…ここんとこ新たな出会いが多いなあ…今度はもしかして」


綾「アマゾンにそっくりなライダーと出会ったりして、なんて思ってる?」


亮「ビンゴ!なんでわかったの?」


綾「りょーくんの考えてることくらいわかるよw」


亮「綾ちゃんこそ、今日の夏祭りにゲストでオードリー来ないかな?なんて思ってない?」


綾「それはないよ、あんな忙しい人たちがこんな田舎に来れるわけないって^^;」


亮「だよな…いっぺん生で「トゥース!」見たいけど^^」


綾「それは同感ーw」


一般に、亮が「でかいガキ」で綾が「見た目より大人」というイメージがあるが根っこのところは二人ともまだまだお子ちゃまである^^;




第二十八話「ガンジス、オッパッピー」




15時、お祭りスタートののろしが上がり、亮と綾は祭り会場に向かう。


その道中、亮は柄にもなく何か考え事をしていた。


綾「どしたのりょーくん、考え事なんかしてらしくないよ?」


亮「いや…これからのことをちょっとね」


綾「これからのこと?」


亮「先週、哲夫さんが「俺は二十年戦ってきた」って言ってたり、象外鬼の他にもサムライジャーが戦っている難化妖ってのがいたり…」


綾「ああ…ここんとこ色んな事があったからね…」


亮「で思うんだよ、おれはこれからどんな人生を送るんだろうかって」


綾「うーん…」


亮「象外鬼や難化妖、クライゴム(はぐれ象外鬼の一派)の他にもまだまだ敵は多そうだな…」


綾「でもさ、難化妖にはサムライジャーが、クライゴムには哲夫さんがそれぞれ対峙してたんだからりょーくんはまず象外鬼を一掃すること考えたほうがいいと思うな」


亮「そうか、そうだよな。もし未知の敵が現れたとしてもきっとそのスペシャリストがいるはずだし」


綾「それを言ったらりょーくんだって象外鬼退治のすぺしゃりすとなんだからもっと自分に自信持ってw」


亮「そうだな、何かあったら何かあった時考えることにしよう、象外鬼だったらおれと淳、そして綾ちゃんがいればなんとかなるだろう」


綾「そうそうwってちゃっかりあたしも入ってる^^」


亮「おれと淳は倒すことはできても封印は出来ないから」


綾「だったらせっかくだしあたしも変身したーい!」


亮「象外鬼に憑かれれば?」


綾「それはちょっと…正直顔怖いし^^;」


象飛蝗「綾に憑いたら俺たちのほうが負けるっちゅーにーー;」


亮「あ、やっぱり駄目なんだ」


象飛蝗「取り憑いた瞬間消えるだろうよ、オルトロスの犬の錦戸に右手で触られるようなもんだ」


象飛蝗…現代社会になじみすぎてないか?(笑)


そうこう言ってるうちに祭りの会場に到着、するといたのは純、暁、華の三人娘。


綾「あー、なーんだ、みんないるじゃんw」


純「そりゃ祭りとくればねw」


暁「お前は16時からのプリキュアショー目当てだろ」


純「それは言っちゃダメw」


綾「あ、それならあたしもだ^^;」


華「仲間はずれは暁ちゃんだけみたいだよw」


暁「ってお前もかい!」


亮「見た目は高校生、頭脳は子供の逆コナンかw」


綾「それ、りょーくんそのものじゃん^^;」


亮「グサーッ!」


思わぬカウンターパンチに亮は撃沈。


淳「相変わらずだな」


亮「淳?…あれー!?お前なんで屋台に?剛も!」


純「川崎さんとこ行って帰ってこないと思ったら!」


淳と剛は、なぜか串焼き屋の屋台にいた。


淳「アルバイトだよ、ほんとは東京から哲夫さんが来てやるはずだったんだけど娘さんがインフルエンザにかかったので病院いかなあいけなくなって祭りに来られなくなったんだ」


高村家は普段はキャピトラ本店のある東京に住んでおり、この前は開店準備と帰省を兼ねて家族で訪れていたのだ。


剛「で、代わりにうちの親父がやる予定だったんだけどぎっくり起こして…」


淳「そんとき俺もたまたまいたので川崎と二人でやることになったというわけだ」


亮「なるほどね…で、何で串焼き?哲夫さんはステーキ屋だろ?」


剛「昨日哲夫さんに聞いたら「お祭りで肉料理と言えば焼鳥か串焼きでしょ」だって^^;」


亮「確かにその通りだ」


淳「まあ、四の五の言わず」


淳は、亮たちに串焼きを差し出した。


亮「じゃ遠慮なく…」


綾「いただきまーす!」


バクッ!


亮「うむ!さすが餅は餅屋…いや、哲夫さんはステーキ屋だから肉は肉屋か^^;」


淳「じゃ、一人200万円になります」


亮「(ブハッ!)古いよそのギャグ!」


華「10年ぶりくらいに聞きましたわ^^;」


淳「間違えた、税込み200万円だった^^;」


亮「そこじゃね~っ!」


暁「純…あんたの兄さん、ほんとに同い年か?」


純「ま…まあ、ギャグセンスは兄貴のが30歳くらい年上かも^^;」


淳「じゃ税抜き200万円」


亮「値上げしてどーする!」


綾「りょーくんも突っ込みどころずれてきてるよ^^;」


華「それなら税込み210万円ですわねw」


暁「いや、そこ答えるとこじゃねえから^^;」




亮たちの漫才が繰り広げられてる近くには、ナン(インド料理で、日本で言うカレーライスのライスにあたる)の屋台があった。


「奴はどこだ…このへんにいるはずなのだが」


どうやら、この屋台の親父は人を探しているようだ。


それも、ただならぬ様子で。


「ガンジス…どこだ…」




そんなことはつゆ知らず、亮たちはライブ会場へ向かっていた。


亮「今日は何かが起きそうな気がする…」


綾「また根拠のないことを^^;」


ステージではこの日の司会であるIET石森教育テレビの若島津アナと涼宮アナが仕切りをやっていた。


若島津アナはアナウンサーらしくスーツ姿、涼宮アナはなぜかオードリー春日の扮装をしていた。


若島津「えー、IETアナウンサーの若島津と涼宮ですけれども…」


涼宮「みなさん、本物の涼宮ですよ~」


若島津「どちらかといえばあんたが偽物だろって話ですけどね」


涼宮「へっ!」


若島津「今日はこの二人でステージを頑張って盛り上げていこうと思っているわけですけど」


涼宮「女性のみなさん、涼宮のここ、空いてますよw」


若島津「埋まってる方が珍しいんですけどね」


涼宮「へっ!」


若島津「今日の涼宮アナはオードリー春日さんの真似をしてるわけですが」


涼宮「安心してください、涼宮はここにいます」


若島津「さっさと退社してフリーになれって話ですけども」


涼宮「おいあんた、それ本気で言ってるのか?」


若島津「いや本気だったらあんたとこんなとこで司会やってませんよ^^;」


若島津涼宮「へへへへへ」


と、若島津・涼宮両アナのどっかで見たような掛け合いがステージで展開される。


亮「あのアナウンサーたち、完全にオードリーのつもりだよなーー;」


綾「きっと今日のプリキュアにあわせたんだよ、IETはテレ朝系だしw…あ、プリキュアショー始まるw」


亮が「でかい子供」そのものなのに対して綾は「大人びたところ」と「おこちゃまなところ」が両極端である^^;




プリキュアショーの最中、見覚えのない亮たちくらいの少年が亮の真横で虫の息で椅子に座っていた。


「ハ…腹…減ッタ…」


日本語がカタコトであることから見るとおそらく外国人であろう、服装はなぜか緑地に赤のまだら模様のバミューダ一丁であった。


一言で言えばストⅡのダルシムのようでもある


綾(あの子…大丈夫かな?)


ショーの前半が終了し、一息ついたとこで綾が異変に気付く。


綾(りょーくん…隣の子、さっきから具合が悪そうなんだけど…)


亮(ん?)


「ミ…水…」


亮にはアマゾンのような密航者にも見えた。


亮(ゆきだおれ一歩手前って感じだな…)


綾(どうしよう…)


亮(どうするもなにも…見て見ぬふりできるかよ)


亮は即座にカタコトの少年に声をかける。


亮「どうした?」


「三日間…何モ食ッテナイ…」


綾「大変!」


亮はカタコトの少年を背負い、綾とともに淳の屋台へダッシュ!




屋台にたどり着くと、一息ついていた淳と剛がいた。


淳「どうした、二人とも血相変えて」


亮「この男、三日飲まず食わずでゆきだおれ寸前だそうだ」


剛「なんだって!?」


綾「急いで彼に水を!」


淳「わかった!」


淳はミネラルウォーターのペットボトルを亮にパスする。


淳「2L一本で足りるかわからんがとりあえず」


亮「人間が生きるのに水は必須だ、足りる足りないの問題じゃないさ」


亮は、カタコトの少年に水を投与する。


グイグイグイグイグイ…


「プハーッ!生キ返ッター!」


少年は息を吹き返した。


綾「よかったー^^」


「皆サンノオカゲデス」


少年は亮たち4人に礼を言う。


亮「困った時はおたがいさまさ、なあ?」


亮の言葉に綾、淳、剛もそれぞれうなづく。


亮「しかし、どうして飲まず食わずでここまで来たんだ?見たところこのへんの人間じゃなさそうだが…」


「オレ、ガンジスッテ言イマス、インドノ山奥カラヤッテキマシタ」


亮「ガンジスか、おれは佐渡亮、探偵さ」


周囲が「コナンかよ!」と突っ込みたいのをこらえたのは言うまでもない。


綾「あたしは島綾、よろしくね」


淳「昼間淳だ」


剛「川崎剛です」


各々自己紹介も終わったところで、ガンジスが身の上を語りだした。


ガンジス「オレノ村ハホンノ数ヶ月前ニ、ゲドンダー帝国ノ千面鬼カナ・ダライニヨッテ全滅サセラレマシタ」


亮「ゲドンダー帝国?千面鬼カナ・ダライ?」


綾「仮面ライダーアマゾンみたい」


ガンジス「カメンライダー?」


淳「綾ちゃん、いきなり海の向こうから来た人に仮面ライダーなんて言ってもわからんだろ」


綾「あ、そか^^;」


ガンジス「続ケテイイデスカ?」


亮「続けてくれ」


ガンジス「ドウニカ生キ残ッタオレハ、長老ノ遺言ニ従イマシテ、奴ラノ狙イデアル村ノ秘宝・キキノ首輪ヲ持ッテ逃ゲマシタ」


剛「その首輪か…」


亮は、淳に耳打ちする。


亮(おい淳、こいつダルシムのコスプレした小島よしおにしか見えねえのおれだけか?)


淳(俺もさっきからそう思ってたとこだ)


ガンジスの風貌はこれでわかっていただけたであろうか^^;


ガンジス「ゲドンダー帝国ハ世界征服ヲ企ンデイマス、キキノ首輪ガ奴ラノ手ニ渡ルト大変ナ事ニナリマス」


綾「大変なことって?」


ガンジス「千面鬼カナ・ダライハ本来コレトセットニナッテイルカカノ首輪ヲ持ッテイマス、コノ二ツヲ手ニ入レルト強大ナ力ガ得ラレルト言ウ言イ伝エデス」


亮「なるほど…ならばそいつに渡すわけにはいかんな、むしろあんたがそいつの首輪を奪い取るくらいでなければ」


と、亮たちが話しこんでいるところに純たち三人が。


純「おーい、綾ちゃん亮ちゃん、第二部始まっちゃうよ」


綾「あ、もう休憩終わり?」


しかし、この休憩明けから事態は思わぬ方向へ向かった…。



<後編へ続く