象亮 第二十七話「SHORYO×ALEX」(後編) | ミドさんのばった寿司

象亮 第二十七話「SHORYO×ALEX」(後編)

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佐原飛行場。


後ろ手に縛られた高村一家が小屋に閉じ込められている。


その小屋の手前で4人の男女が話しこんでいる。


・ボスガン風の緑ジャケットを着た色白の大男、藤木


・ガテゾーン風のブルメタジャケットを着たメット男、北村


・ゲドリアン風のレスラータイツ姿の小柄な男、渡辺


・マリバロン風の魔女顔の社長秘書っぽいおばはん、本田


藤木「仮面ライダーALEX…まさか我々が眠りについている間にすっかり平和ボケしていたとはな」


北村「所詮仮面ライダーもただの人間ってことだ」


本田「そして、人間ほど家族と言う生ぬるいものを突かれると弱い」


渡辺「つまり家族を人質にとりゃあのこのこ現れるってことか!」


藤木「20年前の恨み…ハラサデオクベキカ」


そういうと四人は怪人体に変化した。


そう、こいつらこそクライドム四天王である。


・藤木→象三葉虫(しょうとりろばいた)


・北村→象剣歯虎(しょうすみろどん)


・渡辺→象古代魚(しょうしーらかんす)


・本田→象翼竜(しょうういんぐどりざーど)


今から20年前、1989年9月24日、ALEXと四天王は最終決戦に臨んだ。


結果はALEXが勝利をおさめ、四天王は20年の眠りについた。


余談であるがこの日のALEXはこのせいでRX最終回を見逃したうえ録画も忘れ、余計怒りにくれていた。


若いころは象亮のようなただの仮面ライダー好きのあんちゃんの側面が表に出ることもあったようだ。


それは今も技名をBLACKから流用するところに見られる。


象三葉虫「あのときはなすすべなく敗北したが…今回ばかりは」


象剣歯虎「当時は奴も若造で体力が有り余っていたが…あれから20年経ってるんだ、もうおっさんだろう」


象古代魚「奴が普通の人間のように老けこんでいればの話だがな…」


象翼竜「人間は我々象外鬼に比べて老化が早いから、心配無用のはず」


クライゴム四天王が話しこんでるいっぽう、高村一家は…。


茂「おぉ、怪人だゾ」


窓から姿がわずかながら見えるため、茂は四天王に興味津津。


玲子「あんたホント大物になりそうねーー;」


驚く様子を見せず目を輝かせる茂に対して、ひとみは恐怖驚きで硬直している。


ひとみ「まま、こわい…」


玲子「大丈夫よ、きっとお父さんが助けにくるわ…」


玲子は、ALEX=哲夫が必ず助けにくる、そう信じていた。




そのときだった。


ブォーン…キキッ!


哲夫「待たせたなクライゴム!」


亮「玲子さんと茂くんとひとみちゃんを返せ!」


象亮、ALEX、登場!


象三葉虫「来たか、仮面ラ…増えてるー!?」


象剣歯虎「そんなバカな!」


象古代魚「聞いてないよー!」


象翼竜「うろたえるんじゃない!」


哲夫「仮面ライダーはひとりじゃない、ということだ」


亮「しょーゆーことっ!」


象亮は久々に醤油さしを出してこのギャグを披露。


象三葉虫「おのれ…象軍隊蟻、であえであえ!」


象軍隊蟻「アーント!」


本日二度目の象軍隊蟻大量発生。


象飛蝗白金「またうじゃうじゃと出てきよったで!」


哲夫「まずいな、もうキングストーンフラッシュは使えない(一日一回が限度らしい)し…」


象飛蝗白金「そやからキングストーンフラッシュやなくてダイナミックフラッシュや!22年もやっとるんやから覚えい!」


シャキン


象飛蝗「おうおうアリンコ野郎!俺が最初から最後までクライマックスで相手してやるから来やがれ!」


象軍隊蟻「アーント!」


象飛蝗の挑発に乗るように象軍隊蟻はすべて象亮の方へ。


象亮はすかさずダッシュ!


亮「僕がこいつらを引き付けて相手しますんで、哲夫さんはそいつらをお願いします!僕もこいつら片付けたら助太刀します!」


哲夫「すまない!」


そのまま象亮はあさっての方向に走りぬけた。


象三葉虫「くっ…一人ならこれで勝てると思ったのだが」


象剣歯虎「せこいこと考えるからだバカ」


象古代魚「一人だろうと二人だろうと倒せばいいだけだ」


象翼竜「面倒なのが一人消えたと思えばいい」


象三葉虫「それもそうだな…いくぞ!」


四天王はALEXを取り囲む。


哲夫「20年前と同じ展開か…」


象三葉虫「うおー!」


ガスッ!


哲夫「くっ!」


象剣歯虎「おらー!」


ザスッ!


哲夫「うぉっ!」


象古代魚「えいやっ!」


グサッ!


哲夫「ぶはっ!」


象翼竜「きえーっ!」


ドーン!


哲夫「わぁーっ!」


四天王怒涛の連携四連発でALEXはフラフラに。


哲夫「くそ、この程度で…」


象飛蝗白金「自分、若い頃やったら避けれた攻撃やで…」


象三葉虫「ふはは、人間と違って我々象外鬼はたかだか20年の年月では衰えぬ!」


象翼竜「つまりは我々有利!」


象古代魚「おらぁ!」


ガスッ!


象剣歯虎「うらぁ!」


ドガッ!


波状攻撃に、思わずひざまづくALEX。


クライゴム四天王「かつて我々を苦しめたにっくき男も老いと歳には勝てぬな、フハハハハハハ…」




いっぽう、象亮は言葉どおりに象軍隊蟻を引きつけながらバッサバッサとなぎ倒していた。


亮「…といってもこの数は多すぎるな…哲夫さんみたいに一撃技ねえからなおれ…」


そのとき!


ズガガガガガガガ!


亮「なんだー!?」


象軍隊蟻の大群の大部分が一瞬にして片付いた。


亮「まさか…淳か!?」


象亮は後ろを振り向く。


淳「水臭いぞ佐渡、こういうときのために仮面ライダーは何人もいるんだろうが」


象淳、本編には実に四話ぶりの登場である。


亮「しかし…なぜここが?」


淳「川崎に誘われて一緒にステーキ屋に並んでたら偶然綾ちゃんを見つけてな、横にお前がいないのが気になって聞いてみたらここを教えられたんだ」


亮と綾はストロンガーとタックル、カゲスターとベルスター、シャイダーとアニー、スピルバンとダイアナなど往年の男女ペアに匹敵する「セットが当たり前」のペアである、と淳は認識している。


亮「鋭いな…ところでもう体の方はいいのか?」


象淳がここんところ出ていなかったのは、淳がインフルエンザでダウンしていたためである。


淳「じゃなかったら出歩かないよ、仮面ライダーがインフルエンザ撒き散らしたら洒落にならんだろ」


一見ドライな象淳も「俺は仮面ライダーなんだ」という意識は象亮やALEXに負けずとも劣らない。


また、ジョークの一つも言うようになったのはやはり長らく象亮とコンビを組んでる影響か。


亮「お前の性格考えればそれもそうか…ならば一斉に行くぞ!」


淳「わかった!…と、その前に」


亮「どうした?」


淳「フォームチェンジ!」


象淳はいきなり赤い体になった。


亮「あれ?いつからそんなドラスみたいなのに変身できるようになったんだ?」


淳「最近こいつとシンクロしてきたのか、こいつの力を限界まで引き出せる形態になれるようになったんだ」


象飛蝗赤「そういうことだ」


雑賀銃剣(さいがんぶれーど)も、ブレードモードに変わっていた。


「行くぜ、ライダー、ダブル無双!」


象飛蝗象飛蝗赤「行くぜ行くぜ行くぜー!」


象亮は怪払刀、象淳は雑賀銃剣をいわゆる無双技のようにブン回し象軍隊蟻を一掃。


亮「こっちは片付いたな…哲夫さんの救援に向かうぞ!」


淳「おう!」




象亮・象淳がALEXの元に駆けつけると、劣勢に立ったALEXの姿があった。


亮「哲夫さん!」


象亮は猛ダッシュで駆け寄るが、次の象古代魚の言葉に思わず立ち止まる。


象古代魚「おーっと、動くなよ若造ライダー。それ以上近付いたらこの起爆スイッチで飛行場ごとドカンだぜ」


亮「くっ…!」


象亮、身動きとれず。


象翼竜「その物騒な武器も手放しなさい!」


亮「やむをえん…」


象飛蝗「おい、亮!」


亮「考えはある…」


カチャン


象亮はそう言うと怪払刀を足元に置いた。


象剣歯虎「おら、そっちの赤いのもだぞ!」


淳「ちっ…」


コトッ


象亮にならい、象淳も足元に雑賀銃剣を置く。


象三葉虫「所詮仮面ライダーもこんなものか…ふはははは」


亮(バッタ、今こそあれ使え)


象飛蝗(あれか…言われなくても!)


グググググ


象古代魚「あれ、なんだ…ぐ…うおー!」


象古代魚が握っていた起爆装置は、何かに吸い寄せられるように象亮の手元へ向かった。


クライゴム四天王「なにー!」


象飛蝗「ふう…抵抗がでかすぎたからてこずっちまったぜ」


亮「これでおれたちに弱みはねえ、行くぞ!」


淳「おう!」


象亮、象淳ともに四天王に食ってかかる。


亮「おりゃあ!」


スッ


象三葉虫「その程度か?」


亮「なっ!」


ガスッ!


亮「ぐわっ!」


象剣歯虎「こっちにもいるぞ!」


淳「何やってんだよ佐わた」


ガスガスッ!


淳「ぐふっ!」


象翼竜「よそ見してる余裕があって?」


象古代魚「若い連中もたいしたことないな」


「なめんじゃねえ…ライダー、ダブル無」


哲夫「待てっ!」


ようやく立ち上がったALEXに、全員が反応。


哲夫「四天王!確かに俺は歳を取り運動量も落ちた、体力勝負になればおそらくそこの亮くんたちには負けるだろう…」


象三葉虫「ようやく負けを認めるか!」


哲夫「しかし!人間は歳を重ねると共に体力と引き換えに得るものがある、それが経験だ…俺がこの二十年、人知れず戦ってきたという証明をここでみせてやる…」


象剣歯虎「負け惜しみを…」


哲夫「むん!」


ピカーン!


ALEXの姿がALEX右半身のような白金(視覚的には銀色に見える)のカラーリングのロボライダーのような姿になる。


亮「ま、まぶしい…」


淳「俺ポケモンショックの時マジで具合悪くしたんだよ…」


ちなみにポケモンショック当時、亮と淳は満六歳である。


象古代魚「なんだ…その姿は!」


哲夫「俺は光の戦士!アーレッス(ALEX)、プラチナムライダー!」


象翼竜「プラチナムライダー!?」


プラチナムライダーはベルトから銃を取りだした。


哲夫「ボルティックシューター!」


象飛蝗白金「ダイナミックシューターや!」


技名に続いて武器名まで突っ込みを喰らう(笑)


ズダダダダダ!


象古代魚「うぉー!」


象翼竜「わーっ!」


象古代魚、象翼竜はあっさりとふっ飛ばされた。


亮「来た来た…ライダー、ごっつぁん斬り!」


ズシャ!


淳「せい!」


ズシャ!


象古代魚と象翼竜は灰となった。


象三葉虫「あ、象古代魚!象翼竜!」


象剣歯虎「おのれー!」


哲夫「!」


ガキィ!


哲夫「くっ!」


プラチナムライダーは象剣歯虎の飛びかかり攻撃を受ける!


象剣歯虎「せい!うら!」


ジャキ!ガキン!


プラチナムライダーの装甲はプラチナと言うだけあり頑丈である、しかしこのままでは防戦一方だ。




亮「やばいな…哲夫さ」


象三葉虫「おっと、俺が相手だ!」


亮「そうかい…行くぞ淳!」


淳「おう!」


象三葉虫「二人がかりか…それでも構わん」


亮「行くぜ…とう!」


三人は同時に飛ぶ!


象三葉虫「おりゃあ!」


ドスゴスッ!


淳「あいてっ!」


運悪く、間に立ってしまった象淳が挟み撃ちにあう。


亮「あ、淳すまん!」


淳「気をつけてくれ…」


象三葉虫「ふ、マヌケめ…」


亮「今度こそ…とう!」


再び三人同時にジャンプ!


象三葉虫「せいや!」


ドスゴスッ!


淳「いって!」


ふたたび象淳、挟み撃ち!


淳「佐渡!」


亮「わりい!立ち位置変えよう…とお!」


みたび三人同時にジャンプ!


淳「おり」


ドンッ


象三葉虫「うらぁ!!」


ドスゴスッ!


淳「うぉっ!」


みたび象淳、挟み撃ち!


淳「ぶつかるなよ佐渡!」


亮「悪い!おれ左利きだから蹴りづらいんだよ」


淳「自分で調整しろー!」


象三葉虫(こいつら…わざとやってるのか?)


象三葉虫が半ばあきれたところで象亮・象淳はこの攻撃を諦め、二対一の立会に戻る。




いっぽうのプラチナムライダー。


哲夫「まずいな…むん!」


ギュイーン!


プラチナムライダーの姿が、ALEXの左半身のような黒と緑のカラーリングのバイオライダー風になる。


象剣歯虎「また変わった!」


哲夫「俺は自然の戦士!アーレッス(ALEX)、ネイチャーライダー!」


象剣歯虎「ネイチャーライダー?ふざけた名前しやがって!」


シュッ


サッ!


ネイチャーライダーは風のごとく回避。


象剣歯虎「速い!」


ネイチャーライダーはベルトから剣を取りだした。


哲夫「バイオセイバー!」


象飛蝗白金「ダイナミックセイバーやっちゅうに!」


タタタタタ


哲夫「スパーク、カッタァー!」


象飛蝗白金「ダイナミックカッターやー!」


ズシャア!


象剣歯虎「ぐはぁー!」


象剣歯虎も灰となった。


哲夫「さて…残すは!」


ネイチャーライダーは象三葉虫のほうを向く。


そこでは象亮・象淳と争う象三葉虫がいた。


哲夫「バイオ、アターック!」


象飛蝗白金「ダイナミックアタックや!」


ドン!


疾風のようになったネイチャーライダーは象三葉虫にタックルをかました!


象三葉虫「うおー!」


ドスッ!


象三葉虫は地面にたたきつけられる。


象三葉虫「おのれ…」


亮は、ネイチャーライダーに気づく。


亮「哲夫さん!」


哲夫「むん!」


ネイチャーライダーは再びALEXへ戻る。


このついでに象淳もいつもの黒に戻る。


哲夫「みんな、とどめは一斉に行くぞ!」


「はい!」


哲夫「とぉっ!」


三人は同時にジャンプ!


哲夫「ライダー、トリプルキーック!」


ドカドカドカッ!


象三葉虫「ぐわーっ!」


三人分のキックを喰らった象三葉虫はあっさり灰化。


三人は、各々の決めポーズを取った。




ガチャ


哲夫「玲ちゃん!茂!ひとみ!」


哲夫は玲子・茂・ひとみを見つけると即座に駆け寄る。


玲子「哲夫さん!」


茂「父ちゃん!」


ひとみ「ぱぱ!」


家族の抱擁を、陰ながら見守る象亮と象淳。


亮「淳…おれたち、二十年後ああいう大人になりああいう家庭を築けるだろうか」


淳「未来のことなんかわからん、ただし、あの人みたいになりたいのなら今後の俺たちの努力は不可欠だよ」


亮「そうだよな…それ考えたらまだ始まってすらいないんだよなおれたち」


淳「ま、いきなりああはなれないんだからお互い地道にやって行こうや、二十年なんて今まで俺たちが生きてきた年数より長いんだから」


人生は長い修行の旅だ、未来は自分たちの修練で決まる。ALEXとの共闘を通じて象亮と象淳は改めてそれを学んだ。




その後、無事開店時間には間に合い、ステーキハウスキャピトラのオープン初日は無事に迎える運びとなった。


亮「うん、うまい!」


綾「ほんとだねw」


大食漢コンビの亮と綾は、とにかくよく食う。


淳「佐渡のタッパと綾ちゃんの胸がでかい理由、これでわかった気がするな…」


真正面ですごい食欲を見せられ、淳は参っている。


哲夫「淳くん、君ももっと食べなさいw」


淳「いやあ…俺はもう満腹ですよ、真正面でパカパカ食ってるの見てるだけで圧倒されます」


哲夫「俺も君たちくらいの頃はこのくらいは余裕だったぜ」


亮「おーい、もうギブか?だらしねえぞ、淳!」


淳「む!言ったな佐渡!」


淳の導火線に火がついた。


ガツガツガツッ!


淳「うぁっちい!」


淳はステーキで火傷した。


剛「昼間君、慌てて食べすぎだよ^^;」


綾「りょーくんの挑発に乗るから…^^;」


淳「ああ…佐渡に乗せられた俺がバカだったわーー;」


亮たちの談笑と共に、この「仮面ライダーになろうとする少年たち」と「既に仮面ライダーである大人の男」の物語を締めくくるとしよう。




次回「ガンジス、オッパッピー