猫ノ眼時計/津原泰水 | mokkoの現実逃避ブログ

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現実から目を背けて堂々と楽しむ自己満足ブログ

ページ数:282P(単行本)
発売日:2012年07月

 

幻想怪奇譚×ミステリ×ユーモアで人気のシリーズ、最新刊。
火を発する女、カメラに映らない友人、運命を知らせる猫――。
猿渡は今日もこの世ならぬ出来事を引き寄せる。
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幽明志怪シリーズ完結編

完結編?これで終わりって事?
そりゃないよぉ~(ノ◇≦。) 
妖しさ満載で気に入ってたのにぃ~(-。-;)

 

蘆屋家の崩壊も、ピカルディの薔薇

どちらも面白いんだけど、mokko的には、猿渡と伯爵が
摩訶不思議な出来事に巻き込まれて右往左往しながらも
大好きな豆腐を貪り食うというのが好みでして
だから、本作を読んで、キタこれ!って思ったのですよ。
5つの短編となってます。

 

「日高川」
猿渡がジャズバンドを組んでいた時の、アイダベルというVoの女が登場。
ウクレレを弾けるからとバンドに参加させられたっていうのが
いかにも猿渡らしいのだが、このアイダベルが超個性的で
しかも高確率で火災の第一発見者になっているという。
そして伯爵に異常に興味を抱いたアイダベルが
伯爵を追いかけて東京に行こうとするのを阻止する猿渡。
安珍清姫伝説が脳裏を過るのだが・・・

 

「玉響」
猿渡の高校時代からの親友:伊与田さんの話。
読みだしてから違和感を感じるのだけど
これは詳しく書くとネタバレになるから書けないけど
最後に泣けた。猿渡って本当にいい奴だなぁ~(´_`。)グスン

 

「城と山羊」
猿渡の父が悪魔を見たと言っていた瀬戸内海の山羊の島に
アイダベルの友人が悪魔崇拝の集団に攫われたから助けてほしいと
泣きつかれ、伯爵と3人で島に向かうのだが・・・
島唯一の山羊レストランの山羊汁の描写が凄かった。
長年放置していた金魚鉢をそのまま火にかけたような・・・
想像するだに恐ろしい。
要するに普通に食えるものがないのである。

それに加えてお約束通り不可思議な現象に囚われる。
暗闇で目撃したはずの巨大な城はどこに消えた?
そして、思いがけず再会したのは蘆屋家の崩壊に出てきた
秦遊離子と兄!!この二人は島で何をやろうとしている?
ホラーテイストで幻想的な冒険物語って感じが面白い!
が、最後が・・・

 

「続・城と山羊」
続があってよかったぁ~
あのまま終わったら、完結編って、そういうこと?って
ガックリするところでしたよぉ~(^◇^;)
猿渡が目撃したはずの巨大な城。
その正体を探るべく、再度山を目指します。
ここでもまた、夢と現実の境があやふやになるのですが
こういう描写がうまいですねぇ~
もう大好きですよぉ~(*´◇`*)

 

「猫ノ眼時計」
猿渡の昔の話です。
その猫の眼を覗いた者は自分の余命を見ることになる
という迷信が囁かれていた猫の眼を見てしまい・・・
なるほどぉ~と唸ってしまった。

 

最後に「年表」が載っていて、作品の時系列がわかるようになってます。
作品を思い浮かべながら年表を見るのって楽しいです♪

 

今回、山羊島で食料がなかった時に作った料理が
猿渡が極貧時代に偶然作ったものを思い出したものだとしても
青森県八戸市の煎餅汁を知っていたってのが嬉しかったぁ~(o^o^o)

猿渡と伯爵の豆腐談義といいますか、食へのこだわりが
もう聞けないとなると寂しいなぁ~
それでも夢と現実の境が見えなくなるような
独特の浮遊感は本当に楽しかったです!