ページ数:253P
発売日:2014年09月
新選組――その人斬りに、志はあったのか。
男たちに残された最後の夢は、この女性作家に描かれるのを
待っていたのかもしれない。
井上源三郎:「おれはここにいていいのか」と自問する齢の離れた幹部。
蟻通勘吾:入隊を勧めた従兄は失踪し、「死番」が続く日々。
近藤周平:美しい顔をもつ局長の養子。
酒井兵庫:粛正された隊士の死を見守る寄越人。
山崎丞:敵も味方も監視し続ける監察方。
中島登:明治になっても、獄で隊士の絵を描き続ける男。
日本の夜明け前――
幕末維新を駆け抜け、散っていった「新選組」。
幹部たちの華々しい活躍の陰で、語られることのなかった
無名隊士たちの人生もまた、あった。
夢、希望、そして、家族と生活。
新しい世代の書き手による、新しい新選組の物語がここに始まる。
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きりぎりすさんのレビューを読んで
山崎丞の事が書かれているってことで購入。
一鬼夜行シリーズの著者の紡ぎだす新選組というのにも
大いに興味をひかれたけれど、予想以上でした。
が!間違って単行本を購入してしまった( ̄□ ̄|||)
通勤読書でハードカバーは辛かったです(-。-;)
新選組の物語の隙間の更に隙間を埋める物語。
主役として語られなかった隊士の話だけではなく
新選組の物語の中の一部分を切り取って
それを脇役の隊士の呟き、ボヤキ、葛藤、苦悩などを交えて
主役隊士を含めて描いているので、陰に隠れて見えなかった部分が
浮き上がってきます。
総司の笑顔についても
「いつも通り笑っているよ。化け物には心がないというが・・・」
という話を聞いて、化け物にも心はある。
だが人でも化け物でもない者には心などない。と
総司の笑顔を恐れている描写もある。
ちょっとした会話や仕草、目に見える態度や嫉妬心から
主役や脇役隊士のイメージが大きく肉付けされていく。
山崎丞のところは、想像していた以上で
更に京言葉?を使っていたので驚き。
確かにそういう話は聞いていたけど、活字で読んだのは初。
ちょっとドキドキしました。
新選組に関する人物たちの肉付けが進んで大満足です。
そして乙ゲーの薄桜鬼の斎藤ルートの最後で
誰の事だろう?と疑問に思っていながら放置してた事が
これを読んでわかりました。
新選組をわかったつもりになる気はないけれど
自分の想像の肉付けが進んでいく作業は楽かったです。
手持ちの新選組の本はもう無いので
しばらくは読まないかな?(^◇^;)
ところで、この本。サイン本でした。