ページ数:569P
発売日:2009年12月
身分をのりこえたい、剣を極めたい、世間から認められたい―
京都警護という名目のもとに結成された新選組だが、
思いはそれぞれ異なっていた。
土方歳三、近藤勇、沖田聡司、永倉新八、斎藤一…。
ひとりひとりの人物にスポットをあてることによって、
隊の全体像を鮮やかに描き出す。
迷ったり、悩んだり、特別ではないふつうの若者たちがそこにいる。
切なくもさわやかな新選組小説の最高傑作。
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初めましての作家さん。
男性だと思っていたら、女性だったのでビックリ(゚д゚)!
新選組に関する書籍はたくさんあるけれど
読むのが遅いmokkoとしては、全部読むのは無理。
更に、昔の言葉を多用されると、イチイチ引っかかって
全然先に進めなくなるので、本作は現代風の言葉で
綴られているので読みやすいです。
ある程度、新選組の動きを知っていた方がいいとは思います。
新選組の上洛前からの話をそれぞれの章に区切って
隊士や主に幕府側の人物によって語られてますが、
章によって、目線が変わるところが面白いんです。
語り手の隊士などの心の呟きやら、目線から
その隊士だけでなく、他の隊士の輪郭がハッキリしてくる。
総司の子供の様な屈託のなさや、脈絡のない話。
言葉にするのが苦手だというのがわかるような
抽象的な表現だけど、的確に物事を捉えている観察眼。
そういう細かいところが書かれていて嬉しかったです。
後半に入ると苦しい部分が増えてきます。
時代の流れ的には当然なんだけど、山南さんの思い、
平助の最後の言葉、源さんの故郷への思いと仲間への思い、
総司が嬉しそうに語った最後の言葉。
何度もウルっとしました。
作品によって、描かれ方は色々なんだろうけど
その隙間を埋めたり、印象が少し変わったりと
別の意味でも楽しめました。
そしてやっぱり長州は嫌いだ。
伊東甲子太郎は大嫌いだ。
そして、武田観柳斎のことを今更ながら知ったのだが
こいつも大嫌いだ!
こいつが総司を語っている部分があるんだけど
やはり総司は見抜いていたんだなぁ~と嬉しく思ったり♪
ただ、左之助が、いかにも単純バカのように書かれていて
ちょっと残念。
何より残念なのは、山崎丞の描写が少なかったこと。
最後の場面は、薄桜鬼の映像が頭の中で流れましたよぉ~
そしてそして、佐藤彦五郎がところどころで顔を出していて
最後のまとめも彼でした。
土方の姉の旦那さんで、新選組を支え続けた人
語りの最後のシーンは本当に映像が見えるようでした。
新選組初心者なので、物語の隙間を埋める話に大満足でした。