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Ⅰ・・・人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、
未だ古い因習と同衾する外場村。
猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。
山深い集落で発見された三体の腐乱死体。
周りには無数の肉片が、獣が蹂躙したかのように散乱していた。
闇夜をついて越してきた謎の家族は、連続する不審死と
どう関わっているのか。
殺人か、未知の疫病か、それとも・・・
Ⅱ・・・「尋常でない何かが起こっている」
死者の数は留まるところを知らず、村は恐怖の連鎖に陥っていた。
山々に響き渡る読経、毎日のように墓場に消えていく真白き棺。
さらにそのざわめきの陰で、忽然と姿をけしている村人たちがいた。
廃墟と化した聖堂に現れる謎の少女。
深夜目撃されるトラックの残響。
そして、闇の中から射る、青白い視線・・・
Ⅲ・・・逃げ場のない恐怖の底に落ちた村で。
深夜、何者かの陰が蠢き始めていた。
窓の外に佇む凍えた気配、往来の途絶えた村道で
新たに営業し始めた葬儀社、
そして、人気のない廃屋から漏れる仄暗い灯り・・・。
その謎に気付いた者たちの背後に伸びる白い手。
明らかになる「屍鬼」の正体。
樅の木に囲まれた墓場で月光が照らし出した、
顔を背けんばかりの新事実とは・・・。
村は、死によって包囲されている・・・
Ⅳ・・・前代見モンの怪異が村に跋扈する中、
閑散とした病院の奥で
連夜密かに地獄絵巻が繰り広げられていた。
暗紅色の液体が入った試験管の向こうに、愛しい骸の変化を
克明に記録する青ざめた顔。
ゆっくり振り翳された杭・・・。
はびこる「屍鬼」を壊滅させるための糸口が見え出した。
しかし、その時、村人の絆が崩れ始める。
生き残った者たちが選んだ策は・・・。
たぶんそうだと思いながらも、あまりにも意外なことは受け入れられない。
その間に、恐怖は着々と進行していく・・・
Ⅴ・・・村人たちはそれぞれに凶器を握り締めた。
「屍鬼」を屠る方法はわかっていた。
鬼どもを追い立てる男たちの殺意が、村を覆っていく・・・
白々と明けた暁に切って落とされた「屍鬼狩り」は、焔に彩られて
いつ果てるともなく続いていった。
高鳴る祭囃子の中、神社に積み上げられる累々たる屍。
その前でどよめく群れは、果たして鬼か人間か・・・
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2004/12/22読了分
恐ろしいという一言で片付けられない作品でした。
呪われた町がモチーフになってますが、
全くの別物と思ったほうがいいです。
少しずつ少しずつ進行してくる異常が怖いです。
あまりにも現実離れしすぎたものに対して、
人は気付かないふりをする。
そんな人にどんな現実を解いたところで
否定しか返ってこない。
火の粉が降りかかって初めて、人はあわてて動き出す。
動き出した人の群れは恐ろしい。
鬼は果たしてどちらなのだろう・・・
心の持ち様とは・・・これは、深いです。