
3月。直樹と典子兄妹は、従兄弟の隆の家を訪れた。
ここは、木蓮や馬酔木(あせび)や海棠(かいどう)や
空木(うつぎ)などに埋もれた野草の里。まさに桃源郷だ。
しかし、久方ぶりに会う隆の目は昏かった。
そして、心やさしい隆が母親に冷酷な態度をとるのは何故?
母子に、いったい何が!?
「あの女が、迎えにくる……」
隆は、幼い日の冷たい雨の夜を思い出し、直樹には、あの記憶が甦る。
17歳・・・少年たち(ふたり)を繋ぐ運命の春が来た。
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2004/07/03読了分
パンプキン文庫「呪われた十七歳」の改題。
直樹と典子兄妹は、従兄弟の隆の家に遊びに来ていた。
最初は楽しく過ごしていたのだが、直樹は隆の様子が
おかしいことに気付く。
「おかしなものをみる」と打ち明けられたが、
笑ってしまった直樹に隆は二度と話をしなくなる。
春休み中に十七才の誕生日を迎える隆と直樹。
それを畏れるような隆の母。
そして隆の様子が豹変。続いて隆の母親の自殺。
死んだ母親に対しての暴言。
十七歳という年に何かあると調べ始めた直樹は
「菅田家の長男は17歳で母を殺す」という呪いに行き着く。
唐突に浮かび上がった隆の左腕のあざ。
そして魔の手は直樹に向かっていた。
忌まわしい呪いの裏にある物とは・・・
ホラーなんですけどね、
野山の美しい情景描写と細かい心理描写。
シットリと、その場の雰囲気に馴染ませながら
少しずつ不安要素を与え、容赦なくザックリと抉ってくれる
やってくれます。
ホラーでありながら、我が子を思う母の物語でもあります。
切ないです。
そして猫の三代の活躍も頼もしいのですよ♪ d(⌒o⌒)b♪
過ぎる十七の春 (幻冬舎コミックス漫画文庫)/小野 不由美
