
発行年月:1996年02月
サイズ:425P 15cm
十二国記シリーズ 第5弾
恭国は、先王が倒れてから27年。
王を失くした国の治安は乱れ、災厄は続き、
妖魔までが徘徊するほどに荒んでいた。
首都連檣(れんしょう)に住む珠晶(しゅしょう)は、
豪商の父を持ち、不自由のない生活と十分な教育を受けて育った。
しかし、その暮らし振りとは裏腹に、日ごと混迷の様相を
呈していく国を思い決断する。
「この国を統べるのは、あたししかいない!」
12歳の珠晶は、王を選ぶべき麒麟に天意を諮るため蓬山をめざす。
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2003/07/09読了分
今まで流れとしてはわかっていたけれど
詳しく描かれていなかった昇山。
麒麟に天意を諮るために蓬山を目指す事を言うのだが
ただの山登りではない。
蓬山は周りを黄海に囲まれている。海ではない。
妖魔がウヨウヨいる樹海なのである。
黄海の入り口は4箇所。門が開く時期は決まっている。
昇山するには、門が閉まりきるまでの間に
黄海に入らなければならない。
門を潜った時から、妖魔との戦いが始まる。
そこに12歳の珠晶が挑むのだから無謀以外の何ものでもない。
黄海に入る者は蓬山を目指す者だけではない。
騎獣にする妖獣を狩る朱氏と呼ばれる者もいる。
珠晶は、その知恵で朱氏の頑丘を雇うことになり
途中で知り合った旅人利広と共に黄海に踏み込む。
この利広、後で出てくるのでチェックです。
黄海の中では、自然と幾つかのグループができます。
王の資質を持ち合わせている人もいれば、勘違いしてる人も・・・
けれど仲間ではない。
油断して妖魔の餌食になる者も多数。
鼻っ柱が強くて、生意気な態度が鼻につくけれど
腹を立てて暴走して危険な目にもあうけれど
壁にぶち当たりながらも考え、答えを出そうとする。
そして数々の危機を乗り越え・・・
最後の珠晶の一喝は笑ってしまいました。
ノンビリした麒麟ってのもいるのねぇ~(^◇^;)
大人だからとか、子供のくせにとか、とかく人は
物事を枠の中に入れて狭い範囲でしか見ようとしない。
だからこそ、枠の外が見えないし、外に出る勇気もない。
知った気でいることは、知らないに等しい。
大切なのは知ろうとすること。
思い込みは事を成す上で必要だが、それが
思い上がりになったら、道は途絶える。
苦難の道を1つ1つ学びながら進む珠晶に、
今更ながら教わることが多い1冊でした。
図南の翼 十二国記 (新潮文庫 お 37-59 十二国記)/小野 不由美
