草祭/恒川光太郎 | mokkoの現実逃避ブログ

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草祭 (新潮文庫)/恒川 光太郎
 ¥555 Amazon.co.jp
発行年月:2011年05月
サ イ ズ:358P 16cm

たとえば、苔むして古びた水路の先、住宅街にひしめく路地のつきあたり。
理由も分らずたどりつく、この世界のひとつ奥にある美しい町〈美奥〉。
母親から無理心中を強いられた少年、いじめの標的にされた少女、
壮絶な結婚生活の終焉をむかえた女……。
ふとした瞬間迷い込み、その土地に染みこんだ
深い因果に触れた者だけが知る、生きる不思議、死ぬ不思議。
神妙な命の流転を描く、圧倒的傑作。
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5編の連続短編集。
1つ1つはそれぞれ完結しているけれど、繋がっている。
あの人は、こっちにもいたし、アレは、あの時のアレだな・・・とか
そういう繋がりを感じながら読めたので楽しかったぁ~

「けものはら」
小学校の時に、友人と二人で偶然辿りついた原っぱ。
住宅街の死角になっている古びた水路の先に不思議な空間がある。
友人が帰ってこないと連絡があり、迷わずあの原っぱに向かった。
そこで友人を見つけるのだが・・・

「屋根猩猩」
美奥の古い町では、屋根の上に屋根飾りをのせている。
沖縄ではシーサー、美奥では屋根猩猩(しょうじょう)。
そんな町で怪しい少年と出会った。初対面なのに名前を知っていた。
更に、学校にも行かずに町の人々の困りごとに手を貸している。
そして、イジメにあっていた少女は・・・

「くさのゆめがたり」
幼少の頃から山歩きの達人である叔父の手ほどきを受け
山奥のいくつもの庵を拠点として色々な事を教わった。
薬と毒の事を教えてくれたのも叔父だった。
そして全て秘法と心得よと強く言われ・・・

「天化の宿」
両親が激しい争いを始めたので家を飛び出した私は
廃屋の裏に古い車輌用の線路跡を見つける。
その線路を辿って森の奥深くに入っていくと
二人の男の子と出会い、二人の案内で連れて行かれた民家で
何故かゲームをやる事になり・・・

「朝の朧町」
東京でOLをしていたこともあった。流れ流れて
美奥にたどり着き、長船さんのお宅にやっかいになっている。
彼は昔、ミニチュアの町の模型作りに没頭していたことがある。
実は俺は町を持っている。
冗談だと思っていたのだが・・・


雷の季節・・・の直後に読んだもんだから
美奥が「隠」の外の墓町のそのまた外側のコチラとの境の
広い荒野や森と繋がっているような感じさえして
妄想壁のあるmokkoとしては、かなり楽しめました。

触れようと思ったわけではないのに、何かの瞬間に、
偶然に触れてしまったことで美奥の不思議な空間と
繋がりを持ってしまった人たち。
望んでそこに行く人、戻る人。住み着く人。
幻想的な美奥。美しい山の奥。

どこか懐かしいような、少し哀しげで残酷で、そして優しくて
御伽噺に耳を傾けているようなそんな気持ちにさせてくれる。
やっぱり疲れているときは恒川氏の幻想に浸るのがいい!
満喫しましたぁ~о(ж>▽<)y ☆