みなさま こんにちは。
彫刻工房くさか 日下育子です。
今日は素敵な作家をご紹介いたします。
彫刻家の杉 英行さんです。
前回登場の岡村 光哲さんからのリレーでご登場頂きます。
彫刻家 岡村 光哲さん 第1回
、 第2回
、 第3回
、 第4回
、 第5回
、 第6回
第1回の今日は、杉 英行さんが彫刻の制作を始めたきっかけについて
お話をお聴かせ頂きました。
杉 英行さん
第1回 ~ 木は一番馴染みます ~
第2回 ~再生する力(生命力)を伝えたい ~
第3回 ~作りたいものを作っていけばいい~
最終回の今日は、杉 英行さんに「社会との接点についての思い」ということで、
講師を務められている幼稚園での幼児の造形教育についてお話をお聴かせ頂きました。
また、最後に「あなたにとってのアートとは?」という質問にお答え頂きました。
どうぞお楽しみ頂ければ幸いです。
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忘れられた方舟
53x44x22cm
1999年
閉じ込められた意思‐Ⅱ
木・鉄
2008年
焦土から
木
2009年
方舟‐Ⅲ
木・アクリル絵の具 90x35x35cm
2012年
方舟‐Ⅳ (後ろ側、立っている方の作品)
木・アクリル絵の具 34x38x179cm
2013年
方舟‐Ⅴ
木・アクリル絵の具121x27x24cm
2013年
方舟‐Ⅵ
木・アクリル絵の具69x69x70cm
2013年
日下
では、社会との接点についての思いというところで
彫刻をしていらっしゃることで、
社会とのつながりで意識されることはありますでしょうか。
杉 英行さん
難しい質問です。
日下
杉 英行さんは自由美術展で発表されて、ほかグループ展なども
たくさん出品されているかと想います。
その展示空間のほか、生活空間、公共空間など
どんな空間で見て欲しいなど、想うところはおありでしょうか。
杉 英行さん
今のところないです。そういう機会もあまりないですから。
出来ればいろんなところでやりたいと想いますが、
なかなかチャンスがありません。
日下
杉さんの作品は、凄く「再生」のメッセージを感じるとっても素敵な作品なので
より多くの方に観て頂ける場所があると喜ばれるだろうと想います。
どこか作品設置をしていらっしゃるところはおありでしょうか。
杉 英行さん
医療老人ホームに、昔の作品ですが、具象の木彫を設置したことがあります。
あとは建物の外壁のレリーフを頼まれて制作したこともありましたけど
日常的には幼稚園の講師をしているので、
幼稚園の入口の中央に下駄箱があるんですが、その上に展示させてもらっています。
日下
それは良いですね~。
お子さん達がご覧になるのでしょうか?
杉 英行さん
父兄もきます。
日下
どんな作品を展示していらっしゃるのでしょうか。
杉 英行さん
展示替えはするのですが、今展示しているのは「方舟Ⅵ」です。
日下
ああ~、これは結構大きい作品ですよね。
杉 英行さん
そうですね。
僕が行っている幼稚園は園児が450人いるんです。
日下
うわー、すごーい。
それはかなりの大人数ですね。
私の子供が行っている保育所は、130人ですから。
随分、大幼稚園ですね。
杉 英行さん
そうですね。年少、年中、年長が5クラスずつ、
そのほかにバイリンガルのクラスがあります。
日下
作品展示をしていることで何か反応はありますでしょうか。
「先生が創ったの―!?」とか。
杉 英行さん
子供たち、父兄からはあんまり反応はありませんが
むしろ講師に来ている方からの反応があります。
行っている幼稚園は週に2回、コ―ナ―保育という授業をやっているんですね。
それで外部からいろんな先生が来るんですよ。
僕もその一人なんですけど。
例えば、日本舞踊、茶道、リトミック、アクロバット、サッカ―、あとは紙芝居とか。
幼稚園の先生自身も自分の得意なモノとか活かして。
アメリカ人の先生は「英語で遊ぼうコーナー」、僕は「造形コーナー」。
そういうコーナーが設けられるんですね。
日下
かなり充実していて素晴らしいですね。
杉 英行さん
子供たちは、自由選択で自分の行きたいコーナーに行くんです。
そういう授業をやっているので、幼稚園の人気も高くて
園児もたくさんいるんです。
そういう日舞をやる先生とか、紙芝居をやる先生たちが
「良いですね~! 」とか言ってくれるんです。
日下
それは素敵ですね~。
杉さんはお子さんたちにはどんな風に接していらしゃるのでしょうか。
杉 英行さん
子供たちには同じ低い目線で、「楽しい制作をしましょう」と。
日下
そうですか。
画材などはどんなもので作るのでしょうか。
杉 英行さん
ほとんど、立体が多いんですよ。
なので、例えば一人づつに20センチ四方の板きれを渡して
それに釘を一人10本打ちましょうと言って、それで釘の間を毛糸で結んで
毛糸の模様を作っていくとかね。
日下
ああ~。
子供が喜びそうですね。
金槌を持てる、釘を打つというのが、
結構、今の子供にとっては新鮮な事だろうと想います。
杉 英行さん
そうなんですよ。
そういうことが今、もう失われてきていますけど、
日本のものづくりの基礎ですよね。
昔は各家庭でも釘を使ったり、ノコギリを使ったりあったのに
今はほとんどなくなっていますから。
やっぱり、自分の手を使ってものを作るということをやってあげたいなと。
日下
未来のある子供たちにそういうことを伝えて行くというのは、
素晴らしい社会との接点ですね。
手を動かす喜びというのがとっても大きいですよね。
杉 英行さん
そうですね、。いろんな素材を使っていますよ。
布も使うし、紙も使うし。
紙の場合色画用紙、2センチ位の幅の紙テープを、いろんな色を切って
それを画用紙に立てるにはどうすればいいか。
下の方を折って画用紙に貼って置いて見ればいいと
それを実際にやってみると倒れちゃうんですよね。
だから倒れないようにするにはどうすればいいか。
もう一方の方も折ってアーチ状にしてみればいいという子供がいて
やって見るとちゃんと立つとか。
そういう風に平面の上に立体を立ち上げて行くのを体験して、
イメージを作ろうみたいな感じですね。
日下
私も子供にそういうことをさせてみたいです。
子供さんたちも喜ばれるでしょうね。
杉 英行さん
喜ばれるし、こちらが意図しないようなことをね、子供がやってのけるんですよ。
そういうやり方あったの?というような。
そういう発見もあって僕も子供たちも両方好きだなぁと。
日下
素晴らしいです。
ありがとうございます。
FRAGILE-蜻蛉Ⅱ
木・鉄 120x60x100cm
2010年
日下
では近年の活動内容、今後の発表予定などについて伺いますが、
近く何か予定はございますでしょうか。
杉 英行さん
1月の13日から、横浜の萬国橋ギャラリー(ばんこく橋)ギャラリーで
彫刻だけのグループ展をします。
日下
次回のリレー作家紹介を紹介していただけますでしょうか。
杉 英行さん
渡辺 知平(わたなべともへい)さんです。
ガラスを使った作品を制作される方です。
日下
ガラスというと吹きガラスとかでしょうか。
杉 英行さん
板ガラスですが、木を使ったりしていて外側はガラス、
ガラスで囲んだような、結構ユニークな作品です。
日下
はい、楽しみですね。
ありがとうございます。
「あなたにとってアートとは?」とはということをお伺いしてます。
杉 英行さん
何だろうな。
生きるために、ご飯を食べるのと同じようになくてはならないもの。
日下
ああ、まさにそうですね!(納得!)
杉 英行さん、今回は素晴らしいお話をたくさんありがとうございました!
2つの手 Ⅰ
木・真鍮
2010年
2つの手 Ⅱ
木・アクリル
2011年
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今回、岡村 光哲さんからのご紹介で、初めて杉 英行さんのお話をお聴かせ頂きました。
杉 英行さんは「再生」をテーマにした作品制作をされています。
このテーマについての手記で杉 英行さんは
「例えば、どんなひどい状況下でも、矛盾と混沌の中からいつか必ず再生する力
(生命力)が生まれてくる事を、感じとってもらえるような表現をし、伝えたいと思います。」
と書かれています。
お話と作品から、これは杉 英行さんの作品制作の常に根底にあるものだと感じました。
私にとっても「再生」は大切なテーマですが、杉 英行さんの「再生」にはご自身が
生きること自体を「再生」と捉えていらして、そこは新鮮に感じました。
みなさまもぜひ、杉 英行さんの彫刻作品をご覧になって見てはいかがでしょうか。
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◆杉 英行さんが登場するWEBページ
◇ 自由美術協会公式ウェブサイト
◆ 杉 英行さんが出品されるグループ展
第10回 彫刻7人展
2014年1月13日(祝日・月)~1月19日(日) ・・・※(会期終了しました。)
11:00~18:00 (最終日は17:00)
万国橋ギャラリー
〒231-0003 横浜市中区北仲通4-49 萬国貿易ビル1F
電話/FAX 045-201-8103
交通 ■地下鉄 みなとみらい線 馬車道駅下車、6番出口徒歩1分
JR桜木町駅下車、県庁方向へ徒歩10分
JR関内駅下車、馬車道通りを海の方へ徒歩10分
市営地下鉄 関内駅下車、9番口 馬車道通りを海の方へ徒歩5分
/横浜第2合同庁舎向い側
◆杉 英行さんの手記 「木材入手顛末記」
◆ 杉 英行さんの 略歴
1945年熊本県生まれ
多摩美術大学彫刻科中退
1973 横浜新人の美術招待展
1982 自由美術協会会員
1986 横浜美術招待展
1998 自由美術展平和賞
1999 文化庁現代美術選抜展
2000 個展
以後グループ展多数
自由美術協会会員
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