この度のNHK杯における、羽生選手のフリー演技のCBC解説に関する記事、さらにポッドキャストに関する記事、にたくさんのコメントをありがとうございました。
カートさんの本当にユニークな表現、選手に対する眼差し、そしてフィギュアスケートというスポーツに対する愛情、それらがこのCBC解説の大きな持ち味となっているのは間違いありません。
今年のスケートアメリカとロステレコム杯の時にはカートさんがツアーに出ていたため、デイビッド・ペルティエさんがピンチヒッターとして登場しました。彼も冷静で、時には辛辣なコメントをして、特にペア競技に関する洞察はさすがに鋭く、良かったのですが、やはりカートが帰って来るとホッとするところがあります。
特に今回の羽生選手の歴史的瞬間には、カートさんの解説が聞けて良かった。
ひとつ思ったのは、NHK杯の驚異的な演技に至るまでも、カートさんの羽生選手に対する解説が実はけっこう一貫していたのだ、ということ。
"I don't understand Yuzuru's footwork"
「ユヅのフットワークはぼくの理解を超えている」
(これは昨年のGPFの時でしたね)
とか
"He absolutely controls the arena"
「完全に会場を支配する」
(ソチ五輪のSPの時)
とか
" Power, out of 'nothing'"
「『何もない』ところからスピードを生み出す」
(これは記事にしていませんが、上海ワールドのEXの解説にて)
などなどの表現が見られました。
こういった点をカートが過去にすでに指摘していることからすると、野村萬斎さんのアドバイスを受けて今回の「SEIMEI」のプログラムの精度が上がったのだとしても、その下地はすでに羽生選手の中に宿っていたのだろうと思われます。
そうでなければこんな短時間に、何年もかけて体得されるような「奥義」が表現できるはずがないでしょう。
また、羽生選手が自分の能力を最大限に引き出すには「和」の要素を取り入れることが良い、と直感的に思い、このテーマでのプログラムを演じようと選んだことにも背筋がゾワッとします。
なお、昨日の夕方にクオンさんにメールして、ポッドキャストの内容を絶賛しておいたのですが、彼女によるとカートさんは野村萬斎さんと羽生選手の対談のことは知らず、ベヴァリー・スミスさんが書いた記事も読んでいなかったのだそうです。(スミスさんの元記事はこちら、私のそれに関する記事はこちらとこちら)
その後、クオンさんから説明を受けて "It all came together in his head! How cool is that!"(=「全てが彼(カート)の頭の中でピッタリとハマったみたい。これってすっごいことよね!」)と、彼女も感激していました。
あと、クオンさんから日本のファンの皆さんにメッセージです。
私からは「カートさんが、羽生選手の成し遂げようとしていることに関してしっかりと評価してくれていることについて、日本のファンはとても喜んでいる」と伝えると、
I will let him know! Tell the fans we are delighted that they like what we are doing!
カートに伝えておきます!ファンの皆さんに、「私たちのやっていることを気に入ってもらえて、とっても嬉しい」って言っておいてね!
そしてさらに
I just heard I am going to GPF!
GPFに行かせてもらえるって聞いたところなの!
ということで、クオンさんはバルセロナからまた楽しいツイートやインスタグラムを送ってくれるに違いありません。期待しましょう。
このあと、またCBC解説の「ツボ」について書かないと。