米国を構造改革せよ | 「国家戦略特区」blog

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ポスト・グローバリズムの社会を考察。日本を貧しくする移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。

「習金平の訪米に合わせる様にロスとラスベガスを結ぶ高速鉄道をチャイナが受注したとの報道がありました。日本のインフラ輸出は有り余る外貨を活用して行うべきです。2013年1月の投稿の加筆修正記事を再掲します」

インフラ輸出は日本の雇用を産むモノで無ければダメですね。とのお方は、以下のリンクをクリックにて、ご支援の宜しくお願い申し上げます。

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米国を土建国家に構造改革せよ』


 第二次安倍政権が成立して、世の中、少しは明るくなるかと思っていたら、維新の顧問だった竹中氏らの構造改革派が出て来て、やれTPPだ、規制緩和だ、自由化だ、道州制だと、安倍政権を乗っ取ってしまいました。日本を構造改革するのが彼らの狙いだったのですが、だったら、逆にアメリカを日本みたいに構造改革したらどうだろう?という逆転の発想を提案したいと思います。攻撃こそ最大の防御です。


 TPPに代表される、いわゆる構造改革というのは、アメリカが日本に対して要求するというのが常でした。しかし、平均寿命や民度の高さ、犯罪発生率や失業率の低さ、貧富の格差の少なさなど、客観的に見れば日本の方がアメリカより遥かに良い国なのですから、むしろ日本がアメリカの構造を改革するほうが、米国民から喜ばれます


 また、国富という点では、日本が世界一の金持ち国家であり、政府の対外資産の多くが、米国債なのですから、これをむしろ活用した経済援助をしてアメリカを構造改革してしまえ!という訳です。


 そこで何を援助するかと言えば、日本に有ってアメリカに無い物、ズバリ新幹線やリニアモーターカーに代表される高速鉄道網です。この高速鉄道網を米国債を担保したFRBからの融資(投資)で建設するというのが、今回の計画の骨子です。


 仮に『ニューディール21』と呼ぶアメリカへの経済援助と呼べば解り易いでしょう。つまり『ジャパニーズ・マーシャルプラン』です。「援助」というとアメリカのプライドを傷つけるなら、「ギフト」でも良いと思います。

 日本からは、高速鉄道のシステムと車両、それにトンネルの掘削機械などの資材を輸出します。あくまで輸出するというのがポイントです。またこの計画は、高速鉄道の建設だけではなく、新幹線やリニアが乗入れる都市中心部の大規模再開発や、高速鉄道網に合わせた、発送電分離で滅茶苦茶になった電力網の一新、つまりスマートグリッド化や、通信ネットワーク網の再構築、都市の省エネルギー化、高速鉄道沿線での近郊通勤電車の整備と住宅地開発などがセットとなる大計画です。


 具体的な高速鉄道のルートは、十分採算性が確保出来そうな、ボストンからワシントンDCまでの東海岸エリア、シアトルからサンディエゴまでの西海岸エリアに加え、ダラスからマイアミ迄の南部、ミネアポリスからデトロイト迄の五大湖周辺の北西部、(出来ればカナダ迄連続させて、モントリオール迄通すのが理想)を加えた北米の東西南北4地域に新幹線網を作るというものです。この結果、およそ、全米のほとんどの大都市の都心部に高速鉄道が通ります。

 ルートは出来るだけ直線にしてリニアなら600km/hくらいの速度で運行し、各都市の中心部にアクセスさせます。従って、高架橋とトンネルの組合せのルートとなり、必然的に大規模な工事となります。


 確かにNYとロスをリニアで結ぶのは現実的では有りませんが、サンフランシスコとロスは高速鉄道で結ぶ方が効率的ですし、同じ事は、NYとワシントンDCでもいえます。これが未だに実現していないのは、連邦政府や州政府の財政的な問題に併せ、自動車産業と航空機産業の妨害だと思いますが、この高速鉄道網の不在という問題が、アメリカ社会の一体感の喪失という非常に大きな悪弊を与えている訳ですから、尚更、この構造は改革する必要性があります。


 アメリカとしても、世界の高速鉄道の中で唯一、開業以来ひとつも大事故を起こしていない安全性と利便性を兼ね備えた新幹線やそれが進歩したリニアの導入を拒む理由はありませんし、現在、アメリカには鉄道メーカーが事実上、存在しておりませんので、日本から輸入することに抵抗は少ないと思います。そもそも、日本からの援助(ギフト)で高速鉄道を作るのですから文句は無いでしょう。


 また高速鉄道の建設という経済的な効果は、リーマンショック後の、恐慌に片足を突っ込みながら、金融緩和でしのいできたアメリカにとって、内需を劇的に改善する可能性が有ります。この計画は、アメリカのほとんどの大都市のダウンタウンで大規模な再開発が行なわれますので、恩恵は国全体に及び、建設事業である以上、雇用が必ず国内で生まれるのが利点です。

 また、工作機械やコンサル、ゼネコン、建設資材は、日本か米国に限ることと、現場の労働者は、アメリカ国民に限定するなどの条件を融資に付加することで、日米両国が多くの利益を得られます。


 更に重要なのは、現在アメリカはオバマ大統領で、このような公共事業に対し親和性の高い政権だという点です。彼らにとって伝説の大統領であるF・ルーズベルトの代表的な政策である、ニューディール政策の21世紀版といえば、オバマも飛びつくと思いますし、第二次大戦後に行なったマーシャルプランを今度は日本がしてくれるのなら、米政府も悪い気はしないでしょう。また、議会の多数派の共和党も日本政府が金を出すなら文句もいえません。


 考えてみれば、日本で使えないドルを国家予算並の規模で持っていても、日本国民にとっては何の得も有りません。というか、この馬鹿みたいに大量に持っている米国債とは、もはや経済の核兵器だと思うのです。仮に一斉に売り払えば、ドルは本当に紙くずになってしまい、米経済は崩壊しますが、同時に、日本も天文学的な円高になって、経済が崩壊します。

 米ソ冷戦時代の全面核戦争と同じ効果を経済に与える最終兵器です。つまり米国債は円に換金して使いたくても使えない死金なのです。


 個人的にこの山ほど保有している米国債は、イラク戦争及び対テロ戦争の実質的な戦費負担だと考えているのですが、何れにせよ、何の役にも立たない無駄金である米国債が、極端にいえばゼロになっても、日本人は困らないと思います。それを良くいえば投資、悪くいえばドブに捨てて輸出で活用すべし、という話です。

 この計画には、FRBの同意と恐らく米国と日本の特別法が必要だと思いますが、雇用ターゲットまで導入している現在のFRBなら乗ってくると思います。細かな話ですが、高速鉄道及び周辺地域の関連の開発事業会社は、連邦政府が出資する株式会社として、日本政府も一定の割合の株式を保有し、将来上場して売却益を得るというオプションも残すべきです。また、融資は原則、米国債と同じ金利としてリンクさせるので、日本国には米国債の運用益は入らないという前提です。


 アメリカという国は、本当に困った国で、実質的に、戦争が最大の公共事業となっています。その証拠は、全盛期の大英帝国に比べて、対GDP比の軍事費が高すぎる事からも明らかです。軍事費という公共事業により国家基盤が出来ており、シリコンバレーのIT産業もベースは軍需技術です。

 元々米国民は、母国を飛び出して世界中から移民してきた訳ですから、基本的に外国で(つまり母国に戻って)戦争をしたくない人びとだと思いますが、その意に反して、アメリカ政府は10年に一度は必ず戦争をしています。色々政治的な理由はあると思いますが、結局、戦争に依存した国家構造だから戦争をしない訳には行かないのです。


 仮にですが、この新幹線網の建設という、インフラ整備による経済発展をアメリカが理解すれば、つまり『アメリカの土建国家化』ですが、確実にアメリカの国家構造は変革すると思います。

考えてみれば、米国でも地球温暖化の影響で、超巨大台風の発生が日常化しつつありますし、西海岸では地震も有ります。正に北米大陸も強靭化の必要が有るのです。ジャパンマネーでアメリカを「土建国家」に「構造改革」すべきです。


 『ニューディール21』は、遠い未来の話ではなくて直ぐに実行すべき課題です。安倍首相がオバマ大統領に会う時に、雑談でも良いので、これに軽く触れるのはどうでしょうか?リベラルなオバマにとっては、グローバル資本を儲けさせるだけのTPPなんて正直どうでも良い話で、オバマの演説じゃないですが「ジョブ!ジョブ!ジョブ!」を大多数の99%の人たちにもたらす土建国家のほうが、彼にとって美味しい筈です。


 そして結果として、アメリカが土建国家になれば、国内の構造改革派の皆さんもきっと今の金融緩和みたいにレジームチェンジします。「もっとアメリカを見習って日本も公共事業を増やせ!!」と勝手に叫んでくれるので好都合です。


 最後に『アメリカの土建国家化』の真の目的は(裏の目的は)、戦後レジームからの脱却です。戦後体制打破の最大の障害は、アメリカ合衆国です。それ故に『ニューティール21』(ジャパニーズ・マーシャルプラン)は戦後レジーム脱却ための米国との取引材料で有り、日本自立のための持参金なのです。

本エントリーは2013年1月20日「新世紀のビックブラザーへ」掲載記事の加筆修正です。

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