ブラック企業アベ政権 | 「国家戦略特区」blog

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経世済民・建築論『労働規制緩和と安倍政権』

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設計事務所は昔からブラックな職場として知られています。私の修行していた建築家のアトリエも超ブラックで、冗談抜きで休みが盆と正月しか無かったのです。スタッフはアトリエの近くに住み毎日、深夜迄作業しておりまして、私も最初から3年だけ修行しようと思って実際3年で辞めました。

しかし、このようなブラックな職場環境は、日本に限らず世界的な現象です。ルイス・カーンという20世紀を代表するアメリカの巨匠建築家がいるのですが、彼の生涯を追った「マイ・アーキテクト」というドキュメンタリー映画を見たのですが、これが業界人にとっては身につまされる内容でした。


ルイス・カーン設計フィッシャー邸


ルイス・カーンは、若い頃は大学で建築を教えながら、晩年に大作を幾つも手掛けた遅咲きの巨匠で、しかも仕事のし過ぎで過労死のような感じで73歳で亡くなりました。プライベートは褒められたモノではなく、3人の女性に計3人の子供を産ませています。マイ・アーキテクトの監督はその中の一人です。

例えばカーンはアイディアが浮かぶと、朝の4時でも構わず、スタッフの自宅に電話を入れ、所員を事務所に呼び出したそうです。映画の中では、インタビューを受けた元所員が、過酷な労働環境から家庭を守るために事務所を辞めざるを得なかったと語るシーンが印象的でした。

しかし、そうやってスタッフの犠牲の上に作られたカーンの建築は、圧倒的に美しく人々を虜にします。若い頃は妻の収入で生計を建て、ある程度売れっ子になると外に愛人を作って別宅を設ける問題だらけの人間性ですが、3人の女性ともカーンの虜だったようで家庭が3つもあった不思議な人物です。


ルイスカーン設計ソーク研究所


実は私は、映画館で公開された時に見に行って目茶苦茶感動したのですが、エンドロールが終わり帰るときに、知人に連れて来られたらしい女性客が一言「あーあ、良く寝た」と語っておりましたので、変な業界で変な仕事をしている馬鹿野郎共が喜んで見る作品なんだろうなと反省したモノです。

ルイス・カーンのエピソードは、60年代から70年代の前半の話なので、過去の世界とも言えます。しかし、同じような話をまたしても、現代の建築家の設計事務所で聞いたのです。OMAというオランダの設計事務所を率いハーバード大学の教授でもあるレム・クールハース(コールハース)のケースです。

レムは典型的なネオリベ・グローバリストです。若い時は熱烈な左翼思想の信奉者でしたが、68年の5月革命などが失敗すると、今度は資本主義の権化となり現代社会そのものを批評したような作品を相次いで発表します。しかし、それが本当にクールなのです。空間の力を信じる彼の作品を私は支持します。


ルイスカーン設計キンベル美術館


香港やニューヨークにも事務所を構えるレムですが、事務所の実態は、ブラックそのものらしく、メディアでスタッフだった若手建築家が事務所を辞めた理由を告白していたのですが、身体を壊して辞めたとの事、古今東西、どのスター建築家の事務所もみんなブラックじゃないですか?

結局、人間とは馬鹿なモノで、愉しい事には寝る間を惜しんで頑張ってしまうものなのです。でもどの業界でも、本当にクリエイティブな仕事は、全部ブラックだと思います。音楽、出版、デザイン、映画、アニメ、マンガ、演劇などなど、全部ブラック企業の塊みたいな感じですよね。

しかし世の中には、建前と本音というモノがあるでしょう。私は保守とは建前を守る痩せ我慢でもあると考えています。安倍政権が推進しているホワイトカラーエグゼンプションは、建前の放棄ではないでしょうか?カーンもレムもブラック企業にしたくて過酷な労働環境だった訳では無いのです。


ルイスカーン設計バングラデシュ国会議事堂


新自由主義は人間の欲望を出来るだけ肯定しようとの思想とも感じます。クリエイターがブラックなのは、レムもカーンも急に売れっ子建築家になって世界中からオファーが殺到したからであって、彼らがブラックだからクリエイティブになった訳では無いのです。ネオリベは原因と結果を逆に捉えています。

残業代廃止法案には、結果的に残業代ナシになっている職場にお墨付きを与えようという、お門違いも甚だしい法律です。そして建前が社会から無くなってしまったら、何でもアリの世の中になってしまうでしょう。建前の無い何でもアリが理想なら、安倍政権は全く保守的ではないだろう、と強く感じています。


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「建築:ザハ・ハディド設計/ヘイダルアリエフセンター(アゼルバイジャン共和国)


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