ブライトンにいた頃、通っていたカレッジのクラスメートに中国人のティンという女の子がいました。
年のころは20代後半で私とほぼ同じ。
その彼女には、中国に旦那様と3歳になる男の子がいて、彼女一人でイギリスに渡ってきていました。
ティンのイギリス留学の目的は、ブライトンでの英語コースを終えた後に、イギリス国内の大学に入学し、教育学のマスターを取得する事。
彼女は中国では英語講師で、子供たちに英語を教えていたのです。
なので、英語の教授法について更に極めるために、イギリスに留学しにきたとの事でした。
旦那様とお子さんを残しての留学はさぞ不安ではないかと勝手に心配した私ですが・・・
彼女は至ってクールで
「旦那もその間に一人で自由な生活が出来ていいみたいよ」
と言っていました。
「でもお子さんのお世話とか、働きながら一人で大変じゃないの?」
と私がまたもや余計な心配をして尋ねると、
「大丈夫よ。子供はうちの親が面倒見ているから!」
だそうです。納得!
それにしても、奥様のやりたい事を尊重されて、快くイギリス留学に送り出してくれる旦那様ってなんて素敵なんだろう
と、私はティンの旦那様のことをとても懐の広い素敵な人であろうと想像していました。
それをティンに伝えると、彼女は・・・
私があっけに取られるようなことを言ったのです。
「あ、違うの!違うの!彼はただ、私がマスターを取ったら、それを友人たちに自慢したいだけなのよ。彼の友人の奥さんたちは皆博学で、マスターを終了した人たちばかりなの。それなのに、自分の妻だけが学士号止まりだったから今まで肩身が狭かったみたいよ。私がマスターを取れば、彼も私のことを堂々と友人たちに自慢できるってわけよ!しかもイギリスでマスターを取ったって言ったらますますハクがつくじゃない」
え~
「旦那様はただ奥さんのことを自慢したいだけのためにイギリスに留学させてくれているの?」
私が驚いて尋ねると、ティンはすまして答えました。
「そうよ!その証拠に私、中国に帰っても働かないもの。イギリスにいる間にいっぱい勉強して、マスターを取って、中国に帰ったら専業主婦をするのが私の夢よ」
え~
もう、何がなんだかわけが分からない私
せっかくイギリスで修士を取るのに国に帰ってからは専業主婦になりたいなんて。
もちろん人生に対する考え方は人それぞれ・・・
どんな人生を生きようとそれはその人の自由です。
が、留学後はそこで学んだ事を次の職業に活かしたい!と思っていた私にとって、ティンの考え方も旦那様の考え方も不思議な考え方でした。(←余計なお世話)
世の中、色々なご夫婦がいらっしゃいますね。
あ、ただやっぱり羨ましく思ったのは・・・
どんな理由があるにしても、結婚してから奥様をイギリス留学に快く送り出してくれる旦那様がいることですね
最近、ティンとは全く連絡を取っていませんが、今は中国に帰って家族3人で幸せに暮らしている事と思います。