延命中の短期賃貸借~覚え方はニュートリノ振動実験~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

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大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 「短期賃貸借の保護」とは何ですか。

おとといの話しで出てきたシステムです。
業界用語「タンチン」です。

誤解ありがち度 4(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 一定の短期間の賃貸借は新所有者よりも優先する,という制度です。

【おさらい】
抵当権の登記より後から入居した場合,賃借権よりも抵当権が優先となります。
競売されると消滅してしまいます。

【短期賃貸借の制度】
しかし,賃貸借が「短期賃貸借」の場合,抵当権設定登記よりも後の入居(対抗要件)だとしても,賃貸借は消滅しません。
短期賃貸借とは,宅地の賃貸であれば5年,建物の賃貸であれば3年以下の賃貸借のことです(平成15年改正前の民法395条)。
売却(競売)された後も,元の賃貸借契約の期間中は賃借権が存続します。
仮に,3年の約束で建物の賃貸借をして,1年で競売された場合,あと2年は賃貸借が存続します。

【短期賃貸借制度の廃止】
この「短期賃貸借(の保護)」の制度は,平成15年の民法改正(平成16年4月1日施行)で廃止になりました。
抵当権設定後でも,もっと言うと,抵当権実行直前に,ポっと第三者が入居して,
「タンチンでーす。居て良いと民法395条に書いてまーす」
と元気よく宣言する”占有屋さん”が流行りました。
抵当権の妨害です。
そこで,誰からともなく「タンチン,止めようよ,止めようよ」ということになったわけであります。

【短期賃貸借制度のリバイバル】
しかし,改正前に,最初の契約が始まっていて,かつ,その後更新が続いている,という場合は,まだこの制度が適用されます(改正附則5条)。
リバイバル,というか「廃止されるはずのものが延命している」というべきか。

【附則(平成15年8月1日法律第134号)】
(短期賃貸借に関する経過措置)
第5条  この法律の施行の際現に存する抵当不動産の賃貸借(この法律の施行後に更新されたものを含む。)のうち民法第602条に定める期間を超えないものであって当該抵当不動産の抵当権の登記後に対抗要件を備えたものに対する抵当権の効力については、なお従前の例による。

【競売の世界でのXデイ】
そこで,スタート(建物賃貸借であれば入居)が平成16年4月1日よりも前か後か,が非常に重要になります。
競売物件に入札する人,抵当権者(金融機関)などのような「競売業界人」の頭の中にはこの記念日がくっきりと刻まれています。
大切な人の誕生日よりも優先して記憶されているようです。

※この色の部分は(興味のない方は)スキップ推奨です。
ちなみに私の場合,
K2K実験によりニュートリノ振動理論が確立された年」
で覚えています。
筑波の高エネルギー加速器から発射したニュートリノを飛騨市神岡町のスーパーカミオカンデでキャッチする実験が行われ,その結果(データ)を解析して,「振動」が判明したのが平成16年6月なのです。
なぜこれを記憶法に使うのか。
だって,250kmも離れた地点で,地面の中を粒子が通過する→キャッチする
って,すごくないですか。記憶に残るビッグニューズですよ!
ちょっと話しがずれましたが。

でもとにかく,それくらい「平成16年4月1日」は重要な日なのです。
「タンチン」が成立するかしないかでモノによってはエライ経済的な違いが出てくるのです。

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