法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

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テーマ:
Q 所有地上の建物を建て替える予定です。
  「間口」が狭いのですが・・・建築確認は大丈夫でしょうか。


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A エリアによって一定の規制があるはずです。
  民事上の権利関係は,建築確認とストレートにはリンクしません。


【旗竿地,路地状敷地,敷地延長】
所有している土地に住居を建築する予定です。
公道からの「間口」は細長い土地です。
市役所に相談しましたが「位置指定道路」にしてくれませんでした。
建物は建てられるのでしょうか。

→接道義務はクリアしています。ただし,旗竿地(路地状敷地,敷地延長)として一定の建築制限があります。

要は,所有している土地の一部が公道に接しているということですから,この部分が接道義務の基準をクリアしていればこれ自体は問題ありません。
ただし,間口からメイン部分までが細長い土地,という場合は,特殊な扱いがあります。
つまり,居宅部分へのアクセスが悪いので,防災の面から,一定の考慮が必要とされるのです。
地区によって具体的な規制・ルールは異なります。
<名称のまとめ>
・路地状部分
 間口となっている,細長い通路状の部分
・有効宅地部分
 奥まっている,建物を建築するメインの部分
・旗竿地,路地状敷地,敷地延長
 路地状部分+有効宅地部分の土地全体

【路地状部分が共有の場合の利用権限】
路地状部分がお隣さんとの共有になっています。
建物を建て替える際にお隣さんの承諾・ハンコが必要なのでしょうか。

→「共有物の使用方法」として共有者の了解を取るべきです。

路地状部分が共有となっている場合は,ここを通行することは「共有物の使用方法」として,共有者間で決定すべきです。
民法上,書面にすることが義務付けられているわけではありません。
しかし,長期間にわたる約束ごとです。
書面に調印して記録化しておくとベストです。

【建築確認申請における承諾書】
路地状部分について,共有者であるお隣さんは口頭で承諾してくれています。
建て替える前から使っているので快く承諾してくれています。
ただ,ハンコは押さない,とおっしゃっています。
建築確認は通らないのでしょうか。

→建築確認申請を「不適合」とすることは違法です。

理論的に,建築確認申請で審査する対象は物理的な建築物の位置・形状・公的規制です。
民事的な「使用権限・権利」ではありません。
そこで,仮に「使用権限」についての資料が提出されなかったという理由で「不適合処分」とすることは違法とされています(津地方裁判所/平成14年(行ウ)第10号)。

[津地方裁判所/平成14年(行ウ)第10号]
建築基準法(改正前。以下同じ。)6条1項に規定するいわゆる建築確認は,申請に係る建築物の計画が当該建築物の敷地,構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築関係規定」という。)に適合していることを公権的に確認する行為であり,申請書を受理した建築主事は,申請に係る建築物の計画が建築関係規定に適合しているか否かを審査すべきものとされている(同法6条3項)。
2 ところで,①建築確認は申請人が当該申請にかかる建築物の敷地を使用し得る私法上の権利を有するかどうかとは無関係に行われるものであり,建築主事の審査すべき対象事項の中には,建築予定地たる申請敷地に対して当該建築主が真実所有権や賃借権等の実体上の使用権を有しているか否かは含まれていないから,建築主事は,ただ,申請敷地が存在するか否か,公道が存在するか否か,申請敷地が接道義務を満たしているか否か等の外形的事項について審査すれば足り,申請敷地の使用権の有無まで審査する義務や権限はないと解せられること,②そもそも,建築確認がなされたからといって当該建築主にその申請敷地に対する実体上の使用権が発生するわけではないこと,③そして,建築関係規定中には,ある土地をある建物の敷地とする建築確認がなされた場合に,後にその敷地の一部を他の建物の申請敷地とする建築確認申請(敷地の重複申請)及び上記のような申請に対する建築確認(敷地の重複確認)を直接禁止する規定がないこと,以上の点を考慮すると,建築主事は,当該建築確認申請が敷地の重複申請に当たるか否かまで審査する義務はなく,また,たとえ何らかの事情により当該申請が敷地の重複申請に当たることを知ったとしても,そのことについて行政指導をするかどうかはともかく,最終的にはこれを考慮することなく,当該申請に係る建築物の計画が建築関係規定に適合するかどうかを審査すれば足り,当該申請が敷地の重複申請であることを理由に不適合処分をすることは許されないものと解するのが相当である。(略)
この点,被告は被告の主張(1)のとおり主張しているところ,なるほど建築基準法施行令1条1号は,敷地につき「一の建築物又は用途上不可分の関係にある二以上の建築物のある一団の土地をいう。」と定義して,「一建物,一敷地の原則」を定めており,この規定によれば,建築基準法は同一敷地を異なる建築物が重複して使用し,既存の建築物の違法化を招くことを容認しない建前を一応とっているとはいい得る。しかし,この規定は,直接には個々の建築物について独自の敷地が成立するという原則を規定したもので,敷地相互間の関係について規定したものではないこと,現行法上建物とその敷地との関係を公示する制度はなく,建築確認の申請書の保存期間等についても何らの規定も設けられていないこと,土地の利用関係に関する私人間の紛争は最終的には民事裁判によって確定されるべきものであることからして,この規定をもって,敷地を二重使用することとなる建築確認が重複的に行われることが許容されないとするまでの根拠とすることはできない。

【承諾書がない場合の建築確認申請】
路地状部分について,共有者のハンコがない場合でも建築確認申請は通るのでしょうか。

→実際には,共有者の承諾を示す資料が要求されることもあります。仮に建築確認申請が通っても,行政指導を受けることはあり得ます。

建築確認申請において,民事的な土地の権利関係,利用権限は審査対象外です。
しかし,実際には,地区によっては,申請書類として,登記事項証明書や土地使用承諾書が要求されることもあります。
これらの資料が提出されない場合,ストレートに「不適合」とすることはできません。
理論的には,他の部分で問題なければ,適合とされます。
ただし,現実に利用権限を欠いているような場合は「行政指導」がなされることはあり得ましょう。
また,そのような場合は,共有者その他の権利者から,使用差止や損害賠償などの請求を受けることは言うまでもありません。

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テーマ:
Q 借地の「期間」は借地借家法or借地法,どっちが適用されるのですか。
  特に,更新が繰り返され,旧法時代・新法時代がまたがっている場合はどうですか。


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A 平成8年4月1日の借地借家法施行が区切りです。
  ただ,以前からの契約更新,の場合は,ずっと旧法(借地法)適用です。


【借地借家法と借地法の適用基準】
どのような場合に,借地借家法,ではなく,借地法,が適用されるのでしょうか。

→借地契約の開始時点が平成8年4月1日よりも前であれば,期間全体について借地法が適用されます。

借地借家法が新たに制定され,施行されたのは平成8年4月1日です。
それ以前は,「借地」に関するルールは「借地法」によって規定されていました。
ですから,借地契約の開始が平成8年4月1日よりも前であれば,その契約には借地法が適用されます。

【借地法の適用と借地契約更新】
借地法の時代(平成8年4月以前)に借地契約が始まりましたが,その後,新法時代(平成8年4月以降)に,契約は更新されました。
新法(借地借家法)の適用に切り替わるのでしょうか。

→更新後の契約についても,旧法(借地法)が適用されます。

素朴に考えると,新法(借地借家法)施行後の契約なのだから,借地借家法の適用に切り替わるように思えます。
しかし,改正時の附則によって,更新後も旧法が適用されることが規定されています(附則6条)。
簡単に言えば,借地契約は長期間続くので,途中から,新たに作られたルールが適用される,ということは想定していなかったこと=不意打ちになる,という考えなのです。

[借地借家法 附則]
(借地契約の更新に関する経過措置)
第六条  この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。

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Q 借地の「期間」は何年なのでしょうか。
  きちんと契約書で決めていないと「期間の定めなし」?


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A 新法(借地借家法)30年→20年→10年→10年・・・
  旧法(借地法)30年→20年→20年・・・(堅固建物以外)
  「期間の定めなし」は借地ではあり得ません。


【借地の「期間」;借地借家法】
借地上に建物を持っています。
地主さんとの間で,「期間」を特に決めていませんでした。
どうなるのでしょうか。

→30年→20年→10年→10年・・・,と自動的に期間が決まります。ただし,借地借家法がストレートに適用されるのは平成8年4月1日以降にスタートした契約のみです。

建物所有目的の土地の賃貸借については,「借地」として細かいルールが決まっています。
最初の契約時は30年,その後の更新で20年,さらに次以降の更新では10年,となります(借地借家法3条,4条

)。
なお,当事者が特に意識していなくても,借地契約は更新されます(法定更新;借地借家法5条)。
この点,建物の賃貸借(借家)の場合,契約の「期間」が「定まっていない」ということもあります。
しかし,借地については「期間の定めなし」ということはないのです。
また,(旧)借地法,ではルールが異なりますので注意が必要です。

[借地借家法]
(借地権の存続期間)
第三条  借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
(借地権の更新後の期間)
第四条  当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から十年(借地権の設定後の最初の更新

にあっては、二十年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
(借地契約の更新請求等)
第五条  借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り

、前条の規定によるもののほか、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅

滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
2(略)

【借地の「期間」;借地法】
借地借家法の制定される前の「借地法」では,「期間」を決めていない場合の借地の期間はどうなるのでしょうか。

→借地上の建物が通常の建物であれば,30年→20年→20年・・・,と自動的に期間が決まります。

借地法の規定では,借地の前提によって変わります(借地法2条,5条)。
当事者が特に意識していなくても,借地契約は更新されます(法定更新;借地法6条)。

<借地法による借地の期間>
堅固な建物を所有する目的
(石造,土造,煉瓦造,これに類する構造)
 →初回60年,更新後は30年

その他の建物を所有する目的
 →初回30年,更新後は20年

[借地法]
第2条 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス 但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス

第5条 当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年トス 此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
2 当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ

第6条 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス

【借地の「期間」の強行法規性】
借地の契約書で,短い期間を合意してあれば,これは有効なのでしょうか。

→借地借家法や借地法の規定より短い期間は無効となります。法律上の期間が適用されます。

仮に,当事者間で,「敢えて短い期間だけの契約にしよう」ということで納得していても,無効となります。
借地に関しては,特に強く「借主保護」が徹底されているのです。
契約期間については,条文上も強行法規とされています(借地借家法9条,借地法11条)。

[借地借家法]
(強行規定)
第九条  この節の規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。

[借地法] 
第11条 第2条、第4条乃至第8条ノ2、第9条ノ2(第9条ノ4ニ於テ準用スル場合ヲ含ム)及前条ノ規定ニ反スル契約条件ニシテ借地権者ニ不利ナルモノハ之ヲ定メサルモノト看做ス

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