Q&A205 12因子 46%、プロテインS活性 43% | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 28歳、採卵7回、移植3回
着床不全の血液検査で、血液凝固第12因子 46%、プロテインS活性 43%が引っかかりました。これは、移植の時から改善することはできるのでしょうか。また、妊娠陽性反応がでたら、へパリン注射と小児用バファリンの両方が必要でしょうか。

A 妊娠反応で一度も陽性が出ていないのでしたら、移植からヘパリン+アスピリン療法をお勧めします。同じ結果でも、ある方は中期流産、ある方は初期流産、そして別の方は化学流産、さらに他の方は妊娠反応が出ないという具合に、そのヒトによって臨床症状の現れ方が異なります。したがって、ご質問のケースについては、移植からの治療が必要だと思いますが、未だ世界的なコンセンサスは得られていません。
また妊娠すると、12因子は増加し、プロテインS活性は減少します。60%をボーダーラインとすると、12因子は問題ないと考えますが、プロテインS活性はどこまで低下するかがカギとなります。
プロテインS活性については、下記を参照してください。

2013.8.16「☆プロテインS活性低下」
2013.9.27「Q&A92 プロテインS活性低下」
2013.10.31「Q&A127 プロテインS活性低下」
2013.11.7「☆亜鉛と不育とプロテインS その1」
2013.11.11「☆亜鉛と不育とプロテインS その2」
2013.11.11「☆亜鉛と不育とプロテインS その3(Q&A回答)」
2013.11.17「☆プロテインSの測定法について」