数学エッセイ 雪見だいふくと胞体分割 | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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アドラー心理学的な世界観のコラムやエッセイを書いています

私は学生時代、数学の授業をそれなりに受けていましたが、
どちらかというと、自分で数学の本を読んで学ぶのが好きでした。

なので、本屋にいっては、興味が湧く数学の専門書を買ってきて、
自分で読んでいました。

興味深い専門書もあれば、そうでないのもあり、
自分なりに数学ライフを楽しんでいました。



そんな中、大学3年生のとき、

 

横田一郎先生の『多様体ともース理論』

という本を買ってきました。

何気なく買ってきたのですが、
読み始めてその分かりやすさに驚きました。

とても丁寧に書かれていて、具体例も豊富で
かゆい所に手が届くようでした。

そして何より、数学の魅力がひしひしと伝わってきました。

私は夢中で横田先生の本を読みました。



当時、大学3年生の私は、授業が少なくなってきたこともあり、
夜は家庭教師のバイトがあり、不規則な生活をしていました。

家庭教師が終わり、晩ご飯を食べて、
ひといきつくと、もう夜の11時頃です。

その後、横田先生の本を読み始めて、
明け方まで読んでいました。

明け方になって布団に入り、夕方まで寝るとういう
完全に昼と夜が逆転した生活です。



1ヵ月近く、そんな生活を続け、
『多様体ともース理論』 を読み終えたとき、
私は深い感動に包まれました。

数学は興味深い、
という思いが胸に込み上げてきました。



この本は、円板や球体(から境界を除いたもの)を胞体と呼び、
図形を胞体で分割することを目的としていました。


その頃、私は明け方まで本を読み、
気分転換に、雪見だいふくよく食べていたのですが、


そのとき食べていた雪見だいふくが、
この本の胞体分割のイメージと重なったことが
今でも印象的です。


球面のまんまるい形が、だいふくのフワッとした感じと
イメージが重なったのです。


そんなこともあり、この本を読んだ後、
雪見だいふくを食べるのが、
ささやかな楽しみでした。





『多様体ともース理論』 を読み終えた後は、
横田一郎先生の 『群と位相』 を読み進めました。

こちらは基本群やファイバー空間、胞体分割がテーマです。

やはり、丁寧で魅力的な記述に、私はひきつけられました。



この頃、横田一郎先生の本に出会い、
数学の魅力を改めて感じたことは、
私の数学観に大きな影響を与えました。


とても印象的な出来事でした。

 

 

続く ・ ・ ・

 

 

 

※ 横田一郎  『多様体ともース理論』,  現代数学社.
   横田一郎  『群と位相』,  裳華房.

 

 

 

◆ 数学エッセイ

私と数学の関わり

 

柔らかさの芽生えとトポロジーとの出会い

 

数学科のゼミと洋書との出会い

 

 

 

 

◆ 私の本 『数の世界』 について。

 

   自然数から実数、複素数、四元数、八元数への

  「数」 の広がりについて紹介しています。

 

 

数の世界 自然数から実数、複素数、そして四元数へ (ブルーバックス)

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