面積って何だろう? ~算数・数学の考え方~ | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

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タテの長さが2、ヨコの長さが3の長方形の面積は?

と聞かれたら、

「タテ×ヨコ」 の公式を使うことで、

2×3=6

とすぐに答えを出すことができます。


ところが、

面積とは何か?

と聞かれると、

すぐには答えられないのではないでしょうか?


算数の教科書では、

1辺の長さが1の正方形をいくつ敷き詰めることができるか

 

と面積を定義しています。

ですから、

タテの長さが2、ヨコの長さが3の長方形には、
このような正方形を6個敷き詰めることができるので、
面積は6となります。



とても分かりやすい説明ですが問題があります。

円のような曲った図形の面積

 

はどうすればいいのでしょうか?

 

 

公式を使って、円の面積を求めてもいいのですが、

定義に戻って、

正方形を敷き詰めるという考え方で、
求めることはできるのでしょうか?



たとえば、図のように円に正方形を敷き詰めたとき、
16個の正方形が敷き詰められたとします。

 

 

面積は16でいいのでしょうか?

かなり隙間が開いていて、

円の面積が16とは、とても思えません。


円は曲っているので、
正方形をピッタリと貼り付けることはできません。

どうすればいいのでしょうか?


正方形を小さくすればいいのです。

 


“分割を小さくする” という考え方です。

次のように正方形を小さくすれば、
隙間は小さくなります。

 


かなり隙間が小さくなってきました。

でも、まだ隙間がありますね。


どうすればいいのでしょうか?


もっと、正方形を小さくすればいいのです。

 


かなり隙間が小さくなってきました。

つまり、円の面積に近づいてきました。


このように、正方形をどんどん小さくしていきます。

限りなく分割を小さくすれば、
限りなく円の面積に近づく


という考え方に到達します。

 


このように、

限りなく細かく分割して、面積を求める

というのは興味深い考え方だといえます。


実は、高校で習う微積分学では、
これが根本的な考え方なのです。


また、日常生活でもこの考え方は使われています。

デジタルカメラは、画像を細かく分割して、
1つの領域に1つの色を当てます。


画素数で、500万画素というのは、
画像を500万個に分割しているのです。

先ほどの円の話と同じで、

500万の分割より、1000万の分割の方が
元の画像に近いといえます。

ですから、日常では、

風景をカメラで撮ったとき、

「500万画素より、1000万画素の方が綺麗」

といいますが、

数学的には、

「500万画素より、1000万画素の方が元の風景に近い」

というのが正確な表現なのです。

元の風景に近いわけですから、
結果的に綺麗と感じるのです。



小学校の算数の面積の考え方が、
微積分学やデジタルカメラなどに繋がることが分かりました。


当たり前に見えて、実は深いこの面積の問題は、
最終的には、数学者のルベーグの積分論によって、
正確な定式化がなされることとなりました。


というわけで、今回は面積の話をさせていただきました。


面積については、
まっちゃん先生がラジオでも語っていますので、
こちらもお聴きください。

⇒ ラジオはこちらから

というわけで、今回はここまでとなります。
 

 

 

 

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