5次元とは何だろう? ~ その3 5次元を超える物理学、超弦理論やM理論 ~ | 数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

数学を通して優しさや愛を伝える松岡学のブログ

アドラー心理学的な世界観のコラムやエッセイを書いています

この世界は一体何次元なんだろう?

そんな問いかけの答えの候補として、

 

今回は、5次元より高い次元を考える

超弦理論M理論 を紹介します。


さて、

 

世の中で一番小さいものは何でしょう?


分子や原子が思いつくかもしれませんが、
原子はさらに小さい電子と原子核からできています。

さらに、原子核は、陽子と中性子からなり、
陽子と中性子は3つのクォークから出来ています。

現在の理論では、電子やクォークなどが最小の粒子だと考えられています。

 

 



ところが、超弦理論によると、

物質の根源は極めて小さな 「ひも」 であるといいます。

ひもが振動することで、

電子やクォークなどの粒子が作られる

 

というダイナミックな考え方をします。

すべての自然現象の根本を、
極めて小さな振動するひもで説明しようとする
超弦理論は大変興味深い理論だといえます。

 

 

       < 振動するひものイメージ >

 


そして、超弦理論によると、
この世界は10次元であるといいます。


10次元というのは想像を絶する世界ですね。

ただし、


このうち6次元は極めて小さく折りたたまれていて、
私たちは感知できないのです。


この6次元の世界を、カラビ・ヤウ空間といいます。

残りの4次元が私たちの世界(空間3次元と時間1次元)なのです。

 

 

        < カラビ・ヤウ空間のイメージ >

 

 

しかし、研究が進むにつれて、超弦理論には
5つの種類があることが分かってきました。

この世界の真理を描く最終理論の候補であるにもかかわらず、
5つもタイプがあるのは、しっくりきません。


そこで、これらの5種類の超弦理論を
統合するような理論が考えられました。

1995年にヴィッテンが提唱し、M理論と呼ばれています。

この理論によるとこの世界は11次元であるといいます。

私たちの住む世界は4次元空間ですが、

 

11次元空間を考えることで、
すべての自然現象がうまく説明できるのです。



また、超弦理論が物質の根源が 「ひも」 であるのに対して、
M理論では物質の根源は 「膜(ブレーン)」 であるといいます。
 

 

        < ヴィッテン博士 >

 


M理論が完成すれば5つの超弦理論を統合することはできますが・・・


M理論自体、未完成な部分が多く、
実験的にも検証されていないため、
まだ確実な理論であるとは言い難い状況です。

 


ただ、

この世界は11次元であり、
万物の根源は膜である


というアイディアには夢があり、
今後の進展から目が離せません。


ちなみに、Mの由来は、


マジック(Magic)、ミステリー(Mystery)、膜(Menbrane)

 

などのようにいわれています。


まさに、神秘的で魔法のような理論だと思います。

 

 

 

 

◆ 「数」 と次元については、私の本 『数の世界』 をご覧ください。

 

  私の本では、実数から八元数までの「数の広がり」について、

    数学的な観点から詳しく書かれています。

 

  実数、複素数、四元数、八元数は、

  1次元、2次元、4次元、8次元の数とみなすことができます。

 

 

数の世界

自然数から実数、複素数、そして四元数へ

(ブルーバックス)

 

 

 

【執筆者】

 

 

松岡 学

 

数学者、博士 (学術)

高知工科大学 准教授

 

大学で研究や教育に携わる傍ら、

一般向けの講座を行っている。

 

アドラー心理学の造詣も深く、

数学の教育や一般向け講座に取り入れている。

 

音楽 (J-POP) を聴くのが趣味。

ファッションを意識し、自然な生活を心がけている。

 

出版物:『数の世界』ブルーバックスシリーズ、講談社。 

『5歳からはじめる いつのまにか子どもが算数を好きになる本』スタンダーズ社。

『キララな恋愛や結婚生活を送るエッセンス』CLAP。

 

詳しいプロフィールはこちら

 

 

< お問合せ先 >

 

※ 企業様などから、松岡へのお仕事のご依頼の窓口はこちらから

 

※ 出版社様からの執筆(出版)のご依頼は、

  こちらから直接ご相談ください。