体外離脱スエデンボルグ訪問 NO2 | ヘミシンクピンポンパン

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ヘミシンクと幽体離脱体験記

ディスカバリー号はこのクレバスを

翻弄されるように回りながら

深淵の闇の奥深くへと

転落していった。

(続く)





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ここで記憶が途切れている。

気がつくと私の面前、やや右側に

男性が一人、暗がりに立っていた。

40代の日本人で私の方を見ていた。

見覚えのない顔だった。


赤いレンガの壁を背景にして中国の

武将がやはり私の方を見ていた。

実に立派な勇壮な姿をしていた。


何処にいるのか何をしているのか、

わからない状態が暫く続いた。


壁際に積み上げられた藁の山を見ていた。

数十、数百本のワインの瓶がこの中にあった。

納屋とか蔵とか、そんな印象だった。


不意に明るい場所が見えてきた。

白いテーブルがロの字の形に組まれている。

部屋の中か? わからないが背景は暗い

闇だった。


このテーブルの前に髪の長い

白人男性が立っていた。

年齢は40代から50代、

あるいはもっと上なのか?

若いのか年配なのか、

そんなこともわからなかった。


          「私ならさっきからここにいたよ」

「エマヌエルさんですね」

「マサトと言います」

           「座んなさい」


と言うとスエデンボルグもすわった。

彼は何だかとても忙しそうに見えた。

かなり無理をして現れてくれたような感じだった。


私は来るべきでない時に押しかけて

しまったのかもしれない。

この高名な人物と私との間の

開きを感じ、急に緊張してきた。


「何故そのように忙しいのですか」

             「終わりの始まりだよ」

「もうあなたは、それを随分

前に体験されたのでしょう」

             「全員がそこを通過するまで

              私は待っている」


「全員とは誰と誰のことなのですか」

             「私の家族や、君の家族だよ」

             「それに友人だ」

「人類全部ではないのですね」

             「大きく出たね!」

             「そんなに人類が好きかね」


けっこう皮肉屋さんだと思った。

「好き嫌いの問題ではないでしょう」

            「何を気にかけている」

            「人類などと」

            「どうするかは一人ひとりが自由に決める」

            「これを見なさい」


と言うとスエデンボルグは目の前に

ある布切れに手をかけ、それを取り払った。

布の下には台座に乗せられた白い、あるいは

半透明の何か風変わりなものが見えた。


それは2本か4本の脚で立っている動物を

モデルにして造られた何かに見えた。

それは鹿を思わせるサイズだった。

動物だとしたら頭部が小さく

首が短く尻尾はなかった。


それは滑らかでスマートな磁器か白い半透明

のガラスみたいな結晶で造られていた。

動物と言うより、形そのものに

意味はないのかもしれなかった。

モダンなオブジェにも見えた。


私はこの不思議なオブジェに引き寄せられ

じっくりと観察していた。


胴体に当たる部分の中央に手の平サイズの

白と金が鮮やかな、金魚を思わせる魚が見えた。

          「この魚は死んでいる」

とあっさりとスエデンボルグは語った。


「???」わけがわからない!

「何でしょうか。これは」

          「エ……‥‥ノ…」


彼は立ち上がったまま私を見つめ、

何かを呟いていた。

ここで初めて彼の全身が見えた。

彼はお馴染みの17世紀ヨーロッパ貴族の

姿をしていた。


これは私にはわかり易かった。

そしてここで初めて私もアストラル体で

いることがわかった。


         「エノクニ」

「絵の国?」

私は注意を凝らしたがよく聞き取れなかった。

         「後でそれを調べてみなさい」

         「これから君達が目指すところだ」


あ~、このまま終わってしまいそうだ。

彼はもう行こうとしていた。

「エノクの国ですか」

当てずっぽうに訊いてみた。


         「また来なさい」

         「私は今取り込んでいてね」

         「すぐに行かなきゃならん」


彼はそう言うとテーブルの前で手を

頭に持って行き、帽子を取るような

奇妙な動作をしていた。

しかし彼は帽子を被っていなかったのだ。

少し印象に残る場面だった。


今思うとこれはカツラだった。

調べてみると彼の時代ではカツラの着用は

公式の席での紳士としての必須条件だったらしい。


つまり彼はカツラを外すポーズをとる

ことで、私のことを軽くは見ていない

と示したのだ。



暗黒の宇宙にいた。

巨大な金色の円盤型のUFOが見えた。

これまで見たことのない荘厳なUFOだった。

中心軸から開かれた、金色の扇を何枚も

重ねたような見事な姿をしていた。


         「もっとイマジネイションを使いなさい」

         「もっと自由にやるんだ」

         「自分を閉じ込めてはいけない」


スエデンボルグの声はこの

UFOの中から響いてきた。

そして彼は、もう既に古風な

貴族の姿をしてはいなかった。


彼はこの船で人類…‥イヤ〈全員〉が

アセンション体験を通過するまで

待つというミッションを指揮していた。


「ありがとうございます」

私は構えてしまい堅くなっていたようだった。

そのため長く続けられなかったのだ。


あっという間に終わってしまった。

時間にして5分ほどだったかもしれない。

スエデンボルグの仕事が一段落したら

もう一度行ってみよう。


気がつくと沈黙と暗闇の世界にいた。

ナルポイントだった。

そこから自分の身体へと戻った。



最後までお付き合いいただきありがとうございます。

マサト









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