全米大ヒット!DEATH CAB FOR CUTIEベンのレアなソロ・ライヴを目撃!! | Just for a Day: 小林真里ブログ

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映画監督/映画評論家 小林真里(Masato Kobayashi)です

1月11日(Wed)


さて、昨日は、Death Cab For Cutieのベン・ギバートの
ソロ・ライヴを観てきた。

数日前。ヴィレッジヴォイスでこの日のVenueとなった
Bowery BallroomのSold Outの欄をチェックしてたら、
Ben Gibbardの文字が。

どこの馬の骨だそれ?

と最初は全然誰か分からず、僕とは縁のない世界のフォーク
ミュージシャンかなんかかと思っていたのですが!
なんだ、デスキャブのあいつかよ!
ちょっと観たいかも!!

すると、ライヴの直前になって、運よくチケットを
入手できたので、これはレアかもと思い、観てきました。

この日前座で登場したのは、American Analog Set
アンドリューとNada Surfのマシュー(この2人が
サポートメンバーとしてベンを脇で支えるもんだと
ばかり思ってた!!)。
それぞれのバンドのフロントマンたちが、ソロでステージに
立つという、画期的で興味深いステージだった。

この3人、というか3バンドに通じるのは、ニール・
ダイアモンドやトム・ペティ、はたまたWilcoに通じる
ような、「アメリカの良心」を歌うおおらかで懐の広い、
素朴で大陸的なロック・バンドだということだ。

メジャー移籍第一弾としてワーナーから昨年リリースされ、
全米アルバムチャート初登場4位を記録した
Death Cab For Cutieだけ、エモの要素が強いかもしれない。
そもそも、Get Up Kidsは解散し、Jimmy Eat Worldはもはや
エモの範疇に収まらないハードなロックバンドに
なってしまっただけに、あとエモといえるのは
Dashbord Confessionalぐらいしかいないが
(男女問わずファンは、彼のライヴ中みんな泣きながら
合唱するらしい。不気味だ・・・)。


plans

まずはアンドリューのライヴ。フェンダーのエレキギター
片手に淡々と囁きながら、あのAmerican Analog Set

の美しい 静寂世界を披露。モードとしては、彼らの最新作
『SET FREE』に近く、ドラマチックだけど、ややダーク
な世界。個人的には、SONIC YOUTHやLONGWAVE

にも 通じるギターノイズの洪水とそのカタルシスが彼らの
肝だと思っているので、正直物足りなかった。
ソロであのアプローチの仕方は、限界がある。

続いて登場したのが、人気急上昇中のNada Surfの
マシュー。Nada Surf、ちゃんと聴いたことがなかった
のですが!!(3月の彼らのライヴのチケットは購入
済みだけど)
よく喋る陽気なあんちゃんだなあ。と思っていたら、
アコギをかき鳴らした瞬間、場内の空気が一気に
変わった。
ダイナミックなストロークと力強いヴォーカル。
こいつは、本物だ。と、終始聴き惚れていた。
アコギ一本でここまでパワフルに陽気にロックを
プレイできるとは、見事だなあ。と。
いよいよ、Nada Surfを真剣に聴いてみないといけない。
肝っ玉の据わった、堂に入った余裕のプレイだった。
天晴れ!!

さてさて、トリのベンだ。
メガネをしながら、アコギを片手に登場。
流石全米4位の貫禄か、場内の熱気も一気に

ヒートアップ。
そういえば、周りのオーディエンスも、メガネをかけた
ギークな若者の姿が目立つ。ある意味健全な客層だ。


ベン・ギバート

さて、この日のベンは、デスキャブの曲のみならず、
こちらも地味に売れたポップな卓録サイド・プロジェクト
Postal Serviceの曲やカヴァー曲も交え、プレイ。
デスキャブのナンバーは、新作の曲群中心でしたね。

実はソロでアコギでプレイするほうが、感動度も薄いかも
しれないけど、湿っぽくなくてからっとしてて、
これはこれでいいかもなあ。と思いましたね。
一人でやるハンデみたいなものもあるけど、逆に
自分のペースで好きにやれるから心も軽いだろうし、
バンドのケミストリーとは関係ない、自分の世界だけを
とことん表現できるというか。
デスキャブはやっぱりこの人のバンドなんだということを
確認できたし。
しかし、自分の一番好きな曲は聴けなかったのが無念
ではありましたがね。

それにしても、あまりにもシンガロング度が高くて、
びっくり。ロラパルーザで観たとき、こんなんだったっけ?
ソロを観に来るぐらいだから、みんなコアな
ファンだろうとは分かっていたけど、みんなよく歌詞
覚えているなあ。と仰天。

後ろにいた、長身でアヴリル・ラヴィーンみたいなルックス
の可愛い子も、「ぎゃー!あたい、この曲泣いちゃう!!」
とか、もううるさくって。いやあ、微笑ましかったですね。
最後にプレイした新曲でも、隣にいた女の子はずっと
泣いていた。


彼らの人気の秘密は歌詩に あるのですよね。

僕は普段、音楽の中に歌詞も歌詩も求めないので、

彼らがなにを歌っているか意識して聴いたことは

ないのだが、それはティーンたちが 共感できるような、

パーソナルであり、down to earth な、

青春の儚さや夢、そして愛情や 生の喜びといったこと

がやさしく等身大で語られている感じがします。

デスキャブがアメリカでどのように認知され、ファンたちの
心を掴んでいるのかを直に体験することができましたね。
そうか、みんなの歌を歌う、やはりエモ(ーショナル)な
バンドなんだな、ということが。


泣きといえば、ちょっと違うけど、イギリスを代表する
天才ソングライター&詩人=スチュワード・マードック
率いるベル&セバスチャンの新作と、3月のライヴが

心底 楽しみになってきた。