『塵劫記』(じんこうき)に「継子立て」(ままこだて)と呼ばれる次の問題があるそうです。
【継子立て】
ある家に子どもが30人いて、15人は先妻の子(これを継子という)、もう15人は後妻の子です。この30人を輪になるように並べ、ある1人の子どもから時計回りに数え、10番目の子を除きます。続いて、その次の子どもからまた数えなおして10番目の子を除きます。このように10番目、10番目・・・と繰り返し除いていったときに最後に残る1人に家を継がせることにしたそうです。
後妻は、次の図のように子どもを並べました。
①の子どもから数え始めて、繰り返し10番目ごとに子ども除いていくと、15人いた継子(先妻の子)のうち14人までもが連続して除かれてしまいます。そこで1人だけ残った継子(⑭)は、後妻に訴えます。
継子⑭「これでは、あまりにも一方的過ぎるから、今度は自分(⑭)から数え始めてください。」
後妻「自分の子はまだ15人も残っているし、じゃあ、あなた(継子⑭)から数え始めましょうか。」
結果は、どうなったと思いますか?
1人だけ残った継子(⑭)から数え始めると、今度はどんどん後妻の子どもたちが除かれていってしまい、ついには15人いた後妻の子どもたちが全員除かれてしまうのです。結局、1人だけ残った継子が後継ぎになってしまいました。
自分の子を後継ぎにと考えた後妻の思惑通りには行かなかったわけです。
『塵劫記』は江戸時代の本ですが、これと似た話題は『徒然草」にもあるそうです。また、ヨーロッパにも「ヨセフスの問題」と呼ばれる類題があるそうです。
参考文献:銀林 浩, 小沢 健一, 野崎 昭弘家庭の算数・数学百科