山の生活 | Paris暮らし
他の人の生活の仕方を経験するのって、
すごくおもしろい。

フランス人の友人や親戚の家に泊めて頂くと、
家具の配置の仕方、
食事の作り方、盛り方、
寝室のベッドメイクの仕方、
シーツやタオルのしまい方、
生ゴミの処理の仕方、
お風呂場の掃除の仕方、
お庭の手入れの仕方、
電気のライティングの仕方。

それぞれに、それぞれの人生と
生活と生活する環境があるんだなあ。と、
本当に感激することが多い。

友人が先日泊まりに行っていた南仏の小さな町の山の中のお家は、
ぴっかぴかにどこもかしこも掃除されていて、
究極にミニマムなインテリア、
全てのシーツ類やタオル等は、しわひとつなく、
ぴしーっと美しく畳まれて、棚に並んでいる。

バスルームにあるのは、
たったひとつの石けんだけ。

台所にあるのは、
瓶に入れ替えた、たった一本の食器洗い用洗剤だけ。

家の中には、プラスティック製品や
おかしな色のものは、何一つなく。

家の中の全てが
修道院のように、ぴしーっと
美しく、静謐だったそう。

そこで暮らしているご夫婦は、
画家のご主人と、クチュリエ(服飾デザイナー)。

シンプル、ミニマムの生活を
美しく楽しんでいるのだそう。

ご主人のアトリエでさえ、
たったの2本の筆が綺麗に並んでいた!と
友人は、とってもびっくりしていました。
普通のアトリエって、絵の具や筆が散乱していますもんね。

そして、何より驚きなのが、
つい数年前まで、その家には、
電話がなかったのだそう。
緊急の時のために、最近になってやっと
奥様は携帯電話を持っているそうですが。
もちろん電話機能だけのもの。

つまり、家電話も、インターネットもテレビも
ない静かな生活を楽しんで、
創作活動をなさっているということです。
(最近テレビを購入したそうですが、
 友人が滞在していた3日間。一度も電源をつけていなかったそう。(笑))

南仏の太陽の元で、
誰にも邪魔されずに。
自分のための時間を楽しむ生活。

ご主人は俳句の本をたくさん出版されている俳人でもあるそうで、
(フランス語や英語にも3行詩や、
 5、7、5の韻律をふんだHAIKUという詩が存在します。)

出版社の方が尋ねて来たり、
忙しくお仕事されていらっしゃるので、
まるで修道院か仙人のような生活と言っても、
ちゃんとそれぞれの仕事は、
毎日たくさんしていらっしゃるそう。

インターネットも、コンピュータも
テレビも、スマホもない生活。
じゃあ、どうやって連絡をとるの?と友人に聞いたら、
数年前に訪ねて行った時は、なんと、手紙を書いたそう!
(そうか、手紙は、届くんですもんね!(笑)
 なんだか、もう、最近はあまりにも
 メールや電話があたりまえすぎて、そんな基本的なことさえ、忘れていました。)

そして、その手紙は郵便事情でまだ届いておらず、
彼女が家を訪ねていった時には、
彼女の来訪を知らないままだったそうですが、(笑)
慌てず騒がず、歓迎して下さったそう。

そこまで落ち着いた生活をなさっていたら、
きっと、突然のお客様がいらしても、
いつでも客間もぴっかぴかにベッドメイクされているのでしょうね。

自然に囲まれた環境で、自分だけの時間ができたら。
人はきっと、最初は何をすればいいのかわからなくなって、
ちょっと寂しさも感じて。
暇だなあって思う時間ができて。

人は、やっと本当にやるべき創作活動や
芸術活動に向かえるのだと思うんですよね。

素敵なご夫婦の暮らし方。
話だけで、私はすっかり
そのご夫婦のファンになってしまった。

このご夫婦の奥様は、まだ50代前半だそうだけれど、
そんな静かな生活をずっと前から続けているそう。

いいなあ。いいなあ。

バスルームは、ぴっかぴかで
石けんがひとつだけ。
箪笥の中には、ぴしっとアイロンのかかった布類が
整列している。

メールも電話もなく、
誰からも時間とエネルギーをうばわれない。

食事はシンプルに、
とれたての野菜とフルーツ。

一つだけでもまねしてみたい。

旅をして人の生活を見せていただく機会があると、
こんな生き方があったのか!
こんな生活が可能なんだ!と、
発想の転換になりますね。

あちこち外国のホームステイを経験してみるなんていうのも、
楽しそう。

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