今回の地震、ディズニーランド周辺の液状化現象がテレビで取り上げられ、「埋め立て地で液状化」という文字を何回か目にしました。
そこで、液状化現象を詳しくご存じない方のために、簡単にご説明してみます。
■液状化現象って？
地中に含まれていた水分が、地震の揺れにより地表面に出てきてしまうことです。
もともと含まれていたものが上に来るので、地盤表面は水の体積分、「ズンッ」と下がってしまいます。
■起きるとどうなる？
今回私がテレビで見たのはディズニーランドの駐車場だけでしたが、町中でも多数起きているようですね。
基本的に起きた直後の映像は、水がまだ浮いているため、大豪雨の後の浸水のときに似たような映像が多いのではないでしょうか。
（あまり液状化画像をたくさん見なかったので他の映像もあるかもしれませんが）
水が引いた（除去した）あとのことを私の祖母の家の例でご紹介。
阪神大震災当時、祖母は神戸のポートアイランドという埋め立ての開発地に住んでいました。
地震前までのポートアイランドは、新しく作られた町らしく「バリアフリー」で、道路とマンション・ビル出入口の高低差はほとんどなかった町でした。
しかし、地震で液状化したあと、建物の出入口には坂がいくつもできていました。
液状化現象で道路のほとんどが下がったのに、建物は杭のおかげで沈まなかったからです。
建物入口は地震前の高さのままで、道路面はかなり下がっているということ。
そういう点では、杭がきちんと施工できていれば、建物は大きな問題が起きないこともあります。
でも、町の被害という点では、上水道・下水道管などが壊れるリスクがあり、杭を支持地盤まで到達させていない建造物・設置物などは倒れたりすることがありますので、液状化はやはりコワイものです。
■危ないのは埋め立て地？
例を挙げればそうなります。
しかし、液状化現象が起きる条件は「埋め立て地」という大まかなものではなく、簡単に言うと以下のことが重なったときです。
・弱く（締め固まっていない）細かい砂の層である
・水が多く含まれている
・強い揺れが加わる
つまり、埋め立て地でなくても、水を含んだ弱い砂地盤の地域であれば液状化するということです。
逆に、埋め立て地であっても、粘土っぽい地質であった場合は、液状化しないということ。
割合は少ないですが、そういったところもあるのです。
■液状化する地域は？
行政により「液状化マップ」などを発行しているところもあります。
東京都液状化マップ
横浜市液状化マップ
かなり広域メッシュで作られていますから、そのマスに入ったところが絶対に液状化するとは断言できません。
また、広く知られている液状化は基本的に「地表面に一気に水が浮いてくる」＝地表面に近い砂層で起きるというイメージがあるかもしれませんが、上述の条件がそろうようであれば、地中でも液状化は起きます。
ですから、地中で結構な深さに渡って弱い細砂層があり水で湿潤していれば、稀に、杭が損傷するケースもあるとか。
（私も具体例は見たことはないんですけどね）
これらは、地質などをもとに作られていますので、１つ１つの建物についても、地盤調査報告書などを見れば、液状化の可能性があるかどうかはわかります。
マンション建設などの際は、地盤調査会社が調べたデータをもとに、液状化の可能性なども考慮して、適切な杭の選定をしていきます。
と、ざくっと書くとこんなところです。
何が言いたいかといえば、埋め立て地＝危ない、という１００％の断言はできないということ。
通勤・通学の関係で埋め立て地エリアにお住まいも多くいらっしゃるでしょう。
さくら事務所がある茅場町も、江戸時代に作られた埋め立て地のはずです。
でも、内陸部に住むご家族などがいれば「なんでそんなとこに住むの！」なんて言われてしまうこともあるかもしれませんよね。
もちろん、上述のように上下水道等の地中埋設管の影響や道路の被害などがありますから、液状化しない場所であることに越したことはないというのは、間違いない事実です。
（建物にもリスクが無いわけではなく、また、戸建ては家が傾くリスクはマンションより高いかもしれません）
ただ、その分、むかーしから人が住み慣れて通勤の便がいいところは住宅価格も高めの傾向にあり・・・。
なかなかむずかしいもんです。
結局は各個人がご自身でこういったリスクをどのくらい気にするかどうかで、住む場所を決められるのがいいのではないかと思っています。
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