「学生マジック」の「学生アピール」って | マジシャン Yuji村上のブログ

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更新は気まぐれです。申し訳ありません。

 前回までの続き、2日続きで学生マジシャンの演技を観賞して感じたことのお話です。

 私は以前、奇術誌「掌PALM」の誌上において、「PON」のペンネームで学生マジックについての評論をしていたことがあります。今から25年くらい前のお話なのですがね。
 当時は大学の奇術研究会で、毎年学外発表会を行う学校は、大阪に4つありました。それが大阪大学、大阪府立大学、関西大学、近畿大学でした。各大学の発表会を見た後、感想を好き勝手に書いていました。あまりに一方的な内容に、多くのお叱りを頂戴した、曰く付きのコーナーだったのですがね。

 その中で最も多くの誌面を裂かせてもらったのが、タイトルにもある「学生アピール」でした。
 要は何か現象を起こした後に、決めポーズで静止して拍手の間を取ることで、今風に言えば不思議なことを起こした後に決める「ドヤ顔」のことです。
 「掌PALM」誌上では、これが尋常じゃない数登場し、長さも半端ないと批判していたのでした。

 あれから25年経って、「Antitled Concert」で、またまたその「学生アピール」を感じたのでした。そしてそれが、25年前に苦言した時と同じ、老舗と呼ばれる学校からの選出者に現れていたのでした。時間は昔に比べると随分短くなっていましたが、数の多さは相変わらずでした。
 面白いのは、それ以外の比較的歴史の浅い奇術研には、その学生アピールが微塵も感じられないことです。おそらく先輩から後輩へ、マジック指導の一環として受け継がれ、それが25年経った今にも伝わり続けているのでしょう。

 しかしここまで来ると、この「学生アピール」は、その学校の伝統となっているのかもしれません。ある種の個性としてね。

 それとは別に、いかがなものかと思ったのは、客席の仲間による応援でした。
 おそらく同じクラブの部員であろうグループが客席から送る声援が、度を越していてうるさいレベルに達していること。ある特定の学校のみだったのですが、本当に耳障りでした。出てきただけでヒューヒューという歓声が飛び、失敗しようがなんだろうが、とにかく雄叫びのような歓声を投げかける。そして、ステージからその方向へ向かって自慢気に応える出演者。
 内輪でバカ騒ぎをするなら、内輪だけのときにしてもらいたい。

 昔からそういった傾向はあったのですがね。でもこちらは伝統で済まさず、すぐにでも改めていただきたいものです。