待降節 ⅲ クリスマスを待つ街 透明なガラスボールのオーナメントに映る世界は 薄暮の青を背に煌めきだして 過ぎた一日を慰めるように 急ぎ足の心に囁く 凍りはじめた街角のカフェで テラス席のテーブルに文庫本とワインを置いて 独り この身に受けた 小さな喜びを指折るように数えて あなたを想う 未だ 愛の何なのかも知らず ただ 与えられる恵みに囲まれて在る この身に ただ 与えつづけることで愛を教え給う あなたの 深き哀しみを知る まなざしが降る PHOTO HIDE