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2016年05月26日(木)

聖五月 まだ早い朝のこと

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乱反射する 白い朝の欠片が
リネンのカーテン越しに迷い込んで
夢が 夢であることを告白しはじめる頃

聖五月の空の手前で 
目覚めを待ち切れない艶やかな葉々が もう
あなたを賛美して さわさわとうたう

風に揺れる やさしい気持ち 
生まれたままの 柔らかなうなじで
ありのままに頷く わたしになりたい 

エデンの園  知恵の樹の果実 
善悪の知識  初めの二人  
夢は まだ夢みている


PHOTO 山本てつや

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2016年05月20日(金)

ディオティーマへ

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揮発する本質が囁く 

アロマの言葉に魅了されて 
時が立ち止まる

葉脈を流れる水の音
混沌の始まりからの連鎖の点が
眩い光に融けて 今ここに息づき

命そのものに内在する 美と歓喜 
その青く透る流れが 
私たちの底にも 確かにある

どこからか あの人の名を呼ぶ声が内に湧きあがり 
私は その少し哀しい温みにからだを浸す
ディオティーマ あなたのことを思いながら


PHOTO HIDE

  
聖五月・・・・・。
深まりゆく緑が眩い日々、あなたはいかがお過ごしですか。

ご心配いただきました母の病状は、目を見張るような快復を見せ、
周囲の方々に支えられ、母は元通りの生活を取り戻そうとしております。
そして、私も東京での生活に戻ることができました。
皆さまからいただきましたご厚情に心からの感謝を申し上げます。
ありがとうございました!    スノウより


 さて。この詩の題名にした女性の名、「ディオティーマ」。
プラトンの『饗宴』で、ソクラテスに愛を説いた巫女の名として
ご記憶の方が多いかと想像いたしますが・・・。
今回のディオティーマは別人なのです。

このディオティーマは、ドイツの詩人哲学者ヘンダーリンの
唯一にして最後の散文的小説 『 ヒュペーリオン 』の登場人物です。
『ヒュぺーリオン』は、ひとりの青年がメンタ―や友人や恋人を通して成長してゆく物語(ビルドゥングロマンス)で、彼が崇拝する若き恋人の名が「ディオティーマ」です。

彼女は…それはそれは完璧な美を体現した女性で。
知性、品性、優しさ、信仰、そして美貌までもが与えられています。
この小説は書簡体で書かれているのですが、悲恋の末に迎えた死の際のディオティーマが語る生命論の美しさに魂が揺さぶられます。   
                                         スノウ

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2016年05月17日(火)

星月夜

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たゆとう想い 小舟にのせて 
星夜の海に浮かべたら
櫂を持たない あの人の
夢のほとりへ舟をだす 

星屑うたう 青い夜 
哀しみは また 闇を深めて 
うつし世を 暗雲で覆っても
星たちはうたう  幾千年も変わらずに

夜空の海  あの人の夢のほとりで
小さき青になり  そっと うたう  
アルファルドの星が眠るまで
やがて ルールブルーの空が白むまで


PHOTO 山本てつや

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2016年05月13日(金)

汀にて

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ささやかな生を 岸辺に憩わせて 
野の鳥が囁き合う 

空を映す流れを慕って群れる命たちが
伸びようとする根を 伸ばし合いながら
静かな均衡を うたう

どこまでも青い命の汀で
私という水が大きな流れにとけてゆく 午後


  PHOTO  HIDE

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2016年05月08日(日)

静夜思

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透きとおる カルム ノワール
わずかに光を含む 静謐な黒が重なり合う闇に
遥かな唇からもれた 溜め息が木霊して

闇に薔薇が香る 
意味から解き放たれて 命たちが交感する気配が漂う 
言葉を持たない命が謳い 揮発する馨しいアロマの

風が吹きはじめて  あなたへと私が運ばれてゆく 
言葉を持ってしまった私たちが 意味の檻から放たれる夜
それでもまだ 私はあなたの言葉を待つ


PHOTO  山本てつや

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2016年05月01日(日)

思い草へ

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野を渡る 青風のうたに 
小さき鈴花の白 朝露を抱いて揺らげば
その微かな音色に和して また季節が少しだけ巡る

ぎこちない指先 手探りの仕草で 
思いの暦をめくる 幼い萌芽を
いつしか青々と繁らせる 時のみわざを信じていて

野を満たし広がるのは
一粒の枯れ種の内にある 命を蘇らせる約束
一面に咲く 瑞々しく艶やかな再生の証しと
信じきった静けさ


PHOTO  HIDE

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2016年04月26日(火)

夢十夜考 

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夏目漱石著 『夢十夜』。
ここ暫くの間、入院していた母の枕元で、私はこの本を繰り返し読んでおりました。不可思議な夢の話を十夜分集めた短編集です。
特に第一夜の話が好きで前々回の記事にいたしましたが、もう少しだけ私の独断と偏見で掘り下げた第一話考を書いてみたくなりました。
お付き合いいただけますか?

さて…「こんな夢を見た」で始まる 夢十夜の第一話目。
死んだ美しい女を百年待った夢を見た男が淡々と語る 映像美を伴う物語ですが、私が其処に読むのは死んでいった女が抱いた切ない百年の夢の成就です。

死にゆく女は云います。
「死んだら埋めてください。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして、
天から落ちてくる星のかけを、墓じるしに置いてください。
そうして、墓のそばに待っていてください。また会いに来ますから」

いつ来るかと問う男に答えて云います。
「日が出るでしょう。それから、日が沈むでしょう。
それから、また出るでしょう、そうして、また沈むでしょう。
 ―― 赤い日が東から西へ、東から西へと落ちていくうちに、――
あなた、待っていられますか」

『あなた、待っていられますか』
この一言に、私は彼女のこれまでの人生を深読みしてしまいます。
「待っていられるような男」=唯一無二の一人として女を愛し貫けるような男を求めた彼女の真直ぐな生き方。
その純粋すぎる求めに応えられるような男と此の世では出逢えなかった女の、それでも最後の最後に一人の男の真実に賭けた問い・・・。
『あなた、待っていられますか』

この問いの言葉の前に立つと、私の内には漱石著『こころ』の「先生」の声が聞こえてきます。
「私は死ぬ前にたったひとりで良いから、人を信用して死にたいと思っている。あなたは、そのたったひとりになれますか。なってくれますか。」
同じ響きを持った問いです。

(話が逸れましたので、夢十夜に戻します。笑)
それから黙って頷いた男を見つめて、女はこともあろうに百年待つことを求め、男の「待っている」という声を聞いた途端に意識が薄れ死んでしまいます。

死後百年愛されなければ癒されない傷を抱いたまま、女は死にます。
死際、女は男が百年待つと信じたわけではないでしょう。
ただ待つと言ってくれた優しさに、生涯の夢を一心に傾けたのでしょう。
それでも死にゆく女にとって、最期に聞いた男の一言は深い慰めだったに違いありません。

女の死後、男は女の願いのままに遺された身体を埋葬します。
その淡々として、なのに心込められた所作が美しく・・・
すべてを終えて墓の傍に座った男の、「これから百年の間、こうして待っているんだな」という気負いのない静かな呟きに私はトキメキます。(笑)

それから赤い日を幾つも見送り、男は百年を待ち遂せます。
百年待った男の存在が女の哀しみと孤独を完全に癒した証しに、
墓石の下から青い茎が伸び、男の胸の前で止まり、真っ白なユリの花が大きく花開きます。 男はその白い花弁に接吻します。

それは一人の女の百年の夢が、百年ののちに叶った瞬間です。
それは一人の男が百年をかけて、一人の女の夢を叶えた瞬間です。

スノウの独断と偏見に満ちた夢十夜考、いかがでしたでしょうか。
第一話は4ページ程のとても短い物語ですので、ご再読くださり共に味わっていただけるなら幸せです。

夏目漱石『夢十夜』は、下の文字をクリックするとお読みいただけます。
青空文庫 『夢十夜』


PHOTO HIDE


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2016年04月15日(金)

祈り

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長い夜の底に佇んだまま 
遠くにいる あなたを思っていました 
烈しい 地の揺れの直中で
無常と向き合っている あなたの
その渇きを思っていました

私の言葉は 虚しく闇に彷徨い 
言葉にならない祈りだけが
あなたの命を求めて 夜を越えてゆきます 
見上げれば  どこからか 星の数の祈りが
青く青く 夜空に瞬く・・・・・・

失われた命と 
生かされた命と
やり場のない慟哭と 
救われた小さな命への歓声と
不安に苛まれる霊肉と 
諦めを知らない数多の手 

すべてが混じり合い 強く命を求めて
星の数の祈りが 青く青く 夜空を染めて瞬く・・・・・


PHOTO  山本てつや

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2016年04月11日(月)

眠れぬ夜の夢  『夢十夜』百年ののち

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深まリ切った青が生む群青が
やがて 透るような闇へと色を移して
夜の極まりの静けさが 時を止めてしまう刻
眠れぬ心たちは ゆっくりと漂いながら
あの一番瞬く青星を目指して 夜空を昇ってゆく


眠れぬ心たちが 両手の平に携えているのは 
置き場所のない 想いのカケラ
砕かれた其の想いを 青星の青に播いて 
百年ののちに 白い花となるために
百年待ってくれる人の 百年に一度の接吻を受けるために


PHOTO 山本てつや


  いつのまにか東京は、風に桜花舞う季節が巡り来ました。
あなたの目に映る桜は今、どのような姿でしょう・・・

この詩は夏目漱石の『夢十夜』第一夜へのオマージュです。
不可思議な大人のファンタジ-という色合いの短編で、
私はこの美しい第一夜の物語が大好きです。

今年は漱石没後100年。 漱石の言葉を借りれば、私にとって「百年ののちに咲いた白百合」のようなこの物語に「そっと接吻する」ような気持ちで
この詩を書きました。

この8日の母の手術が奇跡的な成功を収め、私は今一旦東京に戻り
心静かな時を得ております。
皆さまからいただきました励ましに深く感謝を申し上げます。

病院の母の枕元で、私は繰り返しこの物語を読んでおりました。
4F病棟の談話コーナーに図書箱があり、私はそこに漱石生誕100年(つまり、今から50年前)を記念して出版された全集を発見し、母が寝息を立て始めるとページを開いて過ごしました。

目覚めた母がいつも、「何を読んでいるの?」と小さく問います。
「夢十夜の第一夜よ。」と言うと、「死んだ女を100年待つ男の話でしょ。本当にね・・・あれは綺麗。」と、母が応えます。
美しいものは、人を鎮め癒します。

スノウ

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2016年04月05日(火)

くちづけ

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小雨混じりの春の嵐が
数万の花弁を地に落とし
ほんの僅かな 時の仕草が
蘭漫の花を 見る間に葉桜に変えても

春の印の 碧い鳥が
しなやかな首を 思い切り伸ばして
それでも稀に 時を越えてゆく想いもあるさ と
花芯に深く くちづける 

一八の春
心密かに決別したはずの古里が
心に迫り来るのは 何故か決まって桜の頃
突然降り立った鳥のくちづけの碧さに震えて 恋うる今



 PHOTO  HIDE

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