その日は、アポを取った会社に新規営業へ行っていた。
客先の反応も良く、初めて行ってたにも関わらず、さっそく見積もり案件をもらった。
「年末だったけど、来年に向けて幸先がいいな。」
そう思ってその日の仕事を終えた。
仕事を終えて、妻の待つアパートへ車を進める。
冬なので日が暮れるのが早い。
もう日が暮れて真っ暗だ。
今日は火曜日か、、、。
昨日の夜中、あみちゃんが好きな海外ドラマがやってたな。
あのドラマだけは楽しみにしてたから、夕食の時一緒に見よう。
もうすぐアパートに着くな、、、。
そんな事を考えながら運転していたら、電話が鳴った。
会社からだった。
「奥さんのお義母さんから、電話がありましたよ。すぐあみさんの携帯に連絡して下さいって。」
お義母さんから?
お義母さんは、私の携帯番号を知らない。
だから何かとても大事な用事があって、会社の番号を調べて電話を掛けてきたのか。
何だろう、、、、。
もしかして、あみちゃんに何かあったんじゃないだろうな、、、。
とても不安な思いで、電話をした。
お義母さんが電話に出た。
泣いていた。
「もしもし、yoshiちゃん。ごめんね。
あみちゃんが、、、あみちゃんが、、、、。
うちで首を吊って、、、、、。
もう、、、、もう、、死んじゃってて、、、。
ごめんなさい、、、、。yohiちゃん、許して、、、。ごめんなさい、、、。」
その瞬間、自分の世界が壊れた。
「嘘だ!そんな!そんなバカな!嘘だ!!!!」
電話に向かって叫んだ。
「ごめんなさい!ごめんなさいぃ!」
お義母さんはずっと謝っていた。
私は電話を切ってしまった。
もう家の目の前だ。
そんなバカな!
あみちゃんが死ぬわけない。
そんな事あってたまるか!
車を停めて、玄関に向かった。
そんな訳ない!
あみちゃんが死ぬわけない。
いつもみたいにアパートで俺を待っててくれてる。
いつもみたいにソファーに座って俺を待っててくれるはずだ!
玄関のドアを開けた。
家の中は真っ暗だった。
そんな!嘘だ!!
すぐ部屋の電気をつけて回った。
嘘だ!そんなの嘘だ!
いてくれよ!部屋にいてくれよ!
寝室を見た。
妻が朝起きた時のまま、ふとんがめくれ上がっていた。
クソッ!いないよ!
キッチンの電気をつけた。
誰もいない。きれいに片づけられたままだ。
和室も見た。
ここにもいない。
リビングの電気をつけた。
リビングの入口に置いてある、結婚式の時の写真が目に入った。
幸せそうに寄り添っている。
http://ameblo.jp/loveemichan/entry-11796214232.html
誰もいない。
朝、ソファーに座って私をじっと見ていた妻は、もうそこにはいなかった。
誰もいないソファーがそこにあるだけだった。
その時悟った。
もう妻はこの世にいないのだと、、、。
「約束したじゃんか!一緒に乗り越えようって!
何でだよ!俺を置いてかないでくれよ!頼むよ!
嘘だ!こんなの嘘だ!!」
そういって床に突っ伏して、泣き叫び続けた。