18.結婚式の思い出2 | いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

いつかまた君と会う日のため(自殺・自死遺族ブログ)

2013年12月、最愛の妻をうつ病による自死で亡くしました。
結婚して1年1ヶ月、あまりにも短すぎました。
体に障害があったけど、懸命に生きていた妻。
妻の事を忘れない為、初めてブログを書きます。



沖縄に出発する日。

 

家族全員で飛行機で沖縄に向かった。

 

 

初日は新郎新婦だけで、打ち合わせも兼ねて先に式場に向かった。

 

 

 

那覇空港でレンタカーを借りて、二人きりで一時間半かけて式場に向かう。

 

 

 

沖縄の景色も良くて、デートでドライブをしているかのようだった。

 

 

 

式場に着いた。

 

 

 

 

海岸の目の前の式場で、撮影用のプライベートビーチもありロケーションはとても良かった。

 

 

11月だけど、結構暑かったのを覚えている。

 

受付に行くと、担当の方が出てきて自分達の部屋で打ち合わせることになった。

 

 

 

式場内の施設に、新郎新婦専用のコテージが用意されていて、そこまでカートで送ってくれた。

 

 

 

部屋の冷蔵庫の中にウエルカムドリンクがあると聞いていたので、明けてみるとワインが入っていた。

 

 

 

琉球ガラスでできたグラスに注いで、海に沈む夕日を見ながらベランダでワインを飲んだ。

 

 

彼女はシークァーサージュースを飲んでいた。

 


 

 

 

 

結婚式を行うにあたり、彼女は障害を持つ故に色々課題があった。

 

まず今回の3泊4日の日程にあたり

 

①生理日を絶対避ける事。

②ヒールがある靴は履けない。

③ドレスのスカート幅の関係で、杖がつけない。

 

 

 

①については、私には詳しく言わなかったけど、生理日だけは避けないといけないと必死だった。

多分、重なると相当大変な事になるんだろう。

これは彼女が婦人科に相談して、ピルを飲んで日にちをずらす事により解決した。

 

②下肢障害のため、ヒールを履くと100%転ぶ、というか歩けない。

 

ペタッとしたシューズ系のものを履いていたような気がする。

またドレスの丈は、普通ヒールを履いた状態にあわせているので、丈を調整してもらった。

 

③これが一番大変だった。

 

指輪交換など、完全に両手が離れた状態になる場合は、目立たないようスタッフの人に支えてもらう事にした。

それ以外の場合、私の片腕のみで支える事になった。

止まっている状態なら大丈夫だけど、歩く時、片腕だけで支えられるのかな、、、。

 

 

 

夕食が終わったら練習するか。

 

 

夕食も式場内にあるレストランまで、カートで送ってくれる。

 

 

 

レストランに入れるのは、ここで式を挙げる新郎新婦のみ。

 

私たちの他にあと二組食事していた。

 

食事は沖縄の特産物を使った創作料理ばかりで、オードブルも20種類くらいあり、全部おいしくてつい食べ過ぎた。

 

 

結婚を控えたカップルだけの場所。

 

幸せに包まれたとても心地のいい場所だった。

 

食事を終えて部屋に送ってもらった。

 

 

 

「さあ、明日のために杖なしで歩く練習をしようか」

 

 

私はそう言って、彼女の手を取り歩いてみた。

 

1、2歩あるいただけで、バランスを崩してしまう。

 

 

難しいな。

 

 

彼女の腰を支えて歩いてみたらどうかな?

 

あるけるけど、怪我人を引きずっているようで凄くぎこちない。

 

こんなんじゃダメだな。

 

 

歩き方かな?

 

一歩あるいたら、一旦両足をそろえて、また一歩出して両足をそろえる。

多少ぎこちないけど、大分歩けるようになった。

 

あとは支える力かな。

 

 

俺が手すりの代わりになればいいんだな多分。

 

 

腕をLの字にして、いつもの3倍くらいの力で腕を固定する。

 

 

彼女に腕を持ってもらい、右足一歩、停止、左足一歩、停止、とゆっくりと前に進んだ。

 

歩みは遅いけど、バランスも一切崩さす歩く事が出来た。

 

「やったよ!杖なしで歩けたよ!」

 

私がそういって喜ぶと、彼女は満面の笑みで答えてくれた。

 

 

思わず彼女を抱きしめた。

 

 

 

「明日はもっと長い距離を歩く事になる。もう少し練習しよう」

 

 

 

そうやって、彼女とゆっくり一歩、また一歩と時間を掛けて歩いたんだ。

 

 

 

 

二人で一体になれたような、とても幸せな時間だった。

 

 

 


 

 

次の日は朝起きてから、すぐ衣装を着る準備に入った。

彼女は緊張のため、ほとんど寝れなかったらしい。

 

私は15分くらいで着替えを終えた。

 

 

サプライズのため、隣の部屋で用意をする彼女の用意が終わるまで一切見なかった。

 

 

「ご主人、奥様のご用意が出来ましたよ」

 

一時間半くらい掛かって呼ばれた。

 

 

 

彼女の姿を見た。

 

いつもと違う雰囲気の彼女を見て、思わず声が止まってしまった。

 

 

 

 

「ご主人、何か言ってあげて下さい」

係りの人にそう言われて我に返った。

 

「ああ、あみちゃん。今日は凄く綺麗だよ」

 

 

「本当?嬉しい!ありがとう!」

 

 

 

 

式場に入る前、昨晩歩く練習をした部屋で、二人の写真を撮ってもらった。

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さあ、会場に向かおうか!



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