ジュノでよく覚えているのは、「会話のセンスがいいね」ということだった。
あれは、日本デビューを果たした2PMが東京・両国国技館でライブを開催したときのことだった。それに先立って、2010年12月6日に2PMは、ホテルニューオータニで日本デビューを記念した記者会見を行なった。
「日本で仕事以外で何がしたいか?」と問われて、ジュノは「ラーメンが食べたいです」と答えていたが、これは想定内の韓国人らしい答えであった。真骨頂はその次だ。「それぞれのメンバーにとって野獣アイドルとは?」という質問があり、ジュノのこう答えていた。
「韓国でデビューした当初は、野獣アイドルというニックネームではありませんでした。活動を続けているうちにそう呼ばれるようになりました。日本では、最初から野獣アイドルと言われていますので、ニックネームに合うような格好いいパフォーマンスをみなさんにお見せしたいと思っています」
質問の意図を十分にくんだ的確な答えだった。勘がいいから、こういう語りができるのだろう。
他にも、「日本に対してどのようなイメージを持っていますか」と問われると、ジュノはこう返答した。
「自分がまだ幼い頃、『ごくせん』というドラマをよく見ていました。そこに出演していた松本潤さんが好きです」
早くから日本に興味を持っていたのだろう。すでに彼は日本で成功する要素をたっぷり持っていた。(ページ3に続く)
身のこなしが完璧
イ・ビョンホンといえば、韓国を代表する俳優であり、的確な観察力を備えた賢人である。私は彼の記者会見での発言を聞くたびに、その中身の濃さに感心していた。
そのイ・ビョンホンは、2015年11月30日に東京で開催された映画『メモリーズ
追憶の剣』のジャパンプレミアに登場した。
この場でイ・ビョンホンは相変わらず含蓄のある発言を繰り返していたが、「2PMのジュノさんの印象はいかがでしたか」と聞かれてこう答えた。
「ジュノさんはとても誠実な人だと思いました。彼は歌手として日本と韓国を1週間に1回くらい行ったり来たりするスケジュールで、とても忙しく活動しているのですが、現場ではつらそうな姿をまったく見せず、誠実に取り組んでいました。その姿を見て、とても責任感が強い人だと思いました」
ここまで大先輩に言われたら、ジュノも恐縮するしかないだろう。
彼は『メモリーズ 追憶の剣』でイ・ビョンホンと共演し、目がさめるような剣術シーンを披露している。よほど訓練したのだろう。映像の中のジュノは、身のこなしが完璧だった。
アクションシーンだけではない。演技の一つ一つに勘の良さが光っている。
今や2PMとしての活動だけでなく映画やドラマに次々に出演しているジュノ。感性がどこまで突き抜けていくかは、本人すらわからないかもしれない。
(文=康 熙奉〔カン ヒボン〕)