家を建てることにした父(と母)
父は 自分にできる、自分が望む 家を建てるべく
力を尽くす
父の兄は 農業を営むかたわら、大工をしていた
父は 田舎の親元にお願いする
「家を建てたい 予算は これで」
父の望む家が 建てられる
母の夢見ていた、屋根瓦の色の家
着工する前だったか、竣工直前だったのか
祖父から 父に、「言い渡し」 があった
「家は建ててやる
(その代わり)嫁の両親を呼んで、同居しろ」
家も 生業(その頃 母方の祖父は 新たに事業を起こしていたが)も 失った義両親なのだから
「・・・それはそうだ!! うん、もちろん♪」
なんて想うような方も たくさんいらっしゃることだろう
だが、父は そうは想えなかったようだ
・・・親父は また わしを苦しめるようなことをする
・・・舅のせいで わしの人生は狂ったのに
そう想いながらも 一方では、父にとって 妻の両親を大切にすることもしたいことではあったのだろうと想う
実際 父は、母方の両親と 母の妹との同居を 続けたのだから
それにしても 根底に やりきれない想いを抱えていたのだろう父は
暮らしのなかで 追い込まれる場面にであうと
「わしは みんでもいいもんを みとる」
と 言って、母を責めた
父からしたら、舅・姑の生計を負うことが
理不尽だと感じていたのだろう
母は母で 父にそれを言われるたびに
何も返すことばがなく
ただ 身をかたくして心を殺しているしかなかった・・・