お空のムスメの記録①~妊娠生活~

お空のムスメの記録②~突然襲ってきた悲しみ~

の続きです。

 

 

※この記録は、4人目出産前に、3人目の自宅出産のことやこれまでのお産を振り返ってみようかなとふと思い、まずは一番初めに死産したムスメのことを記すことにしたものです。

 

私にとって人生観、死生観を大きく変え、これほどまでにいのちを見つめたことはなかった出来事でした。

 

ただ悲しい体験を記したいのではないく、この経験を通して感じたこと・・・どんなに短いいのちにも価値があるし、死と直面したことで、今生きてるってなんてありがたいんだと思ったことを綴りたいなと思ってます。

 

ご興味のある方だけ、おつきあいいただけると嬉しいです好

 
 
 
 

 

 

入院のため、朝から病院へ向かった。

 

 

病院に到着すると、院長先生が来られた。

 


「これは助産院でも病院でも、予測することも予防することもできない交通事故のようなものです。

 

誰も悪くないし繰り返すことでもありません。」

 


そうはっきり言ってくださったことで、

自分を責めていた気持ちが少し軽くなった。

 

 

 

まず子宮口を開く処置が行われた。
激しい痛みが襲ってくる。

 


何を励みにこの痛みを

乗り越えればいいのか・・・。
逃げ出したい気持ちが一瞬頭をよぎった。

 


私が母親なんだ。

ちゃんと産んであげないといけないんだ。

陽菜子に会えるんだ。
そう言い聞かせながら、また涙した。

 

 

1時間ごとに陣痛を起こすための錠剤を

飲んだ。5分おきに痛みが襲ってきた。

 


夫は苦しむ私を心配そうなまなざしで見ながら、痛むたびにぎゅっと手を握り締めてくれた。

 


ずっと夫がそばで手を握ってくれてたこと、

それが何より励みだった。

 

 

病院の配慮で、個室を用意してくださり、
夜は睡眠薬を飲んで寝た。

 

 


そして翌朝。

陣痛を起こす点滴が打たれた。

痛みが一層激しくなる。

 


この痛みはいつまで続くんだろうか・・・。
しばらくして分娩室に運ばれた。

 

 

そして助産師さんに言われるがままに、

いきんだ。

 


何がなんだかわからず、とにかく必死だった。

 


夫は私の手を握り締め、

「がんばれ。がんばれ」

と祈るように繰り返した。

 

 

「あと少しで産まれるわよ」
との助産師さんの声で、

力の限りを振り絞って、いきんだ。

 

 

 

 

産まれた。

1312グラム、ちょっと小さいけど

立派な体の女の子。

 

 

産声の変わりに私の泣き声が響き渡る。

「ママにそっくりね」との助産師さんの声がした。夫がへその緒を切った。

 


そしてすぐに私の胸に抱かせてくれた。
声をあげてわんわん泣いた。



やっと会えたね、陽菜子。

 

 

産声がなくともこの胸に我が子を抱けた

喜びは感動そのものだった。

 

 

 

生まれてすぐに、

「臍帯過捻転ですね」

とお医者さんの声がした。



へその緒がねじれてしまったために、

酸素や栄養がいかなくなってしまったとのことだった。

 



それから、まだまだ泣きじゃくる中、

車椅子で病室に運ばれた。

 


すぐにおむつと肌着を着せてくれた

陽菜子も連れてきてくださった。



母や姉、親友がお見舞いに来てくれた。

みんな泣いていた。

夫の両親も熊本から駆けつけてくれた。



顔を見ると私たちを気遣ってか早々と帰った。


 


 

 

 


 


それから親子3人の時間。

一晩、一緒に過ごした。
悲しみというより穏やかな時間だった。

 


息はしていなくとも愛おしい我が子。
ちょっと小さめだけど、立派な体。

 


ずっと見つめて、頬をなでて、手を握って、親子3人川の字で寝て、幸せな時間が流れていった。



眠っているだけみたいだな。

いつか目を開けてくれるのかな。

そんな錯覚すら感じてしまった。



見回りにきた助産師さんも

「キレイな顔してるね。眠ってるだけみたいね」と陽菜子を見つめて涙を浮かべながらそう言ってくれた。



生まれてすぐは温かかったけど、

だんだん冷たくなっていくのが切なかった。



動かなければ、目も開かないけど、

いくら見てても飽きないかわいい愛娘。



哺乳瓶やミルクも用意してくださり、

飲ませるマネなんかやってた。

夫がたくさん写真も撮ってくれた。




幸せなときが過ぎていくのは早く、

あっという間に夜が明け、

お別れしなければならないときがやってきた。



抱っこできるのはもう最後だね。

そう思うとまた涙があふれてきた。



精一杯の愛を込めて・・・

やさしく抱きしめ、最後のキスをした。

 


再び、両親と姉、親友が来てくれた。

親友が手型と足型をとる紙を持ってきてくれた。
そんなこと思いつきもしなかったので、本当にありがたく大切な大切な宝物となった。


 


病院が用意してくださった小さなお箱に、

陽菜子の小さな体を入れた。

 


陽菜子の「おべべ」の腹帯も添えた。
助産師さんやお医者さまが見送ってくださる中、泣きじゃくりながら陽菜子を抱えて車に乗った。

 

 

区役所へ死産届けを出し、

火葬許可証をもらって火葬場へ向かった。

 


そして最後のお別れ。



陽菜子、ありがとう。
パパとママを選んでくれて、ありがとう。
また帰ってきてね。
帰ってきたら、また三人で屋久島に行こうね。
陽菜子、ありがとう。
ありがとう。


 

小さな体なので、

あまり骨は残らないかもしれないと

言われていたが、きれいに残った。

 


火葬場の担当者の方と二人になったとき、

その方の弟さんも予定日間近で同じように

辛い経験をされたことを話してくださった。

 


仕事柄、そういう方と接することも

多いんだそう。

 


「きっと立ち直れる日がきますよ」

と励ましてくださった。

 

 

お骨になった陽菜子の骨壷を抱えて、

病院に戻った。

 


帰りの車中から見える夕日が

いつにも増してきれいだった。



陽菜子を温かく包み込んでくれているかのように、大きく真っ赤に染まっていた。

 

 

「陽菜子ーーー、ありがとうーー!ありがとうーー!」

車の窓を全開にして、夫と何度も何度も叫んだのだった。

 

 

続く

お空のムスメの記録④~悲しみに暮れる日々からの立ち上がったとき~

 

 
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