(本の紹介)『英文法のナビゲーター 上・下』(伊藤和夫著) | 真面目に脱線話@リンガランド英語塾

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これまで『基本からわかる 英語リーディング教本』(→リンク )、『英文解釈教室 改訂版』(→リンク )、『ビジュアル英文解釈』(→リンク )といった参考書を紹介してきました。



これらの本は、名前は「リーディング」「英文解釈」ですが、実際は英語構文という分野に属します。



英語構文とは英文の構造を把握する勉強のことです。ただ、そのアプローチは『英語リーディング教本』と『ビジュアル英文解釈』では全く違っています(リンクの記事をご参照ください)。




今回、紹介するのは『英文解釈教室 改訂版』と『ビジュアル英文解釈』を著した伊藤和夫による英文法の本です。




その前に、英文法と英語構文との関係をおさえておくとわかりやすいと思います。



英文法はおもに、英語の単語の1つ1つにどのような性質があり、それがかたまって文になると、そのようなはたらきをするかを考える分野です。英語構文は、英語を読んだり書いたりするときに、英文法をどのように使えばいいかを教える分野です(伊藤和夫の登場によってそうなりました)。



いいかえると、英文法は、英語構文を学ぶ上での前提となっています。



ゆとり教育前のカリキュラムであれば、英語構文を勉強するための文法の知識は高校1、2年生までのものでじゅうぶんでした。もっといえば、中学で勉強する文法で7割以上の知識は学んでおり、あとプラスαの知識があれば英語構文を学ぶことができました。とくに、89年までのカリキュラムであれば、中学英語をきちんとやっていれば、英語構文はじゅうぶん勉強できるだけの素地は作られていたはずです。




ところが、時代が変わってしまい、現在は文法が軽視されています。



せっかく英語構文を安価に勉強できる『ビジュアル英文解釈』や『英語リーディング教本』といったすばらしい本があっても、それをじゅうぶんに生かすことができなくないケースも、とくに若い世代には多くあるはずです。



数々の名参考書を書いてきた伊藤氏もその点には大きな危惧をもったのでしょう。伊藤氏には『英文法教室』というハイレベルな文法書がありましたが、『英文法教室』は「予備校で学ぶ文法」であって、英語構文の土台となるような基本的な文法を解説したものではありませんでした。



そんな状況で書かれたのが『英文法のナビゲーター』です。



ただし、『英文法のナビゲーター』では中学英語の知識は前提とされています。英語を学ぶうえで中学英語の知識は英語力の7割以上を形作る大切なものですが、伊藤氏はその部分の書き手として自分に適性がないと考えたのか、中学英語の本は書いていません。



しかし、『英文法のナビゲーター』の存在はかなり大きいものです。高校英語(=大学受験英語)で必要とされる英文法の知識を予備校英語(=伊藤メソッド)の方法に従って再編し、あくまで学校英語の範囲内で説明し、おのおのの単元を有機的に関連づけています。



したがって、『英文法のナビゲーター』をやれば、『ビジュアル英文解釈』や『英文解釈教室』といった構文の本にすんなりとつなぐことができ、しかも、短期間でそれらの本を終える効果があります。伊藤氏の本でなく、『英語リーディング教本』といった伊藤氏の考え方と相容れないものとつなぐことも可能です。



ただし、大学生や社会人の勉強ならそれで問題ありませんが、大学受験生の場合は、『英文法のナビゲーター』だけでは「知識のための知識」(おもに語法)というべきものを補う必要があります。それは『新・英文法頻出問題演習』などの問題集をやることで補うことになります。



現在、30歳以上で大学受験を経験された方なら、そのまま英語構文の勉強に入れば短期間でおとな向けの英語を読めるようになるのは可能ですが、文法をあまりやらずに来たという実感がある方は文法からやりなおすことを検討したほうが、結局は早道だということもありえます(「急がば回れ」ということです)。



なお、類書に『山口英文法講義に実況中継』があります。伊藤氏の考え方や解説にどうもついていけないという方はこちらのほうが気軽に読めていいかもしれません。文法書なのに通勤電車などで気軽に読める軽い文体です。



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・英文法
英文法のナビゲーター(上)
NEW・山口英文法講義の実況中継 (上)
新・英文法頻出問題演習 (Part1)

  ・英語構文
ビジュアル英文解釈 (Part1)
英文解釈教室
英語リーディング教本




※なお、質問があったのでお答えします。『ビジュアル英文解釈』は「解説がビジュアル化されてわかりやすい」という意味でつけられたわけではありません。「この参考書をやれば英語の構造が自然と見えてくる」という意味でつけられているようです。



ネイティブ発想でやりなおし英文法-リンク


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