・中国政府からスパイ指令書を受け取っていても無罪 ~スパイ天国日本のスパイ事情~ | アジアの真実

・中国政府からスパイ指令書を受け取っていても無罪 ~スパイ天国日本のスパイ事情~

特別防衛秘密、中国が入手指示か 警察当局が文書押収 :産経
 旧防衛庁元技官が潜水艦関係の内部資料を持ち出した事件に絡み、警視庁の家宅捜索を受けた元貿易会社社長の関係先から、中国政府関係者が日本の特別防衛秘密の入手を指示したとみられる文書が押収されていたことが21日、分かった。元社長は在日中国大使館の関係者らと親交があり、元技官に日米秘密保護法の「特別防衛秘密」に該当する防衛装備品の情報提供を働きかけていた疑いがある。警察当局は同法違反(探知・収集、漏洩の教唆)の疑いがあるとみて捜査している。

 元技官は、旧防衛庁技術研究本部第1研究所に在籍中の平成12年3月、元社長に頼まれ、潜水艦の船体に使われる特殊鋼材の研究論文を無断で複写し持ち出したとして、17年3月に関係先の捜索を受けた。警視庁は今年2月、元技官を窃盗容疑で書類送検したが、嫌疑不十分で不起訴となった。資料の受け取りを否定した元社長も立件は見送られた。

 関係者によると、中国側が作成したとみられる指示文書は、元社長の関係先の捜索で押収された。中国語で書かれ、情報を入手すべき防衛装備品のリストが記されていた。リストにある装備品は、元技官がコピーを持ち出した潜水艦の特殊鋼材とは別で、機密性が高い特別防衛秘密に該当するものも含まれている疑いがあるという。

 元社長が指示文書の内容を日本語で書き直したメモも押収された。元技官は事情聴取に、リストとメモに記載された防衛装備品について、「(元社長から内容などを)聞かれた覚えがある」と述べ、資料提供などの働きかけがあったことを示唆している。

 元技官は13年12月、元社長の費用負担で北京を訪問し、ホテルで数人の中国人と面会。元技官は「中国人は政府関係者と思った」と説明しており、元社長が中国政府関係者に直接、元技官から防衛装備品の情報を引き出させるため、会合を設定したとみられている。

 これまでの調べで、元技官は情報を漏らしていなかったとみられるが、日米秘密保護法は、情報収集や漏洩をそそのかしただけで教唆犯として罪を問える規定があり、警察当局は元社長について同法違反の疑いを視野に入れている。

 元社長は在日中国大使館の元副武官や軍関係者らと付き合いがあり、頻繁に中国に渡航。現在は中国を生活拠点にしているとされ、自衛隊にも知り合いが多いという。元技官は金属強度の専門家で、潜水艦の耐圧構造や耐弾性、対戦車誘導弾の性能などを研究していたが、14年3月に退職した。


 こういうニュースを見ると情けなく、そして悲しくなってきます。我々はなんという国に住んでいるのでしょうか。中国政府や中国軍関係者とかかわりが深い元社長が「これらの防衛装備品のデータを入手せよ」という指令を中国政府から中国語で受け取っており、その指令所が押収されている。さらにそれを日本語訳したメモも押収されている。そのリストのデータを入手せよと元技官に指令を出し、中国にも渡航させている。

 これだけの証拠が揃いながらも両名とも不起訴。これにも驚きましたが、中国側がこれほど露骨に軍事機密を日本から入手しようとしている事実にも驚きました。いったい、今回どれくらいの機密情報が中国に流れたのでしょうか。今回の件が氷山の一角だとしたら、今までに一体どれくらいの機密が流出しているのでしょうか。そう考えると恐ろしくさえなります。年間何兆円もかけて防衛力を整備したとして、そして並々ならぬ労力をかけて外交努力をしたところで、このようなスパイ活動のおかげで全てが無駄になってしまうこともあり得ます。


 今回の記事をよく読むと、確実に日本の防衛に関して深刻なスパイ活動を行っているにも関わらず、通常の法律では不起訴。しかしどうしても捕まえたいが為に、日米秘密保護法を適用できないかと模索しているようです。しかしながらたとえこの法律で有罪にできたとしても最大で10年。罰金刑のみという可能性もあります。これではスパイも羽を広げて暗躍できるはずです。国を売ることに対して罪が軽すぎます。これらの人物のおかげで有事の際に何千、何万という人命や莫大な財産が失われることにも繋がるのにも関わらずです。スパイ防止法などで明確にスパイの定義と重い罰則を制定しなければいけないのはもはや急務です。

 だいたい今回の件は、情報を中国に引き渡したことが確認できなくても、指令書を保持していた時点で厳しく裁かれなければならないのです。つまり既遂行為だけでなく未遂行為や機密事項の探知・収集と言った予備行為も処罰の対象とし、これらの行為が大変重い犯罪であるという認識を国民全てが持たなければいけないのです。


 

 当Blogで掲載した、日本から機密情報が漏洩した事件を探して見ると、ここ1年半あまりの間にこれだけあります。このほかにも、ヤマハが中国に無人ヘリを不正輸出した事件もありました。

・イージス艦機密情報が漏洩 ~スパイ防止法の制定はもう待てない~(2007/4/4)

・デンソーの機密盗難を行った中国人スパイを逮捕 ~スパイ天国日本で暗躍する他国のスパイ達~(2007/3/19)

・陸自のミサイルデータを朝鮮へ送っていた総連団体 ~暴かれる工作機関としての朝鮮総連~(2006/1/24)

・中国スパイから命を懸けて国を守った日本の外交員 ~日本を取り巻く工作活動の実態~(2005/12/27)


これだけあっても、表立っては何の対策も取られていません。今回のニュースも、マスコミではあまり大きくは取り上げられていませんが、本来は年金問題と同等かそれ以上に重要なニュースとして取り上げられるべきです。年金問題で政府を散々糾弾したのと同じように、今までスパイが日本で羽を広げて飛び回り、中国や北朝鮮に機密情報を取られ続けたのは政府の怠慢の責任だと、マスコミが政府を追及しても良さそうなものだと思うのですが、なぜかマスコミは沈黙しています。中国が悪者になると困るマスコミもあるのでしょう。言論の自由を守るという建前のもとでスパイ防止法反対の立場を貫くマスコミもあるのでしょう。

 しかしながら、このニュースを見るとのんびりしている場合ではないことを痛感させられます。政府には至急の対応がなされることを切にお願いしたいです。


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参考書籍:


誰にもわかる「スパイ防止法」―正しく学ぶ三つの章
スパイ防止法制定促進国民会議
4882010275


お笑い日本の防衛戦略―テロ対策機密情報
テリー伊藤 青山 繁晴
4870314827


インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)
手嶋 龍一 佐藤 優
4344980115