特養が足りない | kyupinの日記 気が向けば更新

特養が足りない

数か月前、「待機高齢者 東京4万3千人」と言う報道番組を観た。この番組によると、特に都市部では「特養が足りない」んだそうだ。それも著しく足りないという。(特養=特別養護老人ホーム)

2014年10月に「2040年までの日本の人口変動 」というタイトルで、東京などの大都市では、今後、早いスピードで老齢化が進むという内容の記事をアップしている。

今ですら全然足りてないのにどうするの?

と言ったところである。最近の報道では行政は高齢者を地方の施設に移すことも考えているらしい。東京などの大都市圏で特養が特に足りない理由は、土地が高すぎてこのような施設の経営が成り立たないことが大きい。

一方、有料老人ホームでは、アメニティにより額が変わるが、東京では概ね1か月20万円かかる。これだと、入所できる高齢者は限られると思われる。

そのようなこともあり、年金額が低いため有料老人ホームに入所できず、特養の順番待ちで入所できない多くの高齢者がいる。番組ではヘルパーさんがアパートに訪れて短い時間だけ介護を受ける高齢者が紹介されていた。その男性ほどの障害があれば、ヘルパーさんが家に来て介護を受けるだけではかなり不安だろうと思った。

一般に、特別養護老人ホームの方が精神科病院よりは入院ないし入所コストが安い。そのため、高齢の統合失調症の患者さんで生活保護を受けている人は、特養ないし養護老人ホームに入所するように指導される。しかし精神症状の程度も考慮されるため、今のところ強い強制力はない。(少し面接しただけでは重いかどうかがわかりにくい人もいるため)

僕はたまに特別養護老人ホームに往診に出かけている。これは不定期なので対診とは異なり、診療報酬の額も異なる(こちらの方が高い)。

その特別養護老人ホームは全室が個室で、木を多く使ってあり、綺麗だしかなり快適な空間に見える。老人ホームでは、施設の職員のやる気がないと、時間が経つとやたら便臭が漂っていたりと汚い感じになる施設もある。ところが、その施設はそうではないのである。

僕はその施設の婦長さんに言った。(婦長とは呼ばないと思うが、そういう立場の人)

僕が歳を取って動けなくなったら、ここに入所させてください。

ところが、その婦長さんの話によると、自分は高齢になってもたぶん入所する資格がないんだそうだ。

その理由は、特別養護老人ホームは資産的にお金をあまり持っていない人に限られており、例えば、自分の母親は貯蓄額の関係で入所できない。従って、施設に入るなら有料老人ホームしかないのである。(自分の実家の市では500万円以上貯蓄があると特養に入所できない)

その特別養護老人ホームでは、全室個室など仕様が良いことも関係しているのだろうか、生活保護の人は入所できないという話。だからある程度、年金額がないと難しいと思われる。

いつだったかテレビで、千葉県の地方都市のデラックスな有料老人ホームの番組を観た。あの施設は食事、医療、介護などあらゆる点で高級な仕様で、かなり貯蓄及び年金額がないと入所し続けることは難しいと思われた。

近年、地方では高齢者向け施設がよく建設されている。これが大都市圏では地価の関係で容易ではなく、政府も大胆な政策が必要になるかもしれない。

このようなことから、移民政策などを採らない限り、今後、高齢者が増える日本では空き家が激増すると思われる。

街の中で健康に生活できる人たちがどんどん減少していくからである。

参考
2040年までの日本の人口変動
東京都の自殺率が低い理由
盆、正月、ゴールデンウイーク