2040年までの日本の人口変動 | kyupinの日記 気が向けば更新

2040年までの日本の人口変動

日本の人口変動は高齢化社会への移行から、若年層が一層減少し高齢者が劇的に増えることが予想される。しかし、既に著しい高齢化、過疎化に至っている地域もあり、今後は地域により人口変動がかなり異なる。

過去ログでは、人口比の自殺率の地域差についての記事がある。その中で、日本の大都市は相対的に若年者が集まっていることから、自殺率が過疎地域より低いことを指摘している。つまり、高齢者が多い地域であるほど、人口比の自殺率が高い傾向がある(参考)。

ここ20~30年くらいで、大都市で生活することの価値が上がっているように見える。大都市で生活し続けた人たちは、その便利さから離れ難いのである。

田舎で生活することを好む人がいないわけではないが、彼らは少数派である。普通、田舎ではまず社会資源が大都市より充実していない。当然あるべきものがないことは都会に住みなれた人ほど不便に感じるようである。

このようなことから、現在、人口が集中している大都市の高齢化の影響は、現在既に著しい高齢化が生じている地方より圧倒的に高い。

今後の日本の人口変動についてざっくり言うと、

1、0~64歳人口は、2010年から2040年にかけて単調に減り続け、約3000万人減少。

2、65~74歳人口は、2010年から2040年にかけてほぼ横ばいで、約100万人増加。

3、75歳以上人口は、2030年までは増え続け、その後横ばいで、約800万人増加。

4、国全体は、若年層が3000万人減少、高齢者が900万人増加し、約2100万人減少。

遠い将来的には、少子化の影響が高齢者数にも及び定常状態か漸減に至ると思われる。

問題は、それらの動向に著しく地域差が生じることであろう。現在、既に過疎化、高齢化が進行している地域では、2040年までの高齢者比率はむしろ伸びないか、伸び率はわずかだと思われる。

しかし、高齢者率が伸びないような過疎地域は、今後一層、わずかな人口を維持するための社会インフラの維持に国費がかかるようになることが予想される。例えば、道路や役場、公民館などの維持管理費用、あるいは公的な総合病院の運営費、電力、水道などである。

既に、現在、過疎地域では手術件数がゼロ、つまり手術自体がほとんど行われていない。医師の都会への嗜好性?は昔よりずっと高くなっていることもあり、病院の維持が難しくなっていることもある。それらは医師だけではなく、薬剤師、看護師、事務に係る人たちなども同様である。

一方、高齢者がいないわけではないが、若年層が集まっている大都市では、2040年までに著しい高齢化が起こる。その理由は、便利な大都市から人が離れないからである。

東京の75歳以上の高齢者の増加率は100%を超えると言われている。

日本の7大大都市、東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、広島、福岡及びその周辺の都市群(横浜、千葉、兵庫など)は、2040年までに、75歳以上の高齢者の増加率は少なくとも70%以上、多くは100%を超えると言われている。

なお、国全体の高齢者増加率は、55.4%である。(75歳以上)

15年以上前、たまに嫁さんと山奥の温泉に行くことがあったが、山奥の温泉地では携帯電話が全然繋がらないことが多く、院長になってから山奥の温泉には行けなくなった。連絡がつかなくなるからである。今はそのような場所もかなり減少していると思うが、ほとんど人が住んでいない場所ですら携帯電話が繋がることこそ、インフラ整備にかなり費用がかかっていることがわかる。

ジュラシックパークを観ていたら、恐竜は繁殖しているものの、人が住んでいない無人島で携帯が鳴る場面が出てきた。

今でもあるのかどうか知らないが、人工衛星と連携しエベレストの頂上でも繋がるタイプの携帯電話がある。あの携帯電話なら電波塔は不要なので、ジュラシックパークの携帯電話はきっと人工衛星に繋がっているのでは?と思った。

今後、日本は極めて対処が難しい問題に悩むことになる。極端に人口が少なくなった過疎地を閉鎖するわけにもいかないと思われるからである。

参考
東京都の自殺率が低い理由
医師国家試験の難易度