エビリファイと体重について | kyupinの日記 気が向けば更新

エビリファイと体重について

抗精神病薬の中でエビリファイは体重への影響が少ない薬物の1つである。

他の抗精神病薬からエビリファイに変更した際、大幅な体重減少が起こることは稀ではない。特に前薬がリスパダールやジプレキサの場合、減少幅が大きい。

添付文書的には、

体重増加  1~5%
体重減少  9%程度


となっており体重減少の人がやや多くなっているが、総合的には体重の変化が生じない人が最も多い。つまりエビリファイは、体重には中立かやや減少する薬物といえる。

これはおそらく無服薬の状況からエビリファイを服用したケースを言っているのであろう。他の抗精神病薬から変更であれば、おそらく減少する人はずっと多くなる。

初期に発売された非定型抗精神病薬、リスパダール、ジプレキサ、セロクエル、ルーラン4剤のうち、ルーラン以外はいずれも体重増加が起こりやすい。特に広汎性発達障害のように薬に敏感な人たちは著しい増加が生じることがある。

ルーランについてはほぼ中立であるが、稀に体重増加が生じることがある。ルーランが本当に体重増加を引き起こしているかどうかは減量ないし中止してみるとわかる。

ある患者さんで、ひょっとしたらルーランのせいで体重が減らないのでは?と思ったので、2mgから1mgに減量したことがある。

その女性患者さんはストンと4kg体重減少したのである。


これは1mgしか減量しなかったとは言え、この人に関しては間違いなくルーランが体重に悪影響を及ぼしている。これと同じような変更を通してエビリファイが体重に影響を及ぼしていることがわかる人もいる。

何らかの体重が増加するタイプの薬を服用している人は、エビリファイへ変更が成功した場合、体重が減少する確率が非常に高い。

しかし稀にそうならない人もいるのである。もちろん、前薬がいかなる薬だったかも重要である。

エビリファイへの変更が難しいのは、エビリファイもそうだが、その前薬も統合失調症の薬物というのが大きい。安易に変更すると著しく精神症状が悪化することもありうる。(プロフィールがかなり異なるため)

他の波乱要因として、エビリファイは鎮静的な薬物ではないことも大きい。エビリファイの鎮静を欠く部分をリーマスやデパケンRなどの気分安定化薬で補った場合、この2つのいずれかが体重増加を生じさせていることがある。これも減量ないし中止してみると影響の有無がわかる。

特に統合失調症の人の場合、やはり安全に変更することが重要である(体重減少させる目的のみで変更するのにはリスクが伴うことを言っている)。

参考
ダイエットとエビリファイ
抗精神病薬と体重増加
ジプレキサの体重増加
105kgから62kgまで減量した人