頭の中心に左右を分かつように板が入っている | kyupinの日記 気が向けば更新

頭の中心に左右を分かつように板が入っている

この訴えをする統合失調症の人を精神科1年目に診た。

その後、滅多に診る機会がないが、数百人か、あるいは千人以上に1人くらいの確率で、これと同じ精神所見の人がいるようである。(3~4年に一度、遭遇)

最初に診た患者さんに、どのような治療をしたのかもう忘れてしまった。彼はその症状のために、そこまで苦しそうにはしていなかったような気がする。(それは、本人でないとわからないが・・)

ただ、本人はその症状の不思議さを感じており、

真っ二つに分けるように板が入っているんですよ。なんでですかね?

としきりに首をかしげていた。そのおかしさを訴える表情や様子はむしろユーモラスであり、その場の他の患者さんが思わず笑い出すほどであった。

この所見は今から考えるとちょっと統合失調症っぽくない。統合失調症であろうが、やや器質性の色彩がある精神所見と思う。

統合失調症に器質性所見っぽいなら、滅多に遭遇しないのは当然だ。

このような奇妙な精神症状の人は、双子とか、子供の頃に意識不明になるほどの頭部打撲があったなど、それを暗示する生活歴が診られることがある。(もちろん何もないこともあるが)

今回のエントリは、統合失調症の人の癒しとか、そういうことを説明するものではない。

統合失調症人たちの癒しは、例えば以下の記事に散見される。(全ては挙げられないが)

統合失調症とバッチフラワーレメディ
素人の心療内科クリニック
1人目女性患者さんについて
プリンの唄
クリスチャン
ロンドン・コーリングのように
クリスマスカード
2人目の女性患者
キリストはイケメンだったのか?
統合失調症っぽくない妄想

長年続いた幻聴の消失

これらのエントリを読んでいると、統合失調症の人たちの認知のあり方は、現代風の器質性疾患(広汎性発達障害も含む)と根本的に異なっていることがわかる。

妄想のタイプ、対人接触性、リテラシーの詳細を診ても、統合失調症の人は器質性疾患とは思えないのである。