プリンの唄 | kyupinの日記 気が向けば更新

プリンの唄

最近、不思議な体験をしたので、ここでアップしたい。今日は、いわゆるオカルト系の話だ。

天国が見えた
「天国が見えた」その後

の男性患者さんだが、現在の処方は、

トロペロン  6
リスパダール 6
デパケン   600
エビリファイ 12
レボトミン  100
ベゲタミンA  2~3T


こんな風になっている。こういう超絶に重い患者さんはベゲタミンAやBを使ってみるのがコツなのである。それも昼間に。添付文書にはベゲタミンAにしろBにしろ、眠剤とはひとことも書いていない。あれは実は鎮静剤の1つなのである。この場合、フェノバールはある種の気分安定化薬として働く。

この処方だけでも十分に多いが、他にベンゾジアゼピン系の眠剤、抗不安薬、抗パーキンソン薬も入っている。これでも最初が酷かったので、かなり減量できている。彼は外来でもう1年以上診ていて、驚くほど良くはなっているが、まだ幻視、幻聴が十分には改善していない。陰性症状というか、見た目の表情や笑ったり話したりなどの情緒面は相当に良くなっていると思う。

ベゲタミンAおよびBは神の薬で、あれを思いついた人はたぶん天才だと思う。あれは合剤だから神なのであって、あの成分をバラバラに処方すると、なぜかベゲタミンほどは効かない。たぶん薬の練り方が良いんだと思う。一時、配合比が黄金分割になっているのかな?と思っていたが、AとBでは違うし。まぁいずれにせよ絶妙な組み合わせなのだろう。

かなり重度の統合失調症の人たちには、僕にはベゲタミンに限らず不思議な処方が数多くあり、うちの薬剤師は「患者さんに説明できない」と言っている。薬剤師泣かせなのである。

実は、未紹介の超絶ウルトラC処方とその神がかり的改善の症例がいくつかあるが、さすがにアップできない。あまりにもあまりだからだ。(←意味不明)

それに比べると、ベゲタミンAなんてカワイイものだ。先日の少し触れた過去最高のパフォーマンスはこのような謎処方で実現した。脳内ではその薬理メカニズム(というより推測~仮説)はついているのだが、解説が長すぎるのと、凡人にはたぶん理解できないであろうことと、いろいろ文句を言う人が出てくるような気がして、紹介するにしてもかなり後になるだろう。ひょっとしたら最後まで紹介しないかもしれない。

基本的に単剤でやる限り、奇跡と呼べるものは生じない。いつかも書いたが、ジプレキサ単剤やルーラン単剤によって驚くほど改善したとしても、それは神がかりとは言わない(参考)。ワザなんてゼロに等しいし。

それは奇跡が起こったというより、その人に超絶にフィットしただけで、本来の結果がそのまま生じただけだ。

僕の治療は良くわかっていないわりに、なぜか結果が出るのが不思議なところで、もしこれだけ能書きを垂れて、なおかつ結果が出てなかったら、まさしくバカであろう。

その彼には僕の病院に転院すれば、全く新しい発想の治療をしてみたいと言っている。彼の場合、もう罹病期間が30年を超えているので高望みはできないが、それでも今より改善する余地はもちろんある。

話が変わるが、この男性患者さんが、先日診察した際に、突然、

プリンの唄を歌います。

と言った。彼は20代の頃は関東の大学病院で治療を受けていた。この「プリンの唄」は当時の体験から来るものだ。彼は診察室内で歌うというので、他の患者さんへの影響を考えて、当初は最初の節で止めさせるつもりだった。

ところが、その「プリンの唄」は普通の歌とは全く違っていたのである。

僕は人の歌を聴いていて、あれほどの「癒される感覚」は久しぶりであった。たぶん、24歳の時以来だったと思う(参考)。僕はその唄を最後まで聴いていた。

聴き終わった後、このような不思議な体験は本当に久しぶりだったと彼に僕の感想を伝えた。

プリンというのは、食べるプリンではなく当時彼が飼っていたイヌの名前である。非常に可愛がっていたが、散歩か何かで外出した時、うっかり毒入りのエサを食べてしまい、すぐに激しい嘔吐が始まり、動物病院に連れて行ったが、もう手遅れだったという。

その唄には、そのイヌの亡くなった経緯は全く出てこず、楽しかった思い出だけ綴られていたのであった。

メロディはなぜかジッタリン・ジンの「プレゼント」に似ていたので、それを彼に言った。彼はジッタリン・ジンはよく知らないというので、たまたまどこかで聴いたメロディが頭に残っていたのであろう。

彼と一緒に来院される80歳過ぎの母親はクリスチャンで、今は教会の人である。教会の人は経営者のような形態なのか、僕は良くしらない。僕は無宗教なのである。

その母親も彼に続いて、何か唄を歌ったのであるが、こちらは全然癒されなかった。彼女のその唄は僕の琴線には触れなかったのである。彼女は若い頃ミッション系のハイ・スクールに通っていて、マリア様役をやっていたというほどである。

みんなが当然選ばれると思っていた医師のお嬢さんが選ばれず、突然、彼女が大抜擢されたという話をしていたので、ある種のカリスマがあるのだと思われる。

今回の僕の不思議な体験だが、同じ宗教に関係している人でも、どうも統合失調症の人が歌ったことが関係しているような気がしてならない。その心の純粋さである。

その後、家に帰ってから、そのような不思議な体験を6歳未満にもした記憶が急に蘇った。

僕は両親が共働きだったために、2歳頃から保育園に預けられていた。その保育園はお寺の経営であり、時々そこのお坊さんの話を聞くことがあった。今となっては、どうもお寺とか教会に関係があるような感じなのである。

参考
お坊さん
精霊