自閉症スペクトラムは実は3次元になっている? | kyupinの日記 気が向けば更新

自閉症スペクトラムは実は3次元になっている?

自閉症スペクトラムは、なだらかに正常に近い人たちから明確な自閉症の人まで連続していることを言っている。コアな自閉症やアスペルガーだけでなくその周辺群も含めているので、しばしば平面的なイラストで表されている。つまり、分類不能の広汎性発達障害などもすべて1疾患として平面上に置ける形になっているのである。

実は自閉症スペクトラムは生来性の器質性疾患の1パターンに過ぎないので、器質性の程度を考慮すれば立体的になっていると言った方が、より正確に表現していると言える。つまり、自閉症スペクトラムは器質性障害の中の狭い範囲のことを言っているのである。(3次元の軸は器質性障害の程度である。)

器質性背景があまりにも大きい場合、もし自閉症スペクトラムの範囲に分類できる人なら古典的カナー症候群と言えるだろう。このスペクトラムに入らない人は重い知的発達障害と言うほかはない。

注意したいのは、やはり全体から言えば、自閉症範疇に入る人たちはかつては特殊だったということだ。知的発達障害の重い人がすべて自閉症と言うわけではない。(当たり前)

一方、知的発達障害がみられないIQが正常域のアスペルガーの人たちはこの考え方ができるまでは、精神疾患と見なされなかったか、人格障害や強迫性障害などに分類されていたと言える。つまり器質性色彩のある疾患の1つだったのである。その点からみると、自閉性あるいは社会的自閉性を見出したことにより、漠然とした器質性疾患の1つから、自閉症スペクトラムに分類されるようになった疾患といえる。(参考

このような視点では、3次元的な器質性疾患の中では、自閉症スペクトラムは単にその中の1ページに過ぎないのがわかる。しかしながら、器質性背景の大きさとその疾患性はたぶん正比例していないので、1ページという言い方もちょっとおかしい。むしろ、なだらかに融合して3次元的に分布していると言った方がより正確かもしれない。

つまり自閉症スペクトラムに触れてしまうような器質性背景があったとしても、それを代償する脳の働きがあるので、精神所見に脚色が入るのだと思う。またどのような場所に障害があるかによっても異なると思われる。実際、自閉症スペクトラムでも運動神経がかなり良い人が存在している。(参考

だから器質性背景はたいしたことはないが、疾患としては社会的不適応が大きいという事態が生じる(これは高機能の人では職業選択など社会要因も関与する)。

個人的な意見だが、器質性疾患のすべては、実は自閉症スペクトラムも含め4次元的になっているような気がしている。なぜなら、時間のパラメータが入っているとしか思えない人たちがいるからだ。これは過去ログでも「共鳴」という現象があるのではないか?と意見を書いている。(4次元の軸はもちろん時間である。)

生来性の器質性疾患なので4次元的というのはおかしいのであるが、例えば大学を卒業し30歳くらいになって破綻を来たし、あたかも以前から器質性障害があったかのように思われる人がいる。それまでの生活歴ではそんな風には見えない人なのである。

発達障害というには遅すぎるし、何か社会的に悪い環境があったとも思えない人だ。大学時代以前から社会的不適応がある人なら、普通は働き始めてすぐかせいぜい2~3年以内になんらかの症状が出てくるものだと思う。それほど社会にでることは大きなストレスなのである。

だから、現在広く用いられている自閉症スペクトラムのイラストはすべての臨床像は説明できておらず、誤解を招くものなのかもしれない。これは曖昧な人々を安易にアスペルガーとか広汎性発達障害と診断してしまうので、余計にそんな風に見えるのであろう。

参考
統合失調症は減少しているのか?
もしアスペルガーがなかったら・・